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今野印刷が水なし印刷を導入
「自信を持って納められる品質」を実現

2015.8.29

 仙台市に本社を持つ今野印刷株式会社(橋浦隆一社長、本社:宮城県仙台市若林区六丁の目西町2-10)は、2008年から水なし印刷を導入し、品質の安定化と作業環境の改善、そして利益率の向上と、大きな成果を挙げている。昨年11月12日には、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社及び東レ株式会社との共催により、「水なし印刷セミナー・工場見学会」が開催され、橋浦社長が講師となり、水なし印刷導入の経緯や具体的なメリットなどを紹介している。
 今野印刷は、明治41年創業の100年以上の歴史を持つ老舗印刷会社。現在は企画・制作・印刷を中心に、Web関連サービス、マーケティングリサーチのサポート、イベント・キャンペーンの企画なども手がけている。同社が水なし印刷の導入に着手したのは2007年。導入以前について橋浦社長は、「私は1999年に全く別の業界から入社したので印刷 に関しては“素人”でしたが、そんな私から見ても良いものを安定的に生産できる環境とは思えませんでした。また印刷品質が個々のオペレーターのスキルに依存しているという問題もありました。こうした状況に対し、標準化に取り組む必要性を強く感じていたのです」と導入経緯について語っている。
 水なし印刷導入に至るまでに、品質安定化のためのさまざまな対策も講じてきた。2002年の新工場開設を機に温湿度管理も徹底させ、作業環境の維持管理に対するオペレーターの意識向上も図った。しかし、全面的な課題の解消には至らず、「“水でごまかす印刷”からなかなか脱却できなかった」という。「製品として納められるレベルのものはできるのですが、正確に見当の合ったものを堂々と提供したいという思いがありました」と言う。

今野印刷の橋浦社長

今野印刷の橋浦社長

 水なし印刷の導入効果について橋浦社長は、「高品質の印刷物を、自信をもってお客さまにお届けできるようになったことが最も大きい」と語る。
色の安定性も向上し、本刷りに入ってから刷り終わるまでの色の変動はほとんどなくなった。ファンアウトの問題も解消され、“一発見当”が実現した。印刷オペレーターも「こんなに気持ちよく見当が合うのなら、もっと早く水なしを導入すればよかった」と話しているという。見当精度の向上に伴って損紙も減り、水ありに比べて15~20%程度削減でき、コストも削減した。

 

今野印刷での見学会

今野印刷での見学会

 もう一つメリットとして挙げるのは「水の管理から解放されたこと」だという。「水棒などのメンテナンス作業がなくなることでオペレーターは他の部分に気を配ることができるようになり、スキルアップのスピードも向上しています。メンテナンスにかかる人件費の削減だけでなく、教育コストの削減にもつながっているわけです」。

 

 

今野印刷で開催された見学会で

今野印刷で開催された見学会で

 

 また水を使わないことで乾燥性も向上し、パウダーの使用量は約半分にまで減少している。
 環境対応の面でも、「溶剤の使用を大幅に減らせるという点で水なし印刷のメリットは大きいと感じます。FSC認証紙や環境対応インキも使用しているため、
高レベルの環境配慮工場であることがアピールできるようになりました。水なし印刷にしたことでそれ以前の業績と比較すると、利益率が約2%上がっています。他の要因もあると思いますが、現場での管理負荷が軽減でき、社員の意識改革が図れたことが大きく寄与しているのは間違いないでしょう」と橋浦社長は語っている。