=MIS、ワークフローと自動化ソリューション=【総論】つなぐ、つながるプリントスマートファクトリー究極のFA化を目指し、様々な取り組み始まる
ポイントはIoTと人口知能
ドイツ政府が掲げている産業政策「インダストリー4.0」は単なる生産性向上に限らず、製品のマスカスタマイゼーション(個別品の大量生産)を可能とするもので、製造業の高度化による国際競争力向上を目指している。第4の産業革命とも言われ、製造装置(デバイス)が状況を最適に判断して自動的に稼働する「スマートファクトリー」が具体的な姿となる。つまり究極のFA化である。
スマートファクトリーを実現する要素の一つが「IoT」(Internet of Things)で、モノのインターネットと訳される。センサーを備えたデバイスが各種情報を自動的に収集し、ビッグデータとしてクラウド上で分析。その結果からデバイスを制御、または状況を判断するのが一つのモデルである。
例えばヒューレット・パッカードは、森林にカメラやモニターを設置することで、遠隔地にいながら動物の生態や気候変動のビッグデータを収集。それらを分析することで環境保全に役立てている。また、医療機関のない僻地で、インターネットで患者の状態を把握し、簡易的な処置と的確な医薬品を提供する遠隔地医療などを実現している。
IoTを可能にしたのが、通信環境の整備とクラウドコンピューティングの進展、RFID(ICタグ)を含むセンサーの低廉化である。これらの技術をネットワークで連動させて、新しい製造方法や新しいサービスを生み出す。いずれもすでに確立された技術であり、IoTはオープンイノベーションにより構築されているといえる。
総務省の「平成27年情報通信白書」では、「IoTは、情報の収集・蓄積、解析、反映・応用のあらゆる面において革新をもたらすことから、ビッグデータの活用を具現化するとともに、各産業のビジネスや産業構造そのものを大きく変革する可能性を秘めている」と指摘している。工場では生産ラインの個別の製造条件や製造機器の稼動状況などIoTにより自動的に収集し、分析することで、生産ラインの改善へつなげる。これをさらに発展させたのが「スマートファクトリー」となる。
調査会社のIDCは2014年の国内IoT市場におけるIoTデバイスの普及台数が5億5,700万台、売上規模が9兆3,645億円と見込んでいる。2019年には同市場のIoTデバイスの普及台数は9億5,600万台、売上規模は16兆4,221億円に達すると予測する。この巨大な市場に向けて、IT業界だけでなく、電機、自動車、流通、物流など様々な業種が注目し、参入を始めている。(続きは『デジタル・メディアソリューションズ2016』に掲載)