【検査特集】広瀬鉄工 180台の実績を持つ枚葉印刷検査装置、菊全、菊半、菊四裁、デジタル印刷まで

創業100年を迎えた広瀬鉄工株式会社は、国内の大中型枚葉印刷検査装置の9割を超える180台の実績を誇る。

この実績の要は検査方式にある。用紙はすべてグリッパーで搬送され、検査部分では胴シリンダーに巻き付けられ、カメラで検査される。水平搬送検査の蛇行、浮き上がり、ベルトの劣化等の誤検知、過検知による検査ミスを払拭することに成功した。

高速枚葉印刷検査機 SKシリーズ
高速枚葉印刷検査機 SKシリーズ

カメラは定評のあるダックエンジニアリング製を採用。医薬品包装箱、化粧品、シートラベル、セキュリティーカード、証券類等、特に精密検査を要する印刷物で活躍している。

高度なデジタル画像処理技術を引き出す同社の検査装置はオフセットに準ずる針、クワエの精度と検査胴の安定性が高く、高度な検査が要求される現場で使用されている。

検査機は大型枚葉印刷検査機(菊全判~A倍判各種)のSKSS-41、SKS-46、SK-50、小型枚葉検査機SK-18 菊四裁判、SKP-26 菊半裁判両面をラインナップする。

小型枚葉検査機 SK-18 SK-26
小型枚葉検査機 SK-18 SK-26

同社は印刷後加工分野、特に表面加工、加飾特殊印刷、枚葉印刷検査等の分野で国内シェアを伸ばしている。広瀬安宏社長は「近年、『印刷』という工程自体が持つ付加価値が以前と比較して小さくなっている。オフセット印刷であれ、デジタル印刷であれ、いかに印刷物の付加価値を高めるかが印刷会社の収益を大きく左右する要件となってきた。このような状況下にあって『ひと目で分かる付加価値、分かりやすい付加価値の追求』が当社の提案です」と述べる。

印刷物にニスコーティングを行うメリットは、光沢度のアップや表面保護などが挙げられるが、それに留まらず昨今流行りのUV・水性圧着ハガキ、また感染防止の抗菌、抗ウイルスニスコーティングの需要が拡大している。

オフセット印刷分野では、すでにインラインのニスコーティングマシンが普及しているが、小部数・バリアブル印刷を得意とするデジタル印刷機の分野においてもオフラインコーターがその真価を発揮している。ニスコーターを発売して以来、300台を超える実績を持つ同社は、デジタル印刷分野においてもPOD出力物に対するコーティング装置のスタンダード機として採用されている。

またDMの中で個人情報保護の要求やターゲットマーケティング的手法の拡大により加工部数が小ロット化しており、発送コスト削減策としてハガキ仕様で多くの情報が盛り込める圧着DM製造装置を開発した。

フレキソUVニスコーティングマシンは、フレキソ方式の採用によって全てのスポットコーティングの圧着ニーズに対応する。この分野の新製品として、同社は「ハガキ圧着DMシステムSAC-18DM」を発表した。この装置はUVコーターと折機と圧着をドッキングしたもので、V折りZ折りハガキからA4仕上がり圧着までをこなすワイドレンジの圧着DM一貫製造装置である。

同社は、社会貢献につながる前述の抗菌抗ウイルス用ニス塗装を用意している。同社のコーター機は複数台が令和2年度の新型コロナウイルス感染症緊急対策設備投資の支援事業対象機に認定されている。

広瀬社長は「当社は今年創業100周年を迎えることができました。これもひとえにお客様のご支援の賜物です。安心と安定の日本国産技術の集大成として、今後も各種コーター機、各種検査搬送機の製作に邁進します」と語っている。

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