リコー AIを活用した需給調整業務改革の実証実験を開始 サプライチェーンマネジメントの最適化に向けたプロセスDXを加速、業務品質の向上と工数削減を目指す

株式会社リコーは、サプライチェーンマネジメント(SCM)の最適化を目的に、AIを活用した需給調整業務の実証実験を10月から開始した。工場と販売部門間での調整を担う需給調整業務において、これまで属人化していたコミュニケーションを可視化し、AI技術の導入により業務品質の向上と工数削減を目指す。2030年までに現状比で約3割の工数削減を計画している。

社内業務のDXを加速、AIで調整プロセスを可視化

リコーグループでは現在、「デジタルサービスの会社への変革」を推進している。その中核を担うのが全社横断の「プロセスDX」であり、業務の一部ではなく全体を俯瞰し、デジタルとデータの活用によって業務そのものを変革する取り組みとして進められている。

サプライチェーンマネジメント業務でも、カスタマーに必要な商品やパーツを確実に届け、回収・再資源化までを含めたサイクル全体を最適化するためのDXを推進。今回の実証実験では、需給調整に関わる本社・国内外の販売拠点・工場間のやり取りを、AIを搭載した自社開発プラットフォーム上で一元管理する。これにより、これまで担当者ごとにExcelやメールで行っていた調整作業の効率化とデジタル化を実現する。

さらに、複合機の市場稼働データをもとに、トナーや消耗部品などの需要をAIで予測するシステムの開発にも着手。突発的な需要変動などの緊急時対応においても、LLM(大規模言語モデル)を活用した支援機能を導入し、業務工数削減と品質の向上、業務の効率化を図る。

40年以上にわたるAI開発の歴史

リコーのAI開発は1980年代にスタート。2015年以降は画像認識を中心とした深層学習AIを活用し、製造分野の外観検査や振動モニタリングなどへ応用を広げてきた。2021年からは自然言語処理技術を活用し、文書分析や顧客対応を支援する「仕事のAI」を提供。さらに2022年にはLLMの研究開発を本格化させ、2023年3月には独自LLMを発表した。

現在では、700億パラメータ規模で日・英・中3言語に対応し、オンプレミス環境でも運用可能な大規模モデルを開発。画像認識・自然言語処理・音声認識AIの研究開発も推進し、AIエージェントの提供にも取り組んでいる。

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