ゴードー G段ダイレクト印刷で新需要、LED-UV搭載RMGT10を導入

内製化率アップ、売上20%増を目指す

株式会社ゴードー(埼玉県川越市/橘健夫社長)は2021年10月、リョービMHIグラフィックテクノロジー(RMGT)の菊全判オフセット印刷機『RMGT 1020LX-6+CC+LED-UV』(6色コーター付)を導入し、LED-UVによるG段へのダイレクト印刷を開始した。

同社は1949年創業の印刷紙器メーカー。オリジナルパッケージの企画・デザインから印刷、打ち抜き・貼りなどの加工、納品までを担う。受注の7割が菓子ギフトのパッケージ。品質、納期への信頼から同業者の製造受託も多い。

橘専務取締役(右)と菊池課長

同社の主力印刷機は2007年に導入した海外製の菊全判機。導入から10年以上が経過して機械本体の経時劣化が進み、色合わせなど立ち上がりに難点が目立つようになっていた。同社の繁忙期は10月から12月。1日22時間、週6日稼働することもあり、ローラーなどのメンテナンスに十分な時間が取れず、色合わせに一層時間がかかるという悪循環が発生していた。メンテナンスコストが上がるとともに、コロナ禍で海外からの部品供給にも不安を抱えていた。

菊全判オフセット印刷機『RMGT 1020LX-6+CC+LED-UV』 (6色コーター付)

加えて同社では2015年頃から小ロットを積極的に受注する営業戦略を進めている。例えば持ち帰り用のケーキのパッケージはロット数が多いものの、色数が少なく、薄利多売になる。そうした大ロットの受注を極力避け、利益率の高い3000~5000通しのレンジに受注ロットを移行してきた。その結果、印刷機の稼動率が下がり、既設の印刷機で対応するには限界を感じていた。

また、パッケージ印刷は安定した需要が見込めるものの、コロナ禍によるインバウンドの減退により不安定な領域もある。このため、主要受注品目の菓子ギフトだけに頼らない事業ポートフォリオの構築も経営課題だった。

同社専務取締役本社工場長の橘東吾氏は「既設の後加工機が活用でき、板紙への印刷を続けながら取り組める新領域がG段でした。コロナ禍でも仕事量が減っていないと聞いていますし、通販やテイクアウトの需要もあります」と述べる。G段はオフセット印刷機でダイレクト印刷が可能な上、軽量で薄い。在庫や輸送のコストを低く抑えることができる ため、E段から切り替えるケースが増えている。

一方、オフセット印刷機で反りやすいG段の印刷時には、給紙・紙搬送が非常に難しいという課題がある。そのため、ダイレクトにG段を印刷する業者は少ない。

導入したRMGT10は、エアーマネジメント技術を採り入れた紙搬送機構などで安定した給紙・紙搬送を実現している。同社製造部課長の菊池由修氏は「G段は通紙が難しいと予想していましたが、RMGT10は今までイメージしていた難しさがありません」と給紙・紙搬送性を評価。橘専務取締役も「フィーダーで苦戦したことがないですね。色々な原紙で量産に入っていますが、給紙精度に問題はなく、非常に良いです」と強調。ダイレクトにG段を印刷する障壁はなくなった。

LED-UVで確実に紙面乾燥

今回導入したRMGT10は、LED-UV乾燥装置が搭載されている。ベタや乾燥性が低い用紙を多用するパッケージ印刷ではUV乾燥が必須。かつて高感度UVインキは乾燥性に課題があるとされていたが、「特色のインキやニスの硬化に不安がありましたが、全然問題ありません。むしろ、このタイミングでLED化しないと取り残されるという不安がありました」(橘専務取締役)。OPニス、クリアニス、疑似エンボス、メジウムの乾燥テストもクリアし、十分にパッケージ印刷の要求レベルに達している。メタルハライドランプを利用するUV乾燥装置は熱を発生させ、夏場の温度調整が難しいが、LED‐UVは熱がほとんど出ない。冷房に利用するエネルギーを考慮すると温暖化ガスの削減にもつながることもメリットだった。

G段の印刷サンプル

同社のRMGT10にはインキ濃度の自動調整機能、自動版交換装置が 搭載されている。これにより立ち上がり時間が短縮され、機械の稼動率が向上。これにより小ロット受注を強化している同社の戦略に沿った生産体制が整えられた。菊池課長は「OKシートが出て、量産に入るまでの時間は間違いなく早くなっています。体感では半分ぐらい」と述べ、今後、さらに使いこなしていくことで、ジョブ数を増やせる手応えを感じている。とくに本機校正や印刷立ち合い時の印刷停止時間の短縮、損紙の削減に期待する。

印刷生産設備は既設機との2台体制となり、生産力が一気に向上。外注加工費の削減による利益率の改善とともに、繁忙期の現場の負担が軽減され、橘専務取締役は「これまで特にフル稼働時には現場に苦労をかけてきたと思います。RMGT10が本格稼働すると一気に解消します」と、働き方改革への貢献を見込む。

今年3月からはG段の仕事が本格的に入り始めた。営業部門では直需の受注量の拡大に向けて、E段からG段ダイレクト印刷への切り換えを提案する活動を開始。営業担当者から売り込みやすいという声が寄せられており、20%の売上アップを目指す。

橘専務取締役は、「東京に近い川越近辺でも採用が難しくなってきています。今後、製造に関しては自動化によるスキルレスに取り組んでいきます」と述べる。すでにRMGT10ではインライン検査装置とリジェクターも搭載され、品質管理の強化と省力化が図られている。長期的な労働力不足という課題に対してもRMGT 10は先導役にもなっている。

株式会社ゴードー https://www.godo-p.co.jp/

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