アインズ プラスチック樹脂を一切使用しない環境対応型インキ『eLinks®』 石油系原料ゼロで環境負荷を大幅軽減、印刷業界のサステナビリティを推進

ソーシャルグッドプロデュース企業のアインズ株式会社は、女神インキ工業株式会社との共同開発により、石油由来のプラスチック樹脂を一切使用しない環境対応型インキ『eLinks®(イーリンクス)』を製品化した。枯渇資源である化石原料に依存しない設計で、従来の印刷インキと同等の品質を実現しつつ、印刷物のリサイクル効率向上にも寄与するという。

石油ゼロ、樹脂ゼロ 究極の環境配慮インキ

印刷インキには顔料の分散にプラスチック樹脂が多用されるが、その多くが石油由来であり、環境負荷の高い素材とされてきた。アインズはこうした課題に着目し、「樹脂ゼロ・鉱物油ゼロ」という徹底的な環境対応型のインキ設計に着手。開発された『eLinks®』は、主成分に天然油脂を用い、樹脂・石油系溶剤・添加剤を一切排除することに成功した。

このインキは、石油系溶剤を使用しないため、揮発性有機化合物(VOC)の排出がゼロ。フランスなどで進む鉱物油規制にも対応し、国際的な環境基準にも適合する仕様となっている。

印刷適性を確保しつつリサイクル性も向上

『eLinks®』は従来のインキと同等の印刷適性を持ち、パンフレット、マニュアル、パッケージなど幅広い用途に対応可能。さらに同社の検証では、このインキを使用することで印刷物のリサイクル工程において発生するゴミ(フロス)が最大12.25%減少。リサイクル適正が12%向上し、リサイクル紙の回収率の改善が見込まれる。

また、インキ成分の77%に再生可能原料を使用しつつ、色再現性や耐光性も従来製品と同等レベルを保持している。

油性・水性両タイプを展開 VOC排出抑制にも寄与

『eLinks®』は油性タイプと水性タイプの両方をラインアップ。油性インキでは、石油系樹脂を天然油脂に置き換えたうえで、有機溶剤を完全排除。VOCの排出抑制や鉱物油規制への対応を実現した。水性タイプでは、成分中の枯渇資源比率を従来比58%削減。溶媒には水のみを使用し、石油系溶剤やアルコール類を排除することで、大気への揮発性物質の放出リスクを抑えた。

印刷業界の資源使用に一石 年間1,800トンの削減余地

国内の油性枚葉インキ市場は年間約1万トン。うち、石油由来の樹脂は約3,500トン、うち約1,800トンがプラスチック樹脂と推定される。『eLinks®』の普及は、こうした枯渇資源の削減につながる。アインズでは、今後も植物由来のバイオマス原料などを活用し、印刷資材のサステナビリティ向上を目指している。

今後の展望

同社では『eLinks®』の普及を通じ、環境対応型の資材・製品の展開を強化。ソーシャルグッドプロデュース企業として、国内外で持続可能な印刷事業を推進していく。
今後はSDGsへの貢献を軸に、地域や顧客と共に環境配慮型のビジネスを展開し、印刷業界全体の意識改革と実装を進めていく。

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