【インタビュー】RMGT:代表取締役社長 広川勝士氏 ますます高まる「RMGT-CSPI」への期待と役割 印刷周辺の課題解決へ、企業連携でソリューション提案

印刷をコアに周辺領域に事業を拡げるワンストップサービスは印刷会社が業態を変革する有効な手段として取り入れられている。その傾向が進む中、リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社はオフセット印刷機の製造・販売を軸にしながら、ユーザーが抱える課題に積極的に応えている。「印刷をコアに周辺領域を取り込む印刷会社様をご支援するには、私たちも事業の幅を広げなければなりません」と語る同社代表取締役社長の広川勝士氏に話を聞いた。

2025年の印刷業界は、新しく工場を建て、設備を導入するというポジティブなお話の一方で廃業も少なくありませんでした。M&A等による再編も進んでいるように思います。人材の確保が難しく、また人件費等の固定費が上がる中で、企業統合により経営資源の効率化や競争力の強化を目指す経営戦略を指向しているのだと思います。
そうした状況の中で、印刷会社の経営者の方々は自社の強みをいかに持つかを考えておられます。印刷だけの事業に特化したビジネスモデルは、付加価値を広げるという側面においては難しくなっています。印刷を軸にデザインや配送など前後工程に領域を広げて、ワンストップでトータル的に付加価値を獲得する傾向を強く感じています。クライアントの業務の一部を請け負うBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)に取り組む印刷会社様も増えているようです。

広川勝士氏


ただし、コアになるのは印刷です。成功されている印刷会社様の傾向を見ると、印刷を起点にクライアントとつながり、領域を広げるのが正攻法といえます。したがってクライアントとの接点となる印刷で品質や納期対応といった点が手薄になってしまっては、関係づくりやビジネスの継続性が危うくなります。設備の面では修理やメンテナンスを実施しながら長く使用されているお客様も多く、設備が古くなるにつれ、印刷品質を確保しようとすると印刷速度を上げられず、生産性が上げられないなどの課題が出てきます。2025年に限らずこれまでも、RMGTではお客様と接する営業部門、サービス部門を中心に、個々の印刷会社様の意向や課題をお伺いし、それらに沿ったご提案を続けてきました。その中には補助金活用による設備更新も含まれ、様々な角度で経営をご支援しています。

生産現場では、印刷機のオペレーションだけに専念するスタッフの数が10数年前と比べると減少しています。印刷機の自動化や効率化が寄与してきた部分であり、私たち印刷機メーカーが技術開発に取り組んできた結果だと見ています。現場の自動化、効率化が進んできたことで、人的資源、時間的資源が印刷オペレーション以外の別の領域に振り向けられたといえます。もちろん機械の自動化・効率化というハードだけではなく、現場の方々が困っているトラブルを解決するためのサポートというソフト面も寄与していると思います。

大型機はパッケージの印刷会社様の設備投資が堅調でした。また出版・商業印刷のお客様が半裁機や1×1両面機を求める動きがありました。4×4両面全判機への設備投資が目立っていた今までとは違う傾向で、出荷する機械の範囲が多岐にわたったという印象を受けています。

また設備投資の傾向としては、カメラによる検査や色合わせ・見当合わせなどのオプションの搭載率が上がっています。先ほどの現場の自動化や効率化や人手不足への対応に加えて、クライアントが印刷会社様に品質保証を求め始めたからだと考えられます。

新製品のA全判オフセット印刷機RMGT 920V1モデル

品質保証に見合う対価を認めるクライアントが増えているという声もあり、非常に良い傾向だと思います。印刷会社様がご努力された成果であり、返品や刷り直しの要求も減りつつあるようです。

広島県府中市の私たちの工場にはパッケージ印刷のお客様が様々な自社のお仕事、使用資材をお持ちになり、検証、テストを繰り返しています。ほぼ年間を通じて、検証・テストのスケジュールが埋まっている状況です。直接お客様のお声を頂ければ、私たちも取り組むべき技術課題が見えてきますので双方にとってメリットがあります。お客様を交えて資材メーカー、周辺装置メーカーと一緒に新しい材料や装置の開発も進めています。とくに紙、インキ、ニスなどの資材も環境対応が求められ変化している中で、それらの資材のマッチングで現場がお困りになることが増えています。

そうした資材メーカー、周辺装置メーカーと連携する枠組みの一つがRMGT-CSPI(Consortium for a Sustainable Printing Industry)です。RMGTーCPSIは印刷業界の持続的な成長を目指し、印刷資材、印刷関連機器、周辺装置、システムエンジニアリングなどが垣根を越えて連携し、新たな価値の共創によりお客様の課題解決をサポートしています。

お客様への課題解決に向けては、配送の効率を上げるためのソフトウェアの開発、CO2の排出量の可視化など、一メーカーでは応えることが難しいご要望に、複数の企業が連携してソリューションを提供します。AGV(無人搬送車)をご採用頂くと、周辺機器や倉庫などとの連携が必要になります。例えば倉庫と連携する場合、立体倉庫のサプライヤーと技術的な部分を調整するといった取り組みも行っています。

2026年は印刷業界にとってもAIを意識せざるを得ない年になると思います。「AI搭載」をどう考えるかというのにもよるかと思いますが、オペレーターさんが自分の判断で調整しているものを自動化するのがAIだと考えれば、RMGTでもすでにインキの色合わせの機能にAIを実装しています。印刷データからインキ量をプリセットし、その後、印刷機のオペレーターが微調整して色を合わせますが、AIに微調整したデータを集約して個々のクライアントの傾向を学習し、プリセットの精度を高めます。または検査装置の検査精度を厳しくすると良品が減りますが、クライアントごとの品質要求に合わせて検査レベルを判断することもできます。

また、GX(グリーントランスフォーメーション)への要求も高まると思います。CO2排出量の提出や、環境対応資材の利用など、印刷会社様がクライアントから環境対応が求められるケースもあります。生産現場では省電力、資材の削減・リユースなど、コスト面でもプラスになる環境対応がますます促されると見ています。RMGTではそれらに対する技術開発を進めていきます。

今年も引き続き、自動化、省力化、スキルレス化がキーワードになることが予想されます。ただ、立ち止まって考えなければならないのは、機械がどんどん高額になっていくということです。印刷機の製造原価も上がっており、印刷会社様が収益を上げられる価格で販売できるか、機能と価格のバランスを見ていく必要があります。機能がアップしてもお客様の手が届かなくなるようでは本末転倒です。これまでもRMGTではA全ジャストサイズ、菊全ジャストサイズのように、今までと同じ業務をこなせて、お求めやすい価格の印刷機を開発してきました。今後も知恵を絞って製品を開発していきます。

RMGTは印刷機を製造・販売する会社ですが、その事業領域だけにとどまると、印刷会社の方々の成長に十分にお役に立つことができません。印刷をコアに周辺領域を取り込む印刷会社様をご支援するには、私たちも事業の幅を広げなければなりません。RMGT-CSPIなどを通じて、今までもお客様の周辺にある課題解決を指向してきましたが、これからもさらに強化していく必要があります。

印刷会社様のように、我々自身もオフセット印刷機の技術・サービスをコアに領域拡大に努力していきます。印刷機はもちろん、その周辺でお困りの時にはRMGTの営業担当者やサービス担当者にお声をかけて頂きたいと思います。2026年もどうぞよろしくお願い致します。

  • リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
  • 代表取締役社長 広川勝士
  • 本社・本社工場 広島県府中市鵜飼町800-2
  • https://www.ryobi-group.co.jp/graphic/

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