武藤工業 水銀レスで省エネ・高寿命の殺菌を実現 四国化工機の食品充填機向けにUV-LED照射装置を開発

武藤工業株式会社は、四国化工機株式会社の食品・飲料用充填機向けに、波長280nmの高出力UV-LEDを用いた殺菌用照射装置を開発した。光源には日亜化学工業の高性能UV-LEDを採用し、水銀を一切使わないことで、環境規制に対応しながら高い殺菌性能を実現している。

同装置は6月10日から13日まで東京ビッグサイトで開催される「FOOMA JAPAN 2025」の四国化工機のブースで展示予定。

FOOMA JAPAN 2025公式ウェブサイト

UV‐LED で殺菌するイメージ

水銀フリーと高効率殺菌を両立

従来、食品充填ラインの殺菌には紫外線水銀ランプが多く使われてきたが、環境負荷や寿命、待機時間などに課題があった。今回開発されたUV-LED照射装置は、RoHS指令や水俣条約などの水銀規制に対応しつつ、省エネ・長寿命を特徴とする。とくに波長280nmの紫外線は枯草菌の99.9%以上の殺菌効果を持ち、低消費電力での高効率照射を実現する。瞬時起動が可能で、起動時間や安全性の面でも優位性がある。

武藤工業の光応用事業「AMP SPEED」

今回の開発背景には、武藤工業が近年力を入れているUVプリンタ事業の技術蓄積がある。同社はUV-LED照射装置の開発企業であるアンプスピード株式会社を買収し、制御・冷却技術や組込みノウハウを社内に蓄積。これらの技術を統合して新たな光応用事業「AMP SPEED」を立ち上げ、水銀レス社会の実現を目指している。

UV-LED照射装置の主な特長

(1)水銀不使用で環境負荷低減
水銀を用いない設計により、環境規制や健康リスクに配慮。RoHSや水俣条約にも適合する。
(2)高効率で省エネ
対象物(カップやキャップなど)への選択的照射により、無駄なエネルギー消費を抑制しつつ高い殺菌効果を発揮。
(3)作業性と安全性の向上
瞬時起動と割れリスクのない構造により、稼働停止の時間短縮と安全性を両立。
(4)長寿命化
水銀ランプの5倍以上にあたる約1万時間の寿命を想定。メンテナンス頻度の低減にもつながる。

武藤工業の展望

武藤工業は、設計製図機器から始まり、大判プリンタ、3Dプリンタなどで培った「ものづくり」の技術を活かし、新たな成長軸として光応用分野に注力する。UV-LED照射装置の展開により、水銀レス社会の実現を進めるとともに、持続可能な産業の創出にも貢献する。

武藤工業ウェブサイト

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