大阪シーリング印刷 ミヤコシの広幅・高性能なインクジェット機と門司工場を公開 軟包装事業の中核化へ加速、水性インクで環境配慮・高速高精細印刷を実現 

OSPグループである大阪シーリング印刷株式会社は5月20日、門司工場において4月より本格稼働を開始したミヤコシ製造「軟包装フィルム用フルカラー水性インクジェット印刷機」と自動化を駆使した門司工場「新棟」を報道関係者に公開した。導入された株式会社ミヤコシの「軟包装フィルム用フルカラー水性インクジェット印刷機」は最大印刷幅が1,050㎜でありながら、一般的な水性インクジェット印刷機と比べて2.3倍の生産能力があり、微細⽂字の再現が可能で高品質の仕上がりを実現。大阪シーリング印刷オリジナル仕様でミヤコシが約2年かけて製造・完成した。

水性インクと無溶剤接着でにおい移りと環境負荷を低減へ

パッケージにおける軟包装フィルムは、軽量かつ薄肉で透明性やバリア性により、食品や日用品、雑貨をはじめ様々な商品に採用されている。しかし、製造時に使用する有機溶剤のにおいが内容物に移る場合があり、特に惣菜・弁当、魚介水産加工品、洋菓子・和菓子など食品関連では懸念されている。しかし、水性インクを使用し、有機溶剤を使用しないタイプの接着剤で貼り合わせすることで、残留溶剤の心配がなくなる。

 液体インクは水性と油性があり、速乾性と仕上がりの美しさから有機溶剤を使用した油性インクが主流となっている。しかし、製造時の有機溶剤に起因するCO₂・VOCの排出は避けられず、環境への負荷が課題となっていた。

門司工場で製造しているパッケージ

OSPグループでは、SDGsの観点から環境配慮型製品の開発や製品化を強化しており、製造についても水性インク使用や有機溶剤を削減した環境配慮型の印刷方式を積極的に導入。揮発性有機化合物による印刷機械オペレーターへの影響は、業界として長年の課題の一つとなっている。その解決策の一環として水性インクを使用する印刷機を増設し、職場環境の改善につなげ、より持続可能な事業形態を構築した。

高精度・高速対応の水性インクジェットで軟包装印刷を高画質・効率化へ

軟包装フィルム用フルカラー水性インクジェット印刷機は、分速80m(最高分速100m)で高速印刷を実現。印刷の位置精度を高めるためカラーに対するホワイトの拡縮補正値を自動で算出、ワンステップ・アラインメント機能補正など搭載。ホワイトダブルヘッドは高濃度の白さを引き出し、他のカラーを引き立てる。 高解像度ヘッドを搭載することにより1200dpi×1200dpiの高画質で、文字がはっきりと、写真は色鮮やかに表現する。また絵柄切替はノンストップで異なるジョブを連続出力し、多品種小中ロットを効率的に生産する。
大阪シーリング印刷では、フィルム製品を門司工場(福岡県北九州市)と岡山工場(岡山県岡山市)で製造しており、門司工場は、今回の水性インクジェット印刷のほかデジタル印刷、凸版印刷、グラビア印刷など、用途に適したインクと印刷方式の対応が可能で顧客に最適な印刷方式を提案できるよう印刷機を拡充し、生産体制を強化する。

 「軟包装フィルム用フルカラー水性インクジェット印刷機」を製造したミヤコシは、産業用の印刷機やデジタル印刷機、特殊加工機の設計・製造・販売・メンテナンスまでをトータルに提供する機械メーカー。従来の紙メディアにとどまらず、シール・ラベル、カートン、軟包装フィルムなど、様々な基材を対象とした軟包装印刷機械にも事業領域を広げている。

水性インクジェット印刷機(ミヤコシ製造)
AGFが製品を積載

門司工場見学会

大阪シーリング印刷門司工場の新棟外観

また、大阪シーリング印刷は5月20日、門司工場において4月より本格稼働を開始したミヤコシ製造「軟包装フィルム用フルカラー水性インクジェット印刷機」と自動化を駆使した門司工場「新棟」を報道関係者に公開した。

大阪シーリング仕様の軟包装水性インクジェット印刷機は、揮発性有機化合物(VOC)を低減し、広幅印刷・高速・高品質スペックを誇る。OSPホールディングスの武藤仁紀専務取締役COOは「小売を含めた食品関連業界は、フードロス削減から廃棄を極少化するため、商品の回転を高めているので、弊社のワンストップの提案力やより小ロットで多品種対応が求められている。小ロット領域を軸にイノベーションを起こし、環境と人により良い、よりやさしいフィルムパッケージ事業をデザインする。OSPグループの軟包装フィルム事業を現在の180億円から250億円に押し上げ、シール・ラベルに次ぐ中核事業とする」と意気込みを語った。

大阪シーリング印刷 門司工場の新棟ならびにミヤコシ製・軟包装フィルム用フルカラー水性インクジェット印刷機の報道関係者公開会には、OSPホールディングスの武藤仁紀専務取締役COO、高倉剛司執行役員経営企画本部長、大阪シーリング印刷の武藤徳行常務執行役員フィルムコンバーティングカンパニー長、小泉渡志執行役員フイルムコンバーティングカンパニー統括工場長が出席した。

OSPホールディングスの武藤仁紀専務取締役COOは「デジタル印刷化の浸透、フードロス削減意識から過剰在庫にならないよう必要分を製造しているため商品の回転が加速している。こうした市場背景からOSPグループは、小ロット多品種から大ロットまでカバーする軟包装フィルム事業を展開し、軟包装市場で独自のポジションを築き、OSP軟包装フィルム事業を現在の180億円から250億円に押し上げる。小ロット領域にイノベーションを起こし、環境と人に、よりやさしいフィルムパッケージ事業をデザインして行く」と意気込みを語った。

右からOSP武藤常務、ミヤコシ宮腰社長、大阪シーリング印刷高倉執行役員、小泉執行役員
水性インクジェット輪転機
アームロボットがフイルム原反をAVに搭載
加工機へ自動集積装置設備(合紙ばさみ搭載は国内初)

水性インク印刷機も本格稼働で省エネ・省人化を推進

大阪シーリング印刷の武藤徳行常務執行役員フィルムコンバーティングカンパニー長は軟包装水性インクジェット印刷機の本格稼働と新棟完成について「OSPグループは脱炭素、脱プラ、VOC削減、CO2減など環境負荷低減のために製造プロセスの自動化と環境設備の先行投資として水性インクジェット印刷機を導入し本格稼働した。門司工場は1994年に竣工し、大阪シーリング印刷の全国8拠点の中でも、フィルム製品専用工場として重要な役割を担っている。特に、環境配慮型の製造体制や自動化の推進において先進的な取組みを行っている。2024年に完成した第8棟目となるI棟は、鉄骨造3階建て、延床面積約7,918㎡(約2,395坪)、投資金額は約70億円、ドライラミ接着剤の硬化設備にエージングBOXを採用し、温風調整による消費エネルギーとCO₂排出削減に寄与している。また廃熱を利用したサーモコイルの導入により、エネルギー(LPガス)の使用量を約3割削減することでCO₂を削減する。従業員の作業スペースを確保するとともに、作業工程を自動化し、省人化を実現した」と新棟の意義を説明した。

水性インクジェット機のフイルム部(上部)
インクジェット部

【OSPグループ】

シール・ラベル、フィルム製品、紙器パッケージ、販促ツールのワンストップサービスを中心に、北海道から沖縄まで全国的に事業を展開。安定した経営基盤を有する大阪シーリング印刷を中核とした、国内9社、海外7社の計16社でパッケージソリューションを提供する。大手食品メーカー、スーパー・コンビニエンスストア、物流関係企業から、中小企業まで、幅広い層の企業と取引。売上高はグループ連結1,112億円、従業員数は連結4,641名。中核の大阪シーリング印刷株式会社はシール・ラベル、フィルム製品、紙器パッケージ、販促ツールの製造。営業拠点国内33拠点。

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