凸版印刷 国立西洋美術館とモネの幻の大作『睡蓮、柳の反映』を推定復元し、松方コレクション展で公開

凸版印刷と国立美術館 国立西洋美術館(国立西洋美術館)は、クロード・モネ『睡蓮、柳の反映』の欠損箇所の推定復元を実施し、完成させた。同復元画像は、6月11日から国立西洋美術館で開催している企画展「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」に合わせて公開されている。

画布の上半分が欠損した発見時のクロード・モネ≪睡蓮、柳の反映≫(国立西洋美術館所蔵)
画布の上半分が欠損した発見時のクロード・モネ≪睡蓮、柳の反映≫(国立西洋美術館所蔵)

復元作業が行われた『睡蓮、柳の反映』は、 約60年ぶりに発見されたが、画布の半分近くが欠損しており、作品の全体像が確認できるのは欠損前に撮影された白黒写真のみの状態だった。今回、国立西洋美術館による修復や、自然科学的調査や国内外の美術館でのモネの作品調査および、筑波大学の協力によって開発したAI技術による色彩推定結果を踏まえ、『睡蓮、柳の反映』の欠損部分のデジタル推定復元が行われた。

クロード・モネ≪睡蓮、柳の反映≫デジタル推定復元図  制作:凸版印刷株式会社 監修:国立西洋美術館
クロード・モネ≪睡蓮、柳の反映≫デジタル推定復元図
制作:凸版印刷株式会社 監修:国立西洋美術館

復元にあたっては、北九州市立美術館や地中美術館、マルモッタン・モネ美術館などが収蔵している、描いた時期やモチーフが近い作品を中心にモネの作品の調査を実施。作品残存部分と白黒写真を主たる手がかりとした。

国立西洋美術館が実施した残存部分の科学調査により、本作品に使用されている絵具を特定。同様の絵具を用いて原寸大に画き、同時期の他の作品と比較することで、モネが描く際の手順や特徴などを探った。白黒写真は、フランス文部省・建築文化財メディアテークの協力を得て、撮影原版にあたるガラス乾板から高精細にスキャンされたデータを入手し、高精細スキャンデータと作品の現存部分を比較して、当時の撮影環境なども推定することで、白黒写真から得られる色彩情報の精度を高めた。

また色彩を推定する手がかりとしてAI技術を活用。モネの様々な作品からその彩色パターンをAIに学習させ、『睡蓮、柳の反映』の一部色彩情報と合わせて全体の色彩を推定する仕組みを実現。人による推定をAI技術による推定によって検証し、客観性を高めた。

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