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【ビジネス】フジプラス
デジタル印刷機×小ロット圧着加工
国内初のKompac Kwik Finish26導入

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2020.5.8

株式会社フジプラスは昨年12月、江東錦精社からスポットUVニスコーター『Kompac Kwik Finish26』を導入し、圧着ハガキの製造を内製化するとともに、ダイレクトメールのサービス拡充に着手した。同社の澤田浩一取締役生産本部本部長と脇村浩デジタルイノベーショングループサービスアーキテクトの脇村浩次長に話を伺った。

 

マーケティング・販促を

総合的に支援

 

同社は商業印刷を中心に、企画・制作から印刷・加工・出荷までのワンストップサービスを提供している。大ロット、小ロットを問わずに受注、納品できるオフセット輪転印刷機、枚葉オフセット印刷機、デジタル印刷機までの生産体制を敷くとともに、販売促進、マーケティングの支援を強化。印刷メディア、電子メディアを含めた総合的なコミュニケーションプロバイダーとして顧客から信頼を得ている。

物資が市場に溢れ、様々な情報がSNSに踊る時代、消費者の購買意識は大きく変わった。必需品以外の購入に慎重になる一方、自らの嗜好に触れるところには消費を惜しまない。多くの企業がターゲットを多角的に捉え、接点確保から購買までの手法を多様化させている。ただ、その手法が必ずしも正解とは限らず、消費者のカスタマージャーニーが日々変わる中で、販促部門、マーケティング部門は日夜、頭を悩ませている。

同社のビジネスの方向性もそうした顧客企業の変化とともに進化している。例えば同社のアイデア情報誌『Idea4U』では集客手法や誘導手法など、マーケティングや販促活動に役立つ情報を提供。また、クライアント向けにセミナーやワークショップを開くなど、顧客との関係性を変えてきた。

HP Indigo 12000 デジタル印刷機

HP Indigo 12000 デジタル印刷機

2007年に導入したデジタル印刷機もその一環。小ロットジョブが徐々に増え始めてきたころだった。当初は売上への寄与度が低かったものの、ソリューション型の企画案件が増えるにしたがって、パーソナライゼーション印刷やセグメンテーション印刷を採用するクライアントが増え、小ロットジョブが徐々に拡大していった。

同社のHP Indigo デジタル印刷機は現在5代目。B2判に対応し、1,600dpiの解像度を持つ『HP Indigo 12000 デジタル印刷機』が設置されている。

 

他社との違いを打ち出す

圧着と光沢加工の両面で

 

マーケティングや販売活動支援の一環として提供しているのがダイレクトメール。マーケティングオートメーション(MA)エンジンと連動し、消費者にベストタイミングで嗜好に応じたパーソナライズDMを展開するほか、2016年にはインターネットでダイレクトメールが発注できる『DMステーション』を開設している。

『DMステーション』は“業界最安級”を掲げており、とくに100部から1,000部の小ロットのレンジでは強い競争力を持つ。バリアブル印刷やレーザー抜き加工にも対応してきた。

同社デジタルイノベーショングループサービスアーキテクト次長の脇村浩氏は、「DMサービスを展開してきましたが、明らかなのは圧着のニーズが高いということです」と述べる。通常のダイレクトメールに比べて情報量を多く掲載できることや、特定の個人宛の内容を隠す機能があるためである。とくにMAを利用したパーソナライズDMは個人情報に関わるケースが少なくない。

小ロット圧着ダイレクトメールを実現したKompac Kwik Finish26

小ロット圧着ダイレクトメールを実現したKompac Kwik Finish26

これまで同社では圧着加工を外注していた。しかし、加工のみを請け負う業者は少なく、印刷を含めて依頼することになる。小ロットへの対応も難しく、納期や品質の管理を含めて、社内からも内製化の要望が上がってきたため、圧着システム導入の検討に入った。

機種の選定に当たっては、圧着ダイレクトメールを手掛ける他社との差別化がポイントだった。V折りやZ折りだけでは違いが打ち出せない。角度が異なるサービスを求めていたところ、米国で開催されたHPのユーザー会に参加した際に立ち寄った印刷会社がコンパック社のUVニスコーターを利用しており、ニス加工と圧着加工の両面から付加価値が得られると考え、国内で取り扱う江東錦精社に相談。菊半裁サイズであれば、Indigo12000のバリアブル印刷、小ロットの適性と相乗効果があると判断し、国内初となる『Kompac Kwik Finish26』の導入を決定した。

『Kompac Kwik Finish26』は幅660㎜幅×流れ483㎜サイズに対応し、60gsmの薄紙から600gsmの超厚紙までの用紙に加工することができる。加工スピードは最大5,500枚/時間と高い。

加工の流れはニスタンク→Kompacユニット(コーティングローラー)→樹脂版またはブランケット→紙へ転写→UV硬化。Kompacユニット(コーティングローラーと絞りローラーの間)に供給されたニスが減った分だけを液面センサーが検知してニスを補充する。このため、タンクから常に新しいニスが供給される。ニスへの異物の混入やニスの酸化疲労を抑え、仕上品に黄変やムラが少なく、歩留まりが良い。構造がシンプルで、清掃などの運用が容易で扱いやすい。

構造は版胴と圧胴の2シリンダータイプで、樹脂版の代わりにブランケット(シールタイプのカットできるブランケット)を使えばスポットで部分コーティングすることも可能。圧着ハガキのスポットベタ塗り場合でも、樹脂版でなくブランケットで十分のため、版のコストを大幅に節減できる。すでに国内でコンパック社製のUVニスコーターで圧着加工の実績があることも選定の決め手になった。

 

DMステーションで

小ロット圧着サービス

 

『DMステーション』では2020年2月から、サービスにハガキ圧着V型タイプ、ハガキ圧着Z型タイプ、A4圧着V型タイプの3タイプのダイレクトメールを追加。ハガキ圧着V型タイプでは100~500通の場合、宛名印字・送料を含めて1通当たり130円(税別)で提供する。通常バリアブル、イメージバリアブルにも対応。A4圧着V字タイプでは展開に414×297㎜と情報の掲載量が多い。

同社取締役生産本部の澤田浩一本部長は『Kompac Kwik Finish26』の圧着品質や生産性について「1月に稼働し始めてから問題はありません」と評価。顧客からの評価はこれから上がってくるが、「デジタル印刷機で100通から注文ができる体制を敷いています。圧着でも100通から対応します」と小ロット対応を強調する。また、「今後は8割以上をIndigo 12000で出力したダイレクトメールの加工を想定しています。ただ、ボリュームが増えてきたら枚葉オフセット印刷機の加工も考えなければなりません」と、当初は小ロットからスタートし、ロットの増加にも対応していく予定。

今後はマットニスの検証や、スポットニスコーティングによる表現力の向上にも挑戦。脇村次長は、「サービスの幅を広げたいですね。DMステーションに限らず、APIと連携し、顧客データからダイレクトメールを生成する業務でも圧着加工を加えていければと考えています」と展望している。