金羊社 印刷の魅力を体験と学びで伝える2日間、金羊社「いろはフェスタ2025」開催 約1600人来場し地域と業界が交差する場に
株式会社金羊社は、6月27日から28日までの2日間、東京都・大田区の本社で「印刷のいろはフェスタ2025」を開催した。両日でおよそ1,600名が来場し、印刷の魅力に触れながら、地域住民と業界関係者が交わる場となった。
地域に開かれた4フロアの展示空間、保育園児から業界関係者まで
同イベントは、社屋の1階から4階までをまるごと使う大規模開催となった。パッケージ印刷や音楽・映像関連の展示のほか、ブランドや酒類のパッケージ、インテリア向けのタイルやカーペットへのプリントなど、幅広い印刷物が一堂に並んだ。
また、創業99年を迎える金羊社の歴史を振り返る展示や、社内報の一部を公開するコーナーも設けられ、来場者にとって同社のこれまでと今を深く知る機会にもなっていた。
地元住民のほか、近隣保育園の園児たちが多数来場し、印刷という仕事を身近に感じるきっかけとなっていたことも特色として大きい。保護者や子どもたちが一緒に楽しめる場面も多く、地域と企業の結びつきを感じさせる2日間となった。
色の重なりを学ぶ「フィルムラリー」で印刷の原理に触れる
各フロアにはC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4枚のフィルムが散りばめられ、すべてを集めて重ね合わせることで1枚のイラストが完成する「フィルムラリー」が実施された。
重ねる順番によって絵の印象が変化するこの仕掛けは、印刷の基本であるプロセスカラーの考え方を、楽しみながら自然に学べる工夫として、来場者からの好評を博していた。
大人も子どもも熱中した体験コーナーが盛況
フェスタの中でも、特に人気が高かったのが、印刷の魅力を直に体験できる「いろはフェスタ体験コーナー」。ここでは、オリジナルリングノートの制作や、CDジャケットの組み立て体験など、印刷物が完成するまでの流れを“体験”として楽しめるように構成されていた。
CDジャケット制作体験では、好きなデザインを選び、発注書に記入し、実際に材料を受け取って組み立てる工程が設けられており、お仕事体験のような楽しさが子どもたちに人気だった。
また、DICグラフィックスの協力により開催されたカラーガイドワークショップでは、使わなくなったカラーガイドを活用し、クラフトパンチで穴を開けて台紙に貼ることでオリジナルカードを作成。年齢を問わず、来場者が集中して制作に取り組んでいた。このワークショップは、養護施設や保育園などでも取り入れられている実績を持ち、教育的な意義も高い活動としてフェスタ内でも存在感を示した。
世界の絵本と旅をテーマにした「ワールドライブラリー」ブース
世界の絵本を翻訳出版するサービスを提供している「ワールドライブラリー」は「イギリス旅行」をテーマに、子ども向けのクイズやパスポート風ノベルティを展開。大きなフォトスポットも設置されており来場者は旅行気分を楽しんだ。
さらに28日には巨大絵本の読み聞かせも実施され、小さな来場者が夢中になる光景が広がった。
実践型ワークショップで印刷を体感、モリサワの協力も
実際に手を動かして学べる体験型のワークショップも充実していた。タイルを使った小物入れづくりなどのクラフト系に加え、株式会社モリサワが協力したフォントに関するワークショップも人気を集めた。
校正体験ができる間違い探しや、機械を操作し見本に合わせてバリアブルフォントを作成するゲームなど、文字に関わる仕事を実感できる構成となっており、大人も子どもも真剣に取り組んでいた。
地域クリエイターとつながる「いろはマルシェ」
来場者とものづくり作家が交流できる「いろはマルシェ」では、紙製品や革小物、消しゴムはんこなど、個性豊かなアイテムが並んだ。法人・個人問わず出店があり、大田区出身のクリエイター、ちにゅり氏なども出展。金羊社とクリエイターとのつながりの場として機能していた点も、同イベントの価値を高めていた。