【インタビュー】イリスホールディングス:代表原田光治氏 印刷業向けAI人材育成を本格化 実践型研修「データアナリストアカデミー」を開校
株式会社イリスホールディングスは2026年4月から、印刷業界を対象としたAI活用研修「データアナリストアカデミー(DAA)」の第2期を開校する。同社代表の原田光治氏へのインタビューを通じて、DAA開講の狙いと、印刷業でのAIの可能性について聞いた。
収益につなげるAI活用
急速に進展する生成AIやデータ活用技術を背景に、印刷業におけるデザイン、業務プロセス、価値提供の在り方が大きく変わりつつある中、実際の印刷業務の現場で実装できるAI活用力の早期習得を目的とした取り組みが必要となっている。
データアナリストアカデミー(DAA)は第1期を2025年10月に開講して以降、50社以上、延べ500名を超える受講者が参加している。印刷会社の経営層から現場担当者まで幅広い層が受講し、実務に直結する内容として高い反響を得ている。こうした反応を受け、同社は2026年4月からの第2期の開校を決定した。
同社では、AIを活用することで印刷業は十分に収益を伸ばせる産業になると捉えている。効率化や省力化にとどまらず、データ活用やパーソナライゼーションによって付加価値を高め、新たな収益機会を生み出せる余地が大きい。
AI活用のための思考転換と現場実装
原田氏は「印刷業とAIは相性が良い。AIによって業務は大きく進化し、収益機会も広がる」と語る。そしてAIの時代では技術そのものよりもデザイン思考への転換が必要だと考えている。
従来の印刷業では、「準備を整えてから作る」「失敗しないように作る」といった慎重な進め方が主流だった。しかしAI時代においては、「まず作る」「試す」「失敗から学び、作り直す」というプロセスへと転換する必要があると考えている。
同社では実際に、新入社員に積極的にAIを使わせる取り組みを行ってきた。柔軟な発想でAIを使いこなすことで作業効率が大きく向上し、入社から一年足らずで既存社員と同等の業務を担えるようになった例もあるという。その結果、AIに関する知識や使い方を既存社員が新入社員に尋ねる場面も見られるようになっている。
こうした経験から、従来の延長線上で考えるのではなく、AIを前提とした役割やポジションを設けることの有効性を実感しているという。必ずしも全社員が高度なAIスキルを身につける必要はなく、AIを使いこなす人材を中心に、組織全体の生産性を高めていく考え方だ。
原田氏は、AIを活用することで印刷業は今後も収益性を高められる産業になり得るとの考えを示し、「そのために印刷業界の先を走ることが自分たちの使命だ」と語った。さらに「DAAを通じて印刷業が一段階上のステージに進んでほしい」と期待を寄せた。
知識習得にとどまらない実践型スクール
DAAの特徴は、単なる知識提供に終わらない点にある。AIやデータ分析の基礎を学ぶだけでなく、実際に業務で使うことを前提としたカリキュラムを組んでいる。講義で使用したプロンプト(AIへの指示文)をそのまま提供し、受講後も現場で活用することができる。
講義毎に明確なゴールが設定されており、AIを活用したビジネスモデルや業務改善案をアウトプットする。そのため、学んで終わりではなく考え、試し、形にするプロセスを重視した構成となっている。
また、通常カリキュラムに加え、外部講師による特別講義も予定されている。米サンフランシスコに本社を構え、AIを活用した企業支援を行うbtrax, Inc.のCEO & FounderであるBrandon K. Hill氏をはじめ、著書『生成AI導入の教科書』などで知られるおざけん氏、『AIを使って考える全技術』の著者である石井力重氏、さらに東京大学大学院客員教授でマーケティングを専門とし、花王においてデジタル・マーケティングを手がけてきた本間充氏が登壇する。この特別講義はセミナーを登録していない経営者らも参加できる。
実務と理論、国内外の視点を織り交ぜることで、印刷業界におけるAI活用の現在地と可能性を立体的に学べる構成としている。
なお、受講費用は、厚生労働省の「人材開発支援助成金」の申請対象となっており、制度を活用することができる。
教育と実装を両輪で進めるAI活用支援
同社は教育だけでなく、技術面の支援にも力を入れている。現在、富士フイルムグラフィックソリューションズ株式会社にソフトウェア開発を依頼し、AIを搭載したワークフローシステムの開発を進めている。夜間にパーソナライズされた印刷データを自動生成し、システム上で自動的に印刷までこなし、朝には裁断するだけで仕上がる仕組みを想定しており、2026年3月のリリースを予定している。
印刷業界、デザインや制作の現場は大きな転換点を迎えている。今後はIllustratorやPhotoshopの役割も変化し、AI分析を活用したパーソナライゼーション印刷やデータ起点の提案が増えていく可能性が高い。このように変化する環境に対し、同社では企業が変化に適応し続けるための基盤づくりを支援していく。
DAAは、印刷業界におけるAI活用を「一部の先進事例」にとどめず、現場レベルで定着させることを目指す取り組みといえる。原田氏は「DAAを通じて、教育と実装の両輪を回しながら、業界全体の底上げにつなげていきたい」と語っている。
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- 1月28日(水)13:00~15:00/1月30日(金)11:00~12:00/2月10日(火)13:00~14:00
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