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ハイデルベルグ・ジャパン IGASでメンテンナンスのDX化を実現するアプリケーション「メンテナンスマネージャー4.0」発表

佐川印刷・佐川社長(左)とハイデルベルグ・ジャパンのバウア―社長

ハイデルベルグ・ジャパン株式会社は、11月25日、IGAS2022の東6ホールの同社ブースにおいて、メンテンナンスのDX化を実現する新しいアプリケーション「メンテナンスマネージャー4.0」について発表した。今回の発表は、日本のユーザーも利用できることになったことを機に行われたもので、当日は2022年5月から既にアプリケーションを利用しパイロットユーザーとなっている佐川印刷株式会社の佐川正純社長氏を招き、導入効果や活用の意義についても語られた。

「メンテナンスマネージャー4.0」
「メンテナンスマネージャー4.0」は、こうした複雑なメンテナンスを簡素化し、メンテナンスのDXを進める新しいアプリケーション。
製造業において機械のメンテンナンスは、生産に関係する機械の突然の故障やそれに伴う突発停止などをなくすために必要不可欠な業務である。しかし実際には、機械のどの部分を、いつ、どのように、どれくらいの時間をかけて行えばよいか、メンテンナンスの記録をどのように残すのか、メンテナンス記録をどのように社内でシェアすべきか、過去のメンテンナンス記録はどうなっているのかといった課題があり、適切なタイミングで取り組むことは簡単ではなかった。「メンテナンスマネージャー4.0」こうした課題を解決するツールとなる。
デジタルなので分厚いメンテナンスマニュアルは不要になり、すべての情報がデジタル化される。そのためスマホやタブレットで、いつでもどこでも確認でき、調べたいことの検索も容易。機械のどの部分をいつメンテナンスすればいいのかをAIが最適なタイミングを見つけて示し、メンテナンス記録を残したり、その情報を社内でシェアすることも簡単に実行することが可能になる。

会見冒頭、ハイデルベルグ・ジャパンのヨルグ・バウアー社長が登壇し、「メンテナンスマネージャー4.0」の活用意義について、「印刷会社のDXを促進するためのツールであり、突発的なマシンダウンの回数を劇的に減らすことができることをお伝えしたい」と紹介した。F1レースにおけるコックピット作業を例えに挙げ、「F1レースは素晴らしい車やパワフルなエンジンだけでなく、ピットイン後の作業が大事です。F1レースにとってパンク事故は命取りであり、パンクによる事故を起こさないために的確なタイミングでパンク交換を行う必要があります。印刷機械のメンテナンスも同様であり、メンテナンスマネージャー4.0は印刷機械を常に最高の状態にキープし、突発的なマシンダウンを減らすことをお手伝いするツールです」と紹介した。

あいさつするバウアー社長

経営戦略としてDX化に取り組む
続いて、「メンテナンスマネージャー4.0」についての開設が行われた後、佐川印刷・佐川社長が登壇し、導入の理由、その目的、使い心地、会社としての戦略に至る思いまで語った。
なお佐川印刷株式会社では、2022年5月から使い始めており、それを期に、紙によるメンテナンスチェックリストも撤廃し、スマートデバイスによる運用を開始している。

まず、DX化への取り組みについて
「ハイデルベルグのシステム丈夫であり、とても良い機械ですが、時代とともに電子化が進み、さらに高速化され、それに伴い複雑化しています。そうなると、修理や故障への対応が難しくなり、ハイデルベルグの機械を諦めるという会社がでてくるということがあります。しかし、これは誰のせいなのかということです。物事について、自分達が変わることで世の中が変えられるという基本的な考え方、”責任自分説”が大切だと思っています」。
そして、「ハイデルベルグさんといえばPush to Stopやプリネクトなど生産性、効率化のための考え方、取り組みがについてお聞きすることが多いと思います。この考え方や仕組みは素晴らしいですが、それにより機械はずっと動き続けるという点に私は注目しました。
例えば、最高速度1万8,0000回転で動かし、短時間で処理するためにジョブを次から次に切り替えていくということは、印刷機にものすごくストレスが掛かります。童話の『うさぎとカメ』のように、スピードの早いうさぎが途中で休んでいる間に、歩みを止めないカメが先にゴールに到着するというお話と同じです。」

メンテナンスマネージャー4.0の導入背景からDX化による経営戦略まで語った佐川社長

「見学させて頂いた会社の中には、24時間印刷機を稼働しても、翌日は1日かけてメンテナンスしているという会社もありました。そうした会社が本当に生産性が高いといえるのか、突発的な故障で止まることはないのかということに疑問を持ちました。そこで、機械が緊急停止しないアプローチはできないかと考えるようになりました」と経緯が語られた。
さらにこの考え方に至った背景について、「約10年前、機械が停止し、夜中に緊急にサービスマンを呼ぶ事態がありました。そして翌朝会社に行くと、サービスマンの車が止まっており、サービスマンが寝ているのを見ました。サービスマンは緊急で呼ばれたので、遠くから車で来て一晩かけてメンテをして、車の中で寝ていました。こうした姿を見て、有難い気持ちもあった一方で、夜中に対応しなけらばならない状況をなんとかしないといけないと思いました」。
実際、佐川印刷は働き方改革を進め、ダイバーシティ経営100選で経済産業大臣表彰を受けた会社となっており、現在は「女性社員のほとんどが結婚や出産しても退職しない会社になっています。10年かけて創り上げてきました」と語った。

自分たちの機械は自分達で守る
「定期的なメンテをきちんとすることで緊急停止をすることなく、大きな修理が発生しないということを戦略として考えました。きちんとしたメンテナンス、気候や風土の違いにたいする理解など様々な角度から対策を立てることで、昨年1年間はハイデルベルグの8色機で緊急コールを呼ぶことはありませんでした。この数年のうち、緊急コールを呼んだことは年に1回、多くても2回くらいで維持しています。そうした状態を創り上げています」と現状について解説。
これについて、「今回ご紹介したDXツールが必要という話ではありませんが、沢山の項目があるチェックリストをきちんと取り組み、やるべきことをしていけば “カメ” になれます。『自分たちの機械は自分達で守る』というのが弊社の工場の方針です。この取り組みを、DXツールで行うことを提案して頂き、『メンテナンスマネージャー』の導入に至ったのです」。

新しいツールの導入について、現場が嫌がる傾向があっても、積極的に使うことが重要だと語った。それは、「DXの波に乗ろうとメンテナンスマネージャーを使い始めました。ソフトのよいところは、バージョンアップができるところです。そして連携することでメーカーとユーザーが繋がることができ、DXの恩恵が受けられます。今や、他の産業でもスマートデバイスを使うことは当たり前になってきています。し、メンテナンスマネージャーはチェックすべき内容がリストアップしてあり、そこに必要な標準時間ものっています。またメンテナンスの時間がとれない場合も、時間内でできるメニューも作り直してくれて、持ち越した分は別の日にスケジューリングできる。そこまでメンテナンスマネージャー4.0では対応しています。今後バージョンアップすれば、さらによくなっていくと思います」。
さらには、「早く使いだして馴れることです。自社で見つけた改善点はフィードバックする。メーカーが全ての情報をもっているわけではなく、我々が取り組んでいることが将来、メーカーに反映される。メーカート共に創り上げる “共創” がDXの世界では必要だと思っています」。

なお佐川印刷では、過去の修理履歴のビックデータやAIを利用して、壊れそうな箇所を壊れる前に認識することにより、点検、部品等の交換を実施し、突発的な機械停止を回避することのできるプレディクティブモニタリングも高く評価し、メンテンナンスマネージャーと同時に今年5月より使い始めている。「メンテンナンスマネージャーという DX ツールを使い、今まででは考えられなかったような簡単、効率的な方法で、スローガンどおり自分たちの機械を自分たちで守りながら、もう一方で、プレディクティブモニタリングで機械の状況を常に監視してもらうことによって、いつでも安心、安定して機械を稼働するための万全の体制を整えています」 と紹介した。

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