大日本印刷 文学作品の心理効果を可視化する「物語の処方箋ブックリスト」研究を鎌倉女子大学と共同で実施 文化活動と心身の健康増進を結びつける新たなアプローチ

大日本印刷株式会社(DNP)は鎌倉女子大学と共同で、文学作品の読書が心身に与える心理的効果を可視化する「物語の処方箋ブックリスト」の研究を進めている。2025年8月からは20代および60代の生活者を対象にオンライン調査を開始し、9月末までに心理的効果を収集する。また、書店や図書館の評価を得る調査を行いブックリストの有用性を検証し、生活の質(QOL:Quality Of Life)の向上につながる「社会的処方(social prescribing)」としての有用性を検証する研究を加速させていく。

読書の心理的効果を科学的に可視化

今回の共同研究は、DNPと鎌倉女子大学児童学部子ども心理学科の初澤宣子講師によって進められる。対象は主に日本文学で、読者の感情体験を分析して作品ごとの心理的効果を整理する。これにより、読書の心理的効用を体系的に示す「物語の処方箋ブックリスト」を作成し、文化活動と心身の健康増進を結びつける新たなアプローチの確立を目指す。

読書は認知機能の維持・向上、ストレス軽減、語彙力や理解力向上など多面的な効果があるとされる。特に文学作品や物語は登場人物への共感を通じ、多様な感情体験を読者に提供する。国内外では、この読書の効果を「社会的処方」として活用する取り組みが進められており、イギリスの「Reading Well」では医師が図書館と連携し、健康課題に対応する書籍を薬のように処方する仕組みが導入されている。

DNPは、同研究を通じて読書の健康効果を科学的に示し、社会全体のウェルビーイング向上に貢献することを目指す。今後、研究成果を広く社会に活用し、読書と健康をつなぐ新しいモデルを推進していく。

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