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不二印刷 小ロット・多ジョブのプリプレス作業を自動化

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2016.4.7

営業本部ソリューショングループゼネラルマネージャー 脇村浩氏

営業本部ソリューショングループゼネラルマネージャー 脇村浩氏

不二印刷株式会社(大阪市北区)は増加する小ロット・多品種生産の合理化を目的に、プルキャストが開発したワークフローソリューション「PC OneFlow」を導入し、デジタル印刷工程を強化した。同社がクライアントの売上・利益向上のためのソリューションとして展開しているWeb to Printは小ロットジョブを効率よく集める仕組みとしても機能しているが、ジョブ数の増加はプリプレス処理や管理作業を増やし、現場を煩雑化させるリスクも発生させる。同社ではオンデマンド出版でそれらの業務を自動化。今後、パンフレットやカタログなどのジョブにも展開していく。

コミュニケーションプロバイダーを目指す

同社は商業印刷を中心に、企画・制作から印刷・加工・出荷までのワンストップサービスを提供している。大ロット、小ロットを問わずに受注、納品できるオフセット輪転印刷機からデジタル印刷機までの生産体制を敷くとともに、販売促進、マーケティングの支援を強化。印刷メディア、電子メディアを含めた総合的なコミュニケーションプロバイダーとして顧客から信頼を得ている。
昨年にはコーポレートスローガンを「印刷をプラスに変える」から「ビジネスをデザインする」に変更。印刷に限らず、ビジネスに付加価値をプラスし、顧客の売上・利益向上に貢献する姿勢を打ち出した。
物資が市場に溢れる時代、消費者の購買意識は大きく変わった。必需品以外の購入に慎重になる一方、自らの嗜好に触れるところには消費を惜しまない。多くの企業がターゲットを多角的に捉え、接点確保から購買までの手法を多様化させている。ただ、その手法が必ずしも正解とは限らず、販促部門、マーケティング部門は日夜、頭を悩ませている。
同社のビジネスの方向性もそうした顧客企業の変化とともに進化している。例えば、2012年1月に始めた情報誌「Idea 4 U」。販促手法や集客事例の情報を提供するもので、同プロジェクトで開催している「Idea 4 Uセミナー」では企業の印刷購買担当者よりも、販促担当者やマーケティング担当者が多く参加する。クライアントの関係性を変えてきた同社の取り組みの一つといえる。

同社が導入したHP Indigo 7600 Digital Press

同社が導入したHP Indigo 7600 Digital Press

2007年に導入したデジタル印刷機もその一環。小ロットジョブが徐々に増え始めてきたころだった。当初は売上への寄与度が低かったものの、ソリューション型の企画案件が増えるにしたがって、パーソナライゼーション印刷やセグメンテーション印刷を採用するクライアントが増え、小ロットジョブが徐々に拡大していった。

ジョブの増加が現場のリスクに

そうしたクライアントに向けたソリューションの一つが「Web to Print」。インターネットを介して印刷を発注できる仕組みで、同社では印刷通販のように不特定多数の顧客向けではなく、特定の顧客向けにサービスを展開している。

バリアブル印刷などデジタル印刷の業務が拡大

バリアブル印刷などデジタル印刷の業務が拡大

同社営業本部ソリューショングループの脇村浩ゼネラルマネージャーは「多拠点でビジネスを展開し、各拠点で異なる内容、部数、時期の販促物を利用している場合、それぞれの拠点で印刷を発注していたのでは中間コストが上がってしまう。本部(本社)が発注するにしても管理が煩雑で、一極集中する窓口の負担が重くなってしまう。Web to Printであれば発注コストを下げられて、拠点ごとの発注履歴が即座に把握できるなど管理負担も軽くなる」とその利点を挙げる。同社にとっても小口の案件で効率的に受注が集められ、営業担当者がより企画・提案に時間にさけるようになる。
Web to Printを採用するクライアントが増えるに伴って小ロット・多品種化が進み、受注件数は増えていく。現在、同社では「HP Indigo 7600 Digital Press」、「HP Indigo W7250 Digital Press」のデジタル印刷機が稼動しているが、このまま受注件数が増えて行けば、将来的に出力機のアウトプット能力に、プリプレス業務が追い付かないリスクが見えてきた。大ロットでも小ロットでもプリプレス業務に係るコスト、手間は同じ。小ロットで大ロットと同じプロセスを踏めば、単価が低い分、利益を圧迫しかねない。
同社の工務担当者は、後加工や発送を含めたデジタル印刷のプロセスを効率化するため、用紙やサイズが同じジョブをグループ化して生産し、無駄な印刷準備、加工準備が増えないよう工夫するとともに、作業指示書の入出力もまとめて処理するなど合理化を進めてきた。しかし、いずれ限界が来る。「繁忙期には特定のスペシャリストに業務が集中し、このまま物量が増えていけばパンクしかねない状況が見えていた。フロントから入ってきた案件をどう人的リソースに頼らず処理させるかが生産部門の課題だった」(脇村氏)という。Web to Printで受注件数を増やす仕組みができていても、それを担保する生産体制の再構築が急務となっていた。

1日がかりの出力準備がわずか1時間程度に短縮

オンデマンド出版で自動化フローを実現

オンデマンド出版で自動化フローを実現

プルキャストの「PC OneFlow」は、入稿されたPDFデータや受注情報から、生産計画やプリフライトチェック、面付け(オプション)、カラーマネジメント(オプション)などプリプレス処理の自動化をするワークフローソリューションで、外部ソフトウェアやデバイスとの連携にも柔軟に対応できる。同社では2015年暮れに導入し、まずは書籍のオンデマンド生産での活用を進めた。出版社のWebサイトで注文が発生すると、本のPDFデータと受注データがサーバーに送信される。それらのデータ、情報がPC OneFlowに流されると判型や納期などに基づき、予め決められた一定のルールに沿って同じ仕様のジョブがグループ化される。工務担当者は生産計画に基づき、それらのジョブを出力する順番を決める。面付けはワンクリックで終了する。
導入前はExcelデータでジョブの一覧を作成し、工務担当者が組み合わせをその都度考えていた。数十種類におよぶ製品仕様から、最適な組み合わせを決めるのに時間がかかっていた。さらに生産計画を立てた後、グループ化されたジョブの一覧をもとに、PDFデータを選択して面付けしていたが、デジタルフロントエンドの面付け機能では時間がかかる。生産計画から面付けするまでの出力準備に1日がかりだった。
PC OneFlow導入後は出力準備作業が1時間程度に短縮。工務担当者にかかっていた負担が分散された。「面付けソフトがパワフルなので、作業があっという間に終了する」(脇村氏)と省力化を実現したことで、プリプレス業務はクリックすれば誰でもできるようになった。
2016年3月現在、PC OneFlowはオンデマンド出版の業務で活用されているが、今後、チラシ、パンフレット、フォトブックなどにも対象範囲を広げていく。脇村氏は「受注内容がお客様ごとに状況が違うため、その都度、営業、工務、生産の各担当者が打ち合わせして最適な生産フローを相談していた。カラーマネジメントシステムで標準化した品質がお客様の了承が得られていけば、打ち合わせの手間がなくなり、生産フローの自動化がもっと進められると思う」と展望。「オンデマンド出版で前工程が激減しているメリットは大きい。他の業務に展開すればもっと大きな成果が得られると思う」と、PC OneFlowがもたらす自動化に期待を寄せる。

不二印刷株式会社
TEL 06-6365-8081
http://www.fujiprinting.com