勲碧酒造 本物のおいしさを届ける箔加工ムサシ DC-1でアイキャッチ高めた日本酒ラベル

勲碧酒造 本物のおいしさを届ける箔加工<br>ムサシ DC-1でアイキャッチ高めた日本酒ラベル
村瀬公康社長兼杜氏(左)、村瀬元弥専務(右)
村瀬公康社長兼杜氏(左)、村瀬元弥専務(右)

多品種・小ロット化が進む日本酒

勲碧酒造株式会社(愛知県江南市)は昨年12月、ムサシが販売するPOD専用多目的光沢加工機「DC-1」で、日本酒ラベルの付加価値を向上させている。
勲碧酒造は地下100mから水をくみ上げるなど、昔ながらの手造りにこだわった「勲碧」銘の地酒を製造している。年間の生産量は約300石。1升瓶換算でおよそ3万本となる。醸造した日本酒は主に問屋経由で地元に流通。小さい酒蔵だが、約20種の商品は根強い人気を持つ。
かつて酒造業界の主力は1升瓶。商品の種類もそれほど多くはなかった。しかし、20年ほど前から4合瓶が増えるとともに、商品数が増加。多品種・小ロットの生産が主流になった。

箔によりアイキャッチを高めたラベル
箔によりアイキャッチを高めたラベル

年間2万本で10アイテムならば、必要なラベルは1アイテムで2,000枚である。同社はかつて印刷会社に外注し、3年分のラベルを抱えていた。しかし、多品種・小ロットの傾向で、在庫を抱えるリスクが大きく、1銘柄当たりのラベルの単価も増加してきた。
同社の村瀬元弥専務取締役は「アルコール類のラベル表示の方法が目まぐるしく変わり、“お酒は20歳になってから”などが追加されると、在庫していたラベルを破棄せざる得なくなることもある。一時期はラベルの裏を使ったメモ用紙だらけになった」と述べる。義務化されていない表示もあるが、百貨店などからは「なぜ表示していないのか」と問合せがくる。
同社はその都度、新しい表示を追加し、ラベルを製造していたが、18年ほど前から外注だったラベル製造を内製化した。
当初は複合機でラベルを製造。ラベルは目立つことが大きな役割の一つなので、定着オイルでぎらぎらと光った表現はラベルに最適だった。今ではラベルの9割を内製化。記念用のオリジナルラベルも手掛けられるようになった。

商品の顔となるラベル

多目的箔加工機DC-1
多目的箔加工機DC-1

ラベルの台紙は年々、バリエーションが増えている。ちぎり和紙のようなタイプもPOD機で出力できるようになっている。現在、出力機は富士ゼロックスのDocuColor 1450 GA。以前使っていた複合機に比べ、品質は格段に上がった。しかし、内製化の限界を感じることがしばしば生じてきた。
「日本酒のラベルに箔を使うことが増えてきた。外注となるとコストがかかり、とても小ロットで対応できない。他社の商品ラベルを良く見ているセールス担当からも指摘されていた」(村瀬専務)
アルコール売場の商品棚には多くの商品が並ぶ。購入者はプライスカードを見て、予算に合った10種類を選択し、そこからさらにどういった特徴のある酒なのかを確認しながら商品を選ぶ傾向があるという。したがって、10種類の中に入らなければ選択される可能性は極端に下がる。
「ラベルは商品の顔。試飲コーナーでいくつか飲んでいると、最初に飲んだ銘柄を忘れてしまいがち。インパクトのラベルであれば、“ああ、これ飲んだな”と印象に残してくれる」。ラベルの重要性について営業を担う村瀬専務は痛感していた。
ある日、セールス担当者からDC-1のサンプルを見せてもらった村瀬専務は「非常にきれい」と感じ、箔の内製化の可能性を強く感じた。導入費用もそれほど負担にならない。

富士ゼロックス DocuColor 1450 GAでラベルを出力
富士ゼロックス DocuColor 1450 GAでラベルを出力

DC-1は、ドライコート、トナー光沢、金箔加工などの光沢加工を1台で処理する多目的光沢加工機。金箔加工する場合は、複合機やPODで出力した印刷物をDC-1に通すと、トナー部分に箔が転写される。版が不要で非常に手軽で、細かい部分にも箔がきれいに移る。箔が不要な部分にはマスクテープを貼れば箔が乗らない。
昨年12月、同社に導入されたDC-1は翌年の1月から稼動を開始。現在、金、銀、緑、赤、青の5種類のラベルを使い、商品のアイキャッチ効果を高めている。販売店からは「最近、普通のラベルっぽくなった」と評価されており、店頭に並んだ際に目立つようになったと報告されている。
ラベル製造は主に村瀬専務が担当。フォトショップで加工し、面付して出力している。ラベル貼りは社員による手作業である。
先日、村瀬専務は、放送されたテレビで、日本酒バーが紹介される番組を見ていた。その冷蔵庫に貯蔵されている日本酒の一升瓶に「勲碧」の文字。「たぶん箔がなければ気が付かなかった。箔にして良かった」と実感した。

心を込めた商品に良いラベルを

同社はラベルの内製化を始めて20年近くなる。もちろん「印刷会社の方が小ロット対応、しかもオンデマンドで届けてくれ、コストが見合うなら外注したい」という思いがある。夜間に出力作業することが多いが、機械トラブルで止まってしまうとサポートが呼べない。翌朝に必要だったラベルが出せないこともある。社員の手間、自らの営業業務を考えると、本来であれば印刷会社に頼みたい。
最後にラベルの重要性について、村瀬専務は「真面目に品質第一で作っていることは誇れる部分。辛い、甘いではなく、おいしいと感じてもらえるよう、心を込めてお届けしようとしているが、それを実現するのもラベル。良いラベルで選んでもらえるようにこれからも努力していきたい」と述べる。

【勲碧酒造株式会社】
愛知県江南市小折本町柳橋88
TEL0587-56-2138
http://www.kunpeki.co.jp/

【株式会社ムサシ】
TEL03-3546-7711
https://www.musashinet.co.jp/

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