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岩通 クライアント基点のビジネスが成功につながる

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2016.4.7

 デジタル印刷がもたらす価値とはクライアントのビジネスの成功への寄与といえる。確かにデジタル印刷は小ロット・多品種生産に最適な手法である。受注ロットにより版を利用した既存の印刷機とデジタル印刷機のラインを振り分けることで稼動率の向上が見込める。ただそれだけでは価格勝負となってしまい、ただでさえ単価が低くなりがちなデジタル印刷向けの小ロットでは利益が出にくい。小ロットのジョブを効率よく大量に集め、規模を追求しなければビジネスとして成立しにくいだろう。
岩崎通信機のデジタルラベル印刷機「LabelMeister」ユーザーの多くは、クライアントの業務改善や売上向上などに沿ったビジネスモデルを構築している。クライアントの課題を見出し、デジタル印刷という手法を使って解決する。
 
ヨドヤ包装~生鮮食品ラベルの課題を解決

 ヨドヤ包装株式会社(大阪市)は、岩崎通信機のデジタルラベル印刷機「Label Meister EM-250W」2台を設置し、食品流通向けのオンデマンドラベルの供給体制を強化した。
 食品流通業界の課題は、平成21年のJAS法に基づく食品の産地表示違反の厳罰化。全国展開している大手流通業は、産地表示なしで生鮮食品を販売できず、その結果、全国統一の包装材が減少。仕入れた地域で産地表示するようになると、包装材の小ロット化は一気に進んだ。
 これまでグラビア印刷で大量に印刷していた包装材では在庫と廃棄ロスの増加を招く。クライアント、印刷会社のどちらが在庫を保管しようと、現金になっていない在庫はキャッシュフローを悪化させる。同社ではいち早く、デジタル印刷システムで出力したラベルによる産地表示を提案。無地の包装にラベルで産地表示し、小ロットに対応する。
 同社の寺田和夫社長は、「万単位で発注すれば単価は安くなるが、規格が変われば在庫が全数廃棄となる。ラベルの単価は高くなったものの、在庫と年間の仕入れ額が下がったため、全面的に当社に切り替えたお客様もいる」と述べる。
 また、野菜や果物は天候で収穫量や品質が左右される。出来高やサイズによって4個入りの作物が6個入りで販売されたり、時期によって収穫量が極端に上下にぶれたりするため、必要となるラベルの数や種類は日によって変動する。このため、同社では最短で当日受注・生産・発送で翌日到着のサービスを開始した。このビジネスモデルにLabelMeisterを採用。冷蔵庫から常温野菜や果物を常温に移した際の水滴の付着に対応できる合成紙への出力も可能で、ラベルの用途を大きく広げた。LabelMeisterの生産フローには後工程が入るため、最短で翌々日納品となるが、クライアントから高い評価を得ている。
 
共進社印刷~多品種の試薬ラベルに活用

 共進社印刷株式会社(大阪市)は1日当たり180~200種類の試薬ラベルを生産している。試薬は化学分析、実験、試験研究、検査等に用いられるため、数枚からの小ロットが求められる。このため、同社では2011年6月に産業用デジタルラベル印刷機「LabelMeister EM-250A」を導入してリードタイムを短縮し、多品種・少量印刷の適性を大幅に向上。現在、3号機を設置するまでに需要が増加している。
試薬は劇薬が多い。ラベルには耐薬品性が高い合成紙が使われる。インクの合成紙への定着・乾燥性からLabelMeisterがUVインクを採用している点も評価のポイントになった。かつて受注から1ヵ月かかっていた納期は3日に短縮。LabelMeisterによるリードタイム削減の効果に合わせ、あらかじめ型を抜いたブランクラベルの使用と、クライアントの生産管理システムと連携したWeb受注の仕組みで短納期の生産体制を構築した。
 基材は4種類に絞り込み、緻密な生産計画により段取り替えの回数を削減した。200種類のラベルの型を用意しながらも、多品種・少量生産の体制を作り上げた。
 試薬のラベルには可変情報の表示が求められることが増えているという。ある検査機関では検査機器を用いて試薬の製造ロット番号や使用状況をバーコードで読み取り、自動で記録できる仕組みを使っている。血液検査薬など、緻密なデータの記録が必要な場合、1点1点異なるバーコードが添付されるため、バリアブル印刷が欠かせない。今後は安全面から流通時のトレーサビリティー(追跡調査)や偽造品の防止からもバリアブル印刷の需要増加が見込まれるという。
 
大東マーク工業~生産スピードが飛躍的に向上

大東マーク工業の新たなラベル製品

大東マーク工業の新たなラベル製品

 株式会社大東マーク工業(東京都)はデジタル印刷で顧客価値を向上した結果、工業製品系のラベルを主体とした業態からの変革に成功している。リーマンショック以前の工業製品系ラベルの売上は9割。しかし、当時の急激な円高で製造業の海外移転が進み、需要減少のリスクが高まっていた。同社ではLabelMeisterを導入し、ルートセールスだけの営業形態から提案型の営業への改革に着手。営業担当者は専門講師による講習を受け、新たな営業ツールを開発した。その結果、2013年の段階で工業製品系の売上比率は6割となり、その分、新しい需要を獲得した。
 例えば、衣料品のタグ。サイズ表記と管理番号が入るため、多品種となる。同社が受注するのは100~数万枚のロットで、何百種類もあるフルカラー。しかも1回当たりの受注量は合計40万枚になる。従来はアナログの生産工程で、製造する都度に版を使っていた。版替え作業が頻繁に発生し、印刷機の稼働率は低下。アナログ生産ではコストが高くなるため、海外の企業に仕事が移ってしまった時期があった。
 LabelMeisterでタグを生産するようになってからは、「お客様がデジタル印刷をいたく気に入って下さり、今ではデジタルでなければダメだというほど」と高く評価されている。生産コストが大幅に削減されただけでなく、生産スピードが飛躍的に向上。1日かかっていた仕事が半日で終わるペースで納期の対応力も上がった。
 
丸天産業~B to Cへの挑戦、在庫を最小限に

丸天産業のマスキングテープ

丸天産業のマスキングテープ

 丸天産業株式会社(福山市)は「ラウンドトップ」ブランドを立ち上げ、一般消費者向けにマスキングテープなどの商材を開発・販売し、B to Cのビジネスを本格化させている。作った製品が100%買い取られることを前提にした受注型のビジネス形態と異なり、自社製品の開発・販売は在庫リスクが常に隣り合わせ。消費者嗜好が多様化している中、開発のスピードも求められる。同社ではLabel Meisterにより、新たな市場を獲得した。
 マスキングテープなどの商材の購買者は主にバイヤー。しかし、実際に業者の多くが過剰在庫に悩まされていた。メーカーである同社にとっても在庫のリスクは最小限にしたい。また、顧客が売れるか売れないかの意志判断に困っている場合、まず、デジタル印刷で試作品を小ロット生産し、テストマーケティングをした上で、売れるようであればオフセット印刷で大量に印刷するハイブリッド印刷も提案できるようになった。
 
 各社に共通するのはクライアントの課題解決。その上でLabelMeisterの特性を引き出し、有効活用している。また、デジタル印刷による次のビジネス展開を見据えているのも特徴で、成功が次のチャレンジにつながる好循環を生んでいる。ここに取り上げた各社は、印刷需要が低迷していると言われている中でも、クライアントへのアプローチの仕方で成長していけることを示している。
 
岩崎通信機株式会社
TEL03-5370-5476
https://www.iwatsu.co.jp