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=デジタル印刷・加工ソリューション=
【ソリューション】コムネット
レーザーがパッケージの世界を変える
デジタル加工の小ロットソリューション

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2016.8.9

drupaの景色を変えた後加工

五十嵐社長

五十嵐社長

印刷物の多品種・小ロット化傾向が進み続けている。その背景の一つが、よりターゲットを絞った商品やサービスの訴求へと舵を切ったクライアントの変化。多くの企業が消費者嗜好の多様化に伴い、より効果的な商品・サービスのマーケティング、販売活動が求められている。その傾向は、商品銘柄数の増加にも表れている。商業印刷だけでなく、パッケージ・ラベルの多様化にも拍車がかかっているのである。
そうした需要を受け止める印刷業界では、小ロット、多品種、さらにはバリアブルに対応するデジタル印刷機や、プリプレス作業を自動化するワークフローシステムの導入を進めてきた。デジタル印刷は一定の効果を上げているが、ボトルネックとして浮上してきたのが「後加工」。前工程の進歩に比べて、印刷業界の後加工の現場は総じてアナログ時代のままである。
5月末から6月10日にかけて、ドイツで開催された世界最大の印刷機材展「drupa 2016」。これまでのdrupaと違う光景は、加工分野の華々しさだった。小ロット、多品種対応はもとより、型抜きでは得らえない複雑な形状の印刷アプリケーションが各ブースで見られた。来場者の多くが、印刷製品が加工で完結することが強く認識したことだろう。

Sei社のFLEXI 800

Sei社のFLEXI 800

コムネット株式会社(兵庫県神戸市)は、イタリアのレーザー加工機メーカー、Sei LASER(セイレーザー/以下 Sei)社の製品を輸入、販売している。Seiは今回のdrupaで、レーザーでカットした後に、折り罫線を入れる装置を発表。実用的な小ロットパッケージのソリューションを展開した。コムネットではレーザー加工機とともに国内で販売していく。

パッケージ分野で注目のレーザー加工機

コムネットは1991年、CAD関連のソフトウェア開発会社として創業した。主に石材、看板、パッケージの分野にソフトウェアを販売し、その後、CADデータを出力するペンプロッタやカッティングプロッタなどのハードウェアの取り扱いを始めた。その延長線上で、1999年には国内でいち早くレーザー加工機の販売を開始。以来、レーザー加工機は同社が取り扱うハードウェアのコアとなっていく。
同社が開発した箱を設計するためのCADソフトウェアは全国で800社のユーザーを獲得し、多い年で100本が出荷された。そうした経緯でパッケージ印刷会社とのつながりはもともと深かったが、レーザー加工機が主軸なると、ちょっとした変化が現れた。同社の主要顧客は、サイン(看板)、マーク(ユニフォームのロゴなど)、石材(彫刻用ゴムシート)、紙器印刷の4つ。このうち主に紙を扱う紙器印刷の分野ではレーザー加工機があまり導入されなかった。レーザーカット時に生じる焦げが敬遠されたのである。しかし、ここ5年ほどでその風向きが大きく変わってきた。

様々な加工サンプル

様々な加工サンプル

同社の五十嵐晃治社長は、「10年前にTOKYOPACKに出展した時には確かになかなか受け入れてもらえなかったが、レーザー技術の進歩により焦げが目立たなくなり、ここ数年、パッケージ加工の生産機として見て頂けるようになった」と手応えを感じている。年間に同社が販売するレーザー加工機の台数は「小型・中型」が250~300台。一方、パッケージやラベルの用途で利用される「大型・特殊」も50~60台と伸びてきた。
五十嵐社長が挙げるレーザー加工機の増加の要因は、高付加価値のパッケージ需要とレーザー技術の進化である。デザイン会社や企画会社が、様々な形状にカットできるレーザー加工機に注目し、ブランド品やギフト品のパッケージで、高付加価値の製品が提案できるとの意識が芽生えている。また、焦げが目視で確認できないほどにレーザー技術が高いレベルに達し、クライアントが受け入れ始めていることが影響している。

微細な抜き加工も可能

微細な抜き加工も可能

「レーザー径がここ数年でかなり細くなり、カットスピードも向上した。少ないエネルギーでカットし、照射される時間が短くなれば紙への負担は減っていく」。パッケージ業界でのレーザー加工といえば、フタの切り抜きなど一部の加工に利用が限られていたが、レーザーの改良により本格的にパッケージの多品種・小ロット対応が見えてきたといえる。

罫入れプレートも小ロット対応

drupa2016では多くのレーザー加工機メーカーが新製品を出展していた。中でもSei社が注目されたのは、レーザー加工機の精度や生産性に加え、パッケージで欠かすことのできない折り用の罫線に対する小ロット向けの画期的なソリューションを提示したためである。
レーザー加工機では罫線の代わりに印刷した裏面にハーフカットしたダブルクリース、トリプルクリースを入れることができる。ただ、パッケージの強度低下を懸念して、採用しないクライアントもいる。
Sei社が発表したのは、特注のプラスチック樹脂テープで罫入れ用オスの型とメスの型を作るもの。CADデータから送られてきたデータをもとに、レーザーが自動的に樹脂テープをカットし、プレートにも溝を入れる。テープを溝にはめ込むとオスの型ができ上がる。メス側のプレートも同様にレーザーで加工する。精度は±0.1㎜以内。Sei社では一つの版を作るのに約15分と発表している。木型を外注する時間を考えると革新的なスピードで罫入れ用の版が低コストで得られる。コムネットではおよそ5,000枚程度の生産を想定している。
「オスだけでは罫入れが甘くなる。短時間でメスのプレートもできることが大きい。レーザーで約1,000枚加工している間に十分、版が準備できるので、シームレスに作業を進められる。しかも、木型に比べてコストは2分の1になる」。
コムネットがSei社の販売代理店になったのは16年前。総販売代理店ながら日本の「支店」として位置付けられており、販売だけでなくマーケティングも担う。日本市場での販売は世界の約15%。それだけSei社にとって大きな市場。五十嵐社長は今回、印刷機資材販売のムサシがコムネットの一次店になったことでさらなる拡販に期待を示している。

Sei社の高精度レーザー加工機

高速に精細なカット

高速に精細なカット

同社が販売する紙器パッケージ用途のレーザー加工機は「FLEXI」と「PaperOne」。PaperOneは、FLEXIの基本機構にシートtoシートの自動搬送装置を備えたモデルである。Sei社のレーザー加工機はモジュール設計で、今後、罫線ユニット、ラミネートユニット、ホイルユニットなどの各機能を追加していける。
シートサイズはFLEXIが800㎜×800㎜。PaperOneが最小297㎜×210㎜、最大750㎜×530㎜。CCDカメラにより自動で用紙の位置を検知し、FLEXIが10,000㎜/秒、PaperOneが最高2,500シートの速度で加工していく。
これらのレーザー加工機で市場は大きく変わる可能性がある。パッケージ印刷の参入障壁は、印刷機をはじめ、加工機などの高額なイニシャルコスト。ところがデジタル印刷機が大判化され、レーザー加工機が普及していくとその壁の高さはかなり低くなる。つまり、これまでパッケージの領域に踏み込めなかった商業印刷業、その他の業種にも機会が広がる。
すでにラベルの分野では、新規参入した業者がインターネットなどIT技術を利用し、小ロットのラベルを効率的に生産する仕組みを構築し、クライアントに受け入れられる事例が出てきたという。「インターネットを経由してクライアントがデータを入稿すると、パッケージのデザインデータと製品に関する仕様データが印刷機、加工機に流れて自動的に生産する。小ロットであればあるほど効果が出てくる」。IoT(もののインターネット)の萌芽である。パッケージ印刷でも同様なことが起こり得る。
既存業者よりも新規参入業者が新しい形を作っていく傾向にあるのはどの産業にも見られる。レーザー加工機と小ロット用の罫入れユニットにより、パッケージのマスカスタマイズ(個別品の大量生産)は視野に入ってきた。「コムネットとしてもそこに取り組みたいし、先鞭をつけたい」と意気込みを見せる。
現在、FLEXIとPaperOneが対応する用紙は0.6㎜厚。今後、レーザーの改良により、加工ができる紙種が増えていくと見られる。五十嵐社長は「B2判が主サイズだが、近いうちにB1判も加工ができるようになるだろう」と見込む。いよいよ本格的なデジタル加工の時代が印刷業界にやってくる。

〔問合先〕
コムネット株式会社
TEL:078-304-7760
http://www.comnet-network.co.jp