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Ferture特集記事

【ビジネス】マル・ビ
デジタル印刷機でレンチキュラーレンズ印刷を実現
リコー Pro C7200Sでレンチキュラーの市場拡大へ

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2020.5.8

昭和48年に設立した株式会社マル・ビは、強みとする製版技術をベースにしながら、クリエイティブから印刷・加工までワンストップのサービスを提供している。中でも16年前からスタートしたレンチキュラーレンズへの印刷では、国内の受注率ではトップクラスを誇る。このレンチキュラーレンズへの印刷へ対応するシステムとして、今年1月、リコーのオンデマンドプリンティングシステム「RICOH Pro C7200S」を導入し、小ロット・短納期でのレンチキュラーレンズ印刷サービスをスタートさせた。同社の白倉和昌氏に話を伺った。

 

レンチキュラーレンズへ印刷する

 

出力見本

出力見本

マル・ビがレンチキュラーレンズを活用した“レンチキュラー印刷”のサービスをスタートさせたのは16年前。現・会長の白倉昌夫氏のひらめきから始まった同サービスは、PP素材への印刷を可能にするUV・LED搭載型の印刷機で対応してきた市場である。

レンチキュラーレンズとは、かまぼこ状の凸レンズが並んだ透明なシートのことで、そこに印刷することで見る角度によって絵柄が変化するチェンジング(見る角度で絵が変わる画像)や、3Dなどの立体感を表現できるというもの。絵柄が動いたり、変わったりする表現はインパクトが大きいため、宣伝用のDMや名刺といったカード類のほか、POPや各種グッズ、大きいものではポスターなども制作する。

同社は、見本市の販促EXPOなどにも出展して、レンチキュラーレンズへの印刷サービスをPR。豊富なサンプルで具体的に表現効果を紹介することで、市場拡大を図ってきた。その成果もあって徐々に顧客先は増加し、新しい企業とのつながりも生まれている。現在、同社の受注件数に占める割合は1割程度だが、売上額でみていくと、資材コストが高いこともあるが、約半分を占めるまでに至っている。

 

小ロットのレンチキュラー印刷へ

 

レンチキュラーレンズを使った印刷物は、インパクトが高いため、サンプルを見せるだけも喜ばれることが多いという。しかしこれまでは、オフセット印刷でしか対応できなかったことから、小ロットの相談は受注に至らないケースも多かった。

実際、オフセット印刷で受注する場合、予備用のレンズ代なども含めた試し刷り料金(5万円)を請求している。そのため小ロットの案件では、試し刷りの料金が足かせとなる。サンプルを見て、顧客が「よし、やろう」と思っても、コストが合わず、見積もりを見せたところで終わってしまうことも多々あった。小ロットであるほど、宣伝費や販促費など経費が限られている中で、レンチキュラーレンズを活用してもらうことは難しくなってくる。

こうした制作コストの課題で、市場の限界を感じている時に出会ったのが、「RICHO Pro C7200S」だった。展示会の会場に出展していたリコーブースにPET素材へ印刷したサンプルがあるのを見て、「デジタル印刷機でPET素材への印刷できるなら、レンチキュラーレンズへも出来るかもしれない」とひらめいたという白倉社長。早速、リコーに相談したところ、テスト刷りすることを受けてくれたのだという。

RICHO Pro C7200S

RICHO Pro C7200S

「相談を持ち掛けた時には、素材がレンチキュラーレンズなので、出来ませんと断られるかもしれないと思ったのですが、受けてもらったのは嬉しかった」と振り返る。早速、レンチキュラーレンズとテスト画像を渡してテスト刷りが行われた。最初、マル・ビに持ち込まれた仕上がりは、品質としてOKを出すまでには程遠い状況だったが、「想像以上の仕上がりで、『ここまで出来るんだ』と思いました。だから突き詰めれば商売に繋がるかもと思ったのです」。

複数回のトライを経て、商品化できる品質に到達。素材として静電気が強く出てしまい、トナーがうまくのらないなど技術的課題が壁となったが、回を重ねるごとに精度が上がっていったのが分かった。「なお更、ここまできたら絶対にやりたい」と思うようになったという。

こうしたチャレンジの結果、「RICHO Pro C7200S」によるレンチキュラーレンズへの印刷が実現し。マル・ビでは、今後、1,000部以下の市場に対応できる体制が構築された。

 

小ロット対応で、市場拡大へ

 

デジタル印刷機を活用したレンチキュラーレンズの小ロット印刷を考えたのは、コストへの対応だけではない。印刷市場の変化も影響しており、マル・ビに持ち掛けられる相談も、小ロットに関するものが増えているという実態がある。

しかし、これまでは、レンチキュラーレンズそのものが他の印刷資材に比べて高額なため、小ロットのニーズに応えることはできなかった。例えば「ハガキ100枚」というような依頼があっても、見積もりは出しても、「予算に合わないだろうな、という諦めムードだった」という。

レンチキュラーレンズの小ロット印刷が可能になることの効果は大きいと、白倉社長は語る。1枚、2枚といった「ちょっと試してみたい」、あるいは「見本を作ってみたい」という要望にも気軽に応えることができるようになったからだ。

すでにこうした営業効果が表れており、以前であれば機会損失となっていたであろう仕事にも繋がっているという。例えば、某テレビ局からの相談で、番組のステッカーをレンチキュラーで制作したいという依頼があった。早速、番組をイメージしたデザインのサンプル見本を持ち込んだところ、プロデューサーに気に入ってもらえ、「これでいい」とその場で発注につながった。このようなスピード感あるサービスを提供できたのはデジタル印刷機の成果である。

今後はデザインを限定したPOPや、限定した販促物などレンチキュラーの面白さを生かした制作も期待できるという。「小ロットへ対応することで部数とコストの問題をクリアにできました。レンチキュラーレンズへの印刷に力を入れている企業として、この市場をさらに広げていきたいと思います。」と展望している。