情報印刷×日本プロセス秀英堂  協業の「タイアップ・ファクトリー」開設&新設備導入でセレモニー

左から、日本プロセス秀英堂の堀澤社長、情報印刷の山下利治会長と山下大社長
左から、日本プロセス秀英堂の堀澤社長、情報印刷の山下利治会長と山下大社長

神奈川県の印刷会社である情報印刷と日本プロセス秀英堂は、両社協業による印刷工場「タイアップ・ファクトリー」を開設し、2月15日と16日の2日間にかけてオープニングセレモニーを開催した。

情報印刷では、3年前、日本プロセス秀英堂の敷地の一角を借りて情報印刷第3工場を開設。今回、その第3工場を、高付加価値印刷に取り組む情報印刷と、高品質印刷に強みを持つ日本プロセス秀英堂が、それぞれの技術的強みを掛け合わせることでヴァージョンアップを図った「タイアップ・ファクトリー」として誕生させた。

新工場の開設に伴い、情報印刷では、KOMORIの菊全カラー5色機H-UV LITHRONE G40(以下、リスロンG40)と、ホリゾンの無線綴じ製本ラインCABS-4000V(以下、CABS4000V)を導入。「タイアップ・ファクトリー」には、元々、日本プロセス秀英堂が保有していた印刷機・四六全判カラー6色機・5色機と、情報印刷のA全判両面単色機・菊全判両面単色機が設置されているほか、折り機、中綴じ製本機、断裁機も設置されている。そのため、従来からの設備と新設備導入により、カラーからモノクロ市場だけでなく、高品質な印刷物に対しても、印刷から製本までスピーディーな一貫生産を可能とする現場となった。

ハイブリッドUV機のH-UV LITHRONE G40を導入。実演では、12,000回転でA4ノートのカラー表紙を400枚印刷。
ハイブリッドUV機のH-UV LITHRONE G40を導入。実演では、12,000回転でA4ノートのカラー表紙を400枚印刷。

オープニングセレモニーでは、冒頭、情報印刷の山下大社長が挨拶に立ち「タイアップ・ファクトリー」開設の経緯を語り、「従来からの印刷受注に関して、更なる単納期とコスト削減、そして品質管理のニーズが高まっています。ニーズに応えるためにも印刷から製本まで一貫生産で行える工場が必要でした。また今後の変革に耐えうる工場をつくりたいと計画をスタートしましたが、1社のみではパワーが足りないとも感じており、日本プロセス秀英堂様のご協力を頂いて、タイアップ・ファクトリーが誕生しました。日本プロセス秀英堂さんの技術力も生かした印刷物が、一つの工場で出来るようになります。変革に耐えうる工場にしていくためにも社員一丸となって取り組んでいきます」と述べた。

印刷では4Kカメラによる品質管理では、0.03㎜サイズまで検出する検査能力も披露した。
印刷では4Kカメラによる品質管理では、0.03㎜サイズまで検出する検査能力も披露した。

引き続き、日本プロセス秀英堂の堀澤恵美子社長が登壇し、「弊社は創業から今年で95年の節目の年を迎えます。この節目の年に、また新しい元号のとなる記念すべき、そして多くの方の記憶に残るような年に新しい工場が開設できたことを嬉しく思います。情報印刷様と一緒に新しい形で事業提携を行い、新しい形での会社の発展を願って助け合いながら取り組んでいこうと思っています。『一日一生』という言葉があります。今日は明日へ、明日は未来へ続きます。新しい1日が新しい会社の人生を築くように、両社が一体となって邁進していくつもりです」と挨拶した。

続いて、小森コーポレーションからリスロンG40について解説があった。同5色機は、5胴目にOPニスなどを搭載することで高付加価値印刷を1ジョブで行うことが可能となり、最大で毎時16,500回転を実現する高生産モデルでもある。全胴同時自動版替えや自動洗浄など自動化が図られているので、ジョブ切替と品質立ち上げ時間を短縮。さらにオンライン・オフラインによる高精度検査体制が可能で、情報印刷ではインキ飛びやピンホールといった検査を全数オンライン検品するほか、PDF(刷版データ)と印刷物との照合検査機能も搭載している。

18駒の無線綴じ製本ラインCABS-4000Vの実演も行われた。
18駒の無線綴じ製本ラインCABS-4000Vの実演も行われた。

情報印刷_披露(CABS4000V-2)またホリゾン東テクノからは、まず佐野社長がお祝いを述べ、「情報印刷様とホリゾンとのおつきあいは、断裁機の導入からでした。その後、お客様に喜んで頂くためにと製本部を立ち上げられ、印刷物の納期・品質・価格のためにと取り組まれてきました。本当に積極的な設備投資をされて、現在があると感じています。さらに今後も製本ラインを活用されて発展されることを祈念しています」と語った。

続いて、ホリゾン東テクノからCABS4000Vについて解説があった。CABS4000Vは、18駒の丁合機+無線綴じ機+三方断裁機の一貫製造ライン。最大で毎時4,000冊の生産性で、16頁折・最大288頁までワンパスで処理できる。

CABS-4000Vは、部屋を突き抜けるかたちで隣接している製本ルームへつながっているユニークな設置。
CABS-4000Vは、部屋を突き抜けるかたちで隣接している製本ルームへつながっているユニークな設置。

厚み検知・CCDカメラ・重量検知といった複数の検査装置を搭載することで品質を管理。各種自動調整機能よりセット替えの調整時間はほぼ不要で、一貫した品質を維持できる。セット状況についても記録できるので、本社工場の製本機と情報を共有できる。

各メーカーからの解説の後、神奈川県印刷工業組合理事でもある中谷克宏氏から来賓挨拶があった。中谷氏は、「これからはオープンな生産環境にしてタイアップすることで、お互いがWin-Winのおつきあいが出来る時代になるのではないかと感じている。その形をみせて頂ける場となることを楽しみにしたい」とエールを贈った。

CABS-4000Vの三方断裁機(HT-110)の部分へ
CABS-4000Vの三方断裁機(HT-110)の部分へ

セレモニーの後、タイアップ・ファクトリー内を見学した。見学では、リスロンG40でA4ノートの表紙のカラー印刷を12,000回転による印刷と自動版交換作業なども実演された。自動版交換作業では、4色の版を約2分半で行った。また4Kカメラ搭載で行われている検品検査では、0.03㎜までのミスを検知することも紹介。実際に欠品が出た場合についても実演で見せた。なお印刷物は1部ずつシリアルナンバーで管理しているので、万が一、欠品が発生して流れてしまってもエビデンスが提出できるなど説明責任に対応できる環境となった。

続いて、リスロンG40で刷った表紙をつけたノートを、CABS4000Vで製本。18駒の丁合機にはじまり、三方断裁までのシステムが、印刷の現場の後方から印刷工場の部屋を抜けて、製本の現場をつなぐスタイルで設置されているもユニークな点。セレモニー当日は、実際に丁合機~無線綴じ機~三方断裁機へと流れていく作業が実演された。

見学会の後、情報印刷の山下利治会長が締めの挨拶に登壇。「時代の背景として、お客様からの要求も高まっていることもあり、供給への不安があって新しい印刷機の導入を決めた。製本機の導入では、製本の協力企業が減ってきているという環境も要因の一つにありました」と新設備導入の背景を語った。また新設備については、検査体制が整っていること、生産性の高さ、人的分配の課題にも対応できることなどのメリットを挙げ「今後はさらに工場の設備が役立つように活用していきたい」と述べている。

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