インタビュー~ザイコンジャパン偽造品を防止する『ブランドプロテクション』

インタビュー~ザイコンジャパン<br>偽造品を防止する『ブランドプロテクション』
ザイコンジャパンの山部社長
ザイコンジャパンの山部社長

偽造品の真贋判定や防御に利用されているセキュリティ印刷。ザイコン社のカラーデジタル印刷機Xeikonシリーズは、製品のパッケージやラベルに特殊トナーや特殊印刷技術を利用したセキュリティ印刷で「ブランドプロテクション」を可能にしている。ザイコン社のブランドプロテクションについて、ザイコンジャパン株式会社の山部淳社長に話を伺った。

 商品取引額のうち7~8%が偽造品

商品の偽造品、偽装品は1980年代から目立ち始め、90年代にかけて高級なブランドの洋服やバッグなどラグジュアリー製品がその中心でした。その後、90年代から2000年にかけて音楽CDやビデオ、DVDといったデジタルコンテンツへと広がります。そして2000年代以降は、医薬品、農薬の偽造品が横行しています。高額の商品から身近な商品へと移っていることがわかります。

一般消費者が手にする日用品にまで偽造品が流通し始めたことで、世界中のブランドオーナーは、「ブランドプロテクション」に対する意識を高めました。いまや全世界の商品取引額のうち7~8%が偽造品と言われています。とくに医薬品の偽造品は深刻な健康被害に至るケースがあります。WHO(世界保健機構)はその影響に警鐘を鳴らしています。

偽造品が明るみにでるのは偶然的な場合が多く、発見されるのは氷山の一角で、実際には見つかっていない偽造品が溢れています。偽造と知りながら購入する人もいますが、WHOは医薬品に関して偽造品を見逃してはならないと強調しています。

偽造医薬品には、①成分は正しいが、異なった分量、②異なった成分、③有効成分記載のない医薬品、④偽装パッケージに分類されます。効果が限られるものから全くないもの、深刻な健康被害がもたらされるまで横行しています。ブランドオーナーはそれにより信頼低下のほか、本来得るべき収入の損失といった被害を受けています。

医薬品以外には香水、化粧品、トレーディングカード、宝くじ、入場券(チケット)などの偽装品が広がっています。その規模は年間数千億円です。年々、その手口は巧妙になっています。

ザイコン社はそうした偽造品に対し、何とか力になれないかとセキュリティ印刷にも力を入れています。カラーデジタル印刷機「Xeikonシリーズ」の「ブランドプロテクション」には偽装者に対してアピールする「可視法」と、実際のトレース、真贋を差別化する「不可視法」があります。

偽造品の世界では、「ブランドプロテクション」に全く手を打っていないブランドオーナーが狙われやすい傾向があります。偽装品に対する手立てを打っていることを広げることで警戒心を持たせ、偽造されにくくするのが可視法です。相手に判らないようにプロテクションを組み込むのが不可視法です。この二つを複合的に活用することで高いセキュリティ効果が発揮されます。

Xeikonの高いプロテクション能力

Xeikonシリーズによるセキュリティ印刷のサンプル
Xeikonシリーズによるセキュリティ印刷のサンプル

「Xeikonシリーズ」がブランドプロテクションに適しているのは、高い見当精度と高精細の解像度を備えているためです。また、最大5色の印刷ユニット、先端技術のドライトナーの使用、プライマー処理をしていない用紙の使用が可能なことも、セキュリティ印刷への優位性となっています。

例えば、マイクロ文字です。「Xeikonシリーズ」は1200dpiの解像度により肉眼で判別しづらいような細かい文字を印刷することができます。次に「Xeikonシリーズ」が可能としているセキュリティ印刷を紹介します。

【マイクロ文字】

Xeikonによる隆起印刷
Xeikonによる隆起印刷

非常に小さなテキストを並べたもので、コピーしてしまうとつぶれてしまい判別が難しくなります。「Xeikonシリーズ」の1200dpiの高解像度が可能にしています。

【細紋】

CMYKで細い文様を印刷したものです。見当精度が高くなければ印刷ができません。

【Xeikonトナー・クリアトナー】

ザイコン社はUV光に反応するクリアトナーを提供しています。通常光源では見えないトナーですが、UV光を照射することで文字や絵柄が浮き出てきます。

【Xeikonトナー・特色】

ザイコンではブランドオーナー独自のブランドカラーを調合し、提供しています。ブランドカラーの再現にはトナーだけでなく、機械本体の精度も問われます。Xeikonの色安定性

は非常に優れており、ブランドカラーを正確に再現することができます。

【Xeikonトナー・タガントトナー】

一定の波長に反応するトナーです。出荷先、台数が管理された特殊な器具により真贋を判定します。

【Xeikonトナー・隆起イメージ】

細紋と同じように文様を入れる技術です。CMYKを重ねて最後にブラックもしくはスー

パーブラックを置くことで、トナー部分が隆起し、コピーができないようにします。パッケージやラベルの意匠性も非常に高くなります。

【可変データ】

複製ができない特殊なコードや二次元バーコードを可変印刷することで、真贋判定やトレーサビリティーが可能になります。白抜きのシリアル番号も偽造しづらい技術です。

【イメージの改造】

モアレを利用する技術です。文様部分に特殊なレンズを重ねると、一定のモアレパターンが表れ、真贋を判定します。

【セキュリティ基材】ザイコン社のパートナーには各種セキュリティに対応した基材を提供しています。「Xeikonシリーズ」は用紙対応力が高く、多くのセキュリティ対応基材を出力することができます。

現在、常に新しいセキュリティ技術が生まれています。これらを複合的に利用することで高度なセキュリティが可能です。ザイコン社では、タガントトナーなど特殊なトナーについて、出荷量、流通経路を徹底的に管理しています。

国内でも印刷物そのものが商品になる分野で、「Xeikonシリーズ」によるセキュリティ印刷の採用実績があります。偽造品を食い止めたいブランドオーナーは、かつての被害額との兼ね合いでセキュリティ印刷を採用してきました。今は偽造品の横行への対応にかかる労力、コスト、時間を抑えるために、事前にセキュリティをかけようというニーズが高まっています。

デジタル印刷は小ロット、多品種に対応する技術ですが、セキュリティ印刷でも活躍し始めており、高い付加価値を生み出すとともに、これから偽造品の防止という社会性の高い分野での活用が見込まれます。ブランドオーナーへの提案や相談があった際はぜひ、声をかけて頂ければと思います。

【ザイコンジャパン株式会社】
TEL03-5807-0210
http://www.xeikon.jp/

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