ケープリント パーソナライズ印刷の市場戦略とPPCグループの展望 自社工場で完結するバリアブル印刷で高付加価値サービスを提供 

株式会社ケープリントは、東京都江東区の自社工場を拠点に、データ作成から印刷、特殊加工、アッセンブリ、発送代行までをワンストップで手がける。2026年2月5日付でPPCグループに加わったことで、プリプレス・センターが強みとするデザインや組版など前工程の体制も強化。総合力を高めた同社の代表取締役、藤田靖社長に「パーソナライズ印刷」について話を聞いた。

藤田社長は、不特定多数へ向けた大量印刷の時代が終焉を迎え、印刷物の需要が減少し続ける中で、一部あたりのコスト上昇に見合う「成果」と「価値」が不可欠であると指摘する。

同社にはQRコードを活用したバリアブル印刷の相談・依頼が週に数件寄せられており、その主目的は顧客特性の紐付けと分析にある。藤田社長は、パーソナライズ印刷を「単なる手法ではなく、マーケティングの入り口」だと位置付けており、「印刷をしたら終わり、ではありません。DMを受け取った人がウェブサイトを見たのか、どれだけ滞在したのか、商品購入につながったのか、何回再訪したのか。そこまで分析して初めて意味があると思います」と語った。

藤田社長

この背景には、「Salesforce」などの顧客管理分析ツールの普及と、一斉配布される「ばら撒きDM」の効果減退がある。デジタル疲れが進む現代では、ターゲットを細分化したパーソナライズDMは、顧客一人ひとりに適した情報を届けるOne to Oneマーケティングの手法として評価されている。藤田社長は、高度化するクライアントの要求に応えるためには、従来の受動的な受注スタイルだけでなく、蓄積したノウハウを基に印刷会社が主導権を持つ企画提案型ビジネスへの転換も選択肢のひとつであると述べ、「これまでの印刷会社は、お客様から投げられたボールを受けて返す仕事が中心でした。しかし、こちらにもノウハウや仕組みがある。もっと任せてもらえれば、企画や運用まで含めて提案できるはずです」と述べた。

個人情報や顧客データを扱うバリアブル印刷には、セキュリティ対策が必須となる。ケープリントはプライバシーマークを取得しており、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の指針に基づき、個人情報の取扱いに関わるPDCAサイクル(計画・実施・点検・改善)を厳格に運用する。これにより、秘匿性の高いマーケティングデータを用いた印刷業務においても、安全かつ適切な管理体制を維持している。

生産体制を支える技術面では、オフセット印刷とデジタル印刷の両輪で対応する。オフセット印刷機はリョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社の「RMGT9-A全判8色印刷機(LED-UV搭載)」や「RMGT7-B2判6色機」を擁し、デジタル印刷機は、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社(富士BI)の「Revoria Press PC1120」や「Iridesse Production Press」を配備している。また、高度なバリアブルデータ処理を可能にする富士BIの自動組版ソフト「 FormMagic」を運用し、複雑な条件のバリアブルデータ作成も「自動判断組」で高速処理する。

Revoria Press PC1120

同社は、バリアブル印刷技術を核とした多彩な販促ソリューションを提供している。店舗名や地図を差し替えたQRコード付きチラシや、クーポンコードを印字した販促物により、精緻な効果測定を可能にする。また、箔押し加工でプレミアム感を演出したナンバリング入りチケットや、シール素材への可変印刷、ロゴを中央に配置できるQRコードシールなど、多角的な製品展開を行う。

さらに、小ロットからのオーダーメイドに対応した「オリジナルリボン印刷」では、ポリエステルサテンにロゴやメッセージ、QRコードを熱転写方式で高精細に印字する。最小3メートルからという極小ロットかつ短納期での提供を実現し、ブランド価値向上に寄与する。
2026年6月からは、新サービスとして「商品券印刷」を本格始動した。地域振興券やプレミアム商品券を対象に、数万枚規模の案件にも対応できる。同サービスでは、金箔・銀箔・ホログラム箔に加え、見る角度で色が変化する「チェンジング箔」や精密な「ライン箔」など、コピーやスキャンによる複製を抑制する高度な偽造防止加工を施し、管理性と高級感を両立させる。

バリアブル印刷を活用したチケット
新サービスの「オリジナルリボン印刷」

ケープリントが所属するPPCグループは、ポジティブ(P)、パッション(P)、クリエイティブ(C)の3要素を掲げている。グループ内には、株式会社ケープリント、株式会社プリプレス・センター、株式会社DMC、株式会社トライス、若越印刷株式会社、創文堂印刷株式会社、北海道磁気印刷株式会社の7社が所属し、藤田社長は「親会社・子会社というより、各社が対等な立場で強みを持ち寄る関係です」と説明する。
江東区の拠点はパッケージ印刷から商業印刷全般までを網羅するコア拠点として機能し、プリプレス・センターが加わったことでデザインや組版など前工程からの総合力が飛躍的に向上したという。

今後の展望として、2005年から導入している経営管理システム(MIS)に加えてAIを活用し、グループ全体で最適な提案を行う体制を整える。

藤田社長は、これまで印刷会社がで主流だった「刷って納める」ことだけで完結していたビジネスモデルを見直し、将来的にはバリアブル印刷を起点とした将来予測やデータ分析、運用の仕組みそのものを提供する「仕組みの提供者」への変革を目指す

  • 企業情報
  • 株式会社ケープリント
  • 東京都江東区東砂8-5-1
  • 電話:03-5683-3313
  • HP:https://www.kpr.co.jp/

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