東京平版 Proof Jetで本紙色校正、高級印刷ともマッチング

東京平版 Proof Jetで本紙色校正、高級印刷ともマッチング

 昭和14年に製版業として創業し、現在では制作・デザインから、校正業務、印刷まで対応する東京平版株式会社(東京都新宿区、佐々木幸太社長)は、SCREEN GP ジャパンの印刷本紙校正用インクジェットプリンタ「Proof Jet F1100AQ」を活用し、次代に繋がるデジタル校正の環境構築に取り組んでいる。


 東京平版は3年前、SCREEN GP ジャパンの印刷本紙校正用インクジェットプリンタ「Proof Jet F780」を導入。2020年には自動給紙装置を装備した「Proof Jet F1100AQ」に入れ替えて、平台校正からデジタル校正への本格的なシフトを図っている。

“色校正”は製版会社の主力業務の一つ。色校正紙の印刷方式は主にインクジェットプリンタを活用したDDCP(デジタルダイレクトカラープルーフ)へとシフトしているが、オフセット印刷と同様のインキと印刷用紙を利用し、現物に近い色合いや風合いが再現できる平台校正には根強い需要がある。一方で、平台校正機は各メーカーが生産を終了し、部品調達も徐々に困難になりつつある。

佐々木社長

 同社の顧客の6割が印刷会社。色の再現性で高い技術力を持つ同社には、美術関係の図録や料理本、編み物の本など色の精度が求められる仕事が多い。現物に限りなく近い状態の色校正紙が必要で、専用紙やアンカーコートを必要とするインクジェットプリンタではニーズがなかなか満たせなかった。佐々木社長は、平台校正機からDDCPへのシフトについて「避けては通れない課題」と強く認識。稼動中の平台校正機は、「やがて部品が調達できなくなり、メーカーのサポートがなくなれば動かせなくなります」というリスクを抱えるほか、将来的な技術者の獲得・育成、コスト面でも早急に乗り越えるべき経営課題でもあった。


 SCREEN GP ジャパンから提案された「Proof Jet F780」は、アンカーコートなしで本紙・特殊紙・薄紙・蒸着紙などの印刷本紙に対応。カラーマネジメントについてもカラープルーフィングシステム「LabProof SE」でオフセット印刷機との色合わせが可能だった。色品質で満足する結果が得られ、運用後に顧客の納得も得られたことから、2020年に自動給排紙装置を標準搭載したハイスピード自動化モデル「Proof Jet F1100AQ」を採用した。 

Proof Jet F1100AG

 現在、平台校正が必要となる色校正の中で、社内で本刷りする受注案件はProof Jetに移行。平台校正機による印刷時間が圧縮され、顧客に対するレスポンスも大幅に改善。今後は他の案件についても順次、Proof Jetへの切り換えを図っていく。

専任者なしで運用

 同社の色基準はJapanColor。これをベースに印刷機をはじめとするデバイスの色をコントロールする。多種多様な用紙に対応したプロファイルが設定されており、Proof Jetの運用もこれがベースとなっている。「紙とプロファイル操作さえ間違えなければアルバイトでも扱える感覚で、それがProof Jetの長所ともいえます。色も安定しているので、いずれは夜中に無人で回すことも考えています」。


 Proof Jetを操作できるオペレータは3、4人。専任ではなく校正印刷やDTP作業と兼任している。機械自体はスキルレスで操作できるが、佐々木社長は「誰でもProof Jetを扱えます。しかしながら“色校正”はどの会社でも出来る仕事ではありません」と、デジタル時代の差別化のポイントを語る。色校正には網点管理という〝製版技術〟が欠かせない。品質の要求レベルが高い印刷製品はなおさらで、校正紙と本刷りの色がマッチしてこそ完結する。


 「使う用紙によって、同じ色の濃度でも視認した色は変わります。その誤差を把握し、お客様が望む色に仕上げる必要があります。どれだけ色を管理できるのかが当社の勝負どころです」と自信をのぞかせる。その上で「この10年間、校正工程のデジタル化が進みましたが、当社ではお客様に満足頂けるよう、プロファイルづくりや作業環境の整備に力を入れてきました。お客様の校正の環境と合わせるための色見台の開発など、色校正の領域に力を入れ、技術力で差別化を図っています。今後も他社では難しいとされる再現の分野で顧客をサポートしていきたい」と展望する。その戦略の中に、Proof Jetは位置付けられている。
 

東京平版株式会社=東京都新宿区箪笥町8番地

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