水上印刷 無風除電装置「空間TRINC」導入で効果

株式会社水上印刷(河合克也社長、東京都新宿区)はこのほど、株式会社TRINC社の無風除電装置「空間TRINC」を設置し、稼働を開始した。2月25日、東京都西多摩郡の多摩工場で会見を開き、「空間TRINC」の導入効果を発表した。同装置は、イオンエンジン方式で二本の柱型の装置からプラスとマイナスのイオンを発生させることで、広範囲にわたり無風の除電空間を作り出す。

同社は昨年5月、東京都中小企業振興公社のビジネスマッチング事業で、TRINC社と出会い、印刷会社で長年の課題となっている静電気対策として、同装置の数値的な検証を行ってきた。

「空間TRINC」は、印刷機のデリバリ部、紙積み工程、アッセンブリの3工程に設置した。その結果、印刷機のデリバリ部で発生していた静電気4kVが0.1kV以下まで除電され、紙ぞろえの向上により時間当たりの印刷回転数が5%向上。刷了検査も50%時間を短縮した。ユポ紙の両面印刷でもデリバリ部で発生していた6kVの静電気が、0.1kVまで除電。時間当たりの印刷回転数が10%向上し、刷了検査も50%時間を短縮させた。

紙積み工程では、ユポ紙で発生していた静電気1kVが0.1kV以下まで除電され、フィーダーストップなど機械停止時間が減少。印刷濃度の安定化に寄与した。

アッセンブリで課題となっていたビニール封入作業の静電気による生産性の低下も、同装置の設置により、34.5kVの静電気が0.06kVまで除電され、時間出来高が50%アップした。

これらの検証結果と現場からの強い要望を受け、同社は「空間TRINC」を本格的に導入し、品質と生産性を向上させた。

デリバリ部に設置し、紙揃えで高い効果を示す
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アッセンブリでは、ビニールの開閉に大きな効果が出ている
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