=クロスメディアソリューション=【市場動向】大手印刷会社のクロスメディア戦略マーケティング、プロモーションサービスを展開情報発信のクロスメディア化が進む

=クロスメディアソリューション=<br>【市場動向】大手印刷会社のクロスメディア戦略<br>マーケティング、プロモーションサービスを展開<br>情報発信のクロスメディア化が進む

デジタル技術が大きく飛躍する中で、印刷業界は、紙の印刷物を提供する製造業としてだけでなく、コミュニケーション支援の担い手としての原点に戻り、顧客ニーズや市場に合わせた情報コンテンツの最適配信を手掛けるようになっている。特に印刷メディアだけに留まらないデジタルコンテンツなども含めたクロスメディアの取り組みが活発化している。

DNP

生活者参加型メディアを提供
デジタルサイネージとスマホを連携

大日本印刷は、デジタルサイネージ(電子看板)と生活者のスマートフォンをリアルタイムに連動させて、インタラクティブなコミュニケーションを可能とする参加型メディア「SCREEMO(スクリーモ)」を活用し、生活者に新しい体験を提供するサービスを開始した。同サービスは、SCREEMOを活用したインタラクティブな広告コンテンツの制作・配信から、デジタルサイネージにアクセスしたスマートフォンへの情報配信、広告の効果検証までをトータルにプロデュースする。

「SCREEMO(スクリーモ)」は、デジタルサイネージにアクセスした生活者自身のスマートフォンの操作が、リアルタイムで目の前のデジタルサイネージに反映され、クイズ、アンケート、ゲームなどに参加できる新しい体験を実現する。

発信者側は、デジタルサイネージにアクセスした生活者のスマートフォンに、ダイレクトに情報を配信することが可能。デジタルサイネージでの広告表示だけでは難しかった、生活者への直接的なプロモーション効果が期待できる。サービスの利用はURLを入力、もしくは、QRコードを読み取って、直接指定のウェブサイトにアクセスするだけなので、専用アプリのインストールが不要。ウェブサイトへのアクセス(イベントへの参加者)数、配信した特典の利用数等の分析によって、広告効果を測定することも可能になる。

今回DNPは、スクリーモ社(イスラエル)が開発したSCREEMOの日本での販売代理店である協同エージェンシーと提携し、7月22日に三重県鳥羽市で開催された「第61回鳥羽みなとまつり」で、SCREEMOを活用したプロモーション効果の実証実験を行った。

同実証実験では、鳥羽みなとまつり会場の鳥羽マリンターミナル付近に、SCREEMOを搭載した車(ヴィジョンカー)を設置。来場者は会場に設置されたQRコードをスマートフォンで読み取り、表示される手順に従ってイベントに参加した(無料)。参加者はスマートフォンの操作によって、デジタルサイネージの画面上で、仮想的に花火を打ち上げることなどができる。参加者のスマートフォンには、その場で抽選結果が表示され、当選者に景品引換券を進呈。DNPは、デジタルサイネージへのアクセスによる広告閲覧件数や音楽イベントへの来場者数など、広告の効果検証および、景品引換券利用の効果を確認した。

スマートフォン上で、花火の尺玉を会場のヴィジョンカーに向かってスワイプすると、ヴィジョンカーのデジタルサイネージ上にバーチャル花火を打ち上げることができる
スマートフォン上で、花火の尺玉を会場のヴィジョンカーに向かってスワイプすると、ヴィジョンカーのデジタルサイネージ上にバーチャル花火を打ち上げることができる

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凸版印刷

VRとGPS活用の旅行者向けサービス
自治体向けでコンテンツをアプリに集約

ストリートミュージアムアプリの起動画面イメージ
ストリートミュージアムアプリの起動画面イメージ

凸版印刷は、バーチャルリアリティ(VR)を活用し、旅行者に訪れた場所ならではの感動を演出するサービス「ストリートミュージアム®」の自治体や企業などに向け提供している。今回このストリートミュージアムの全国の史跡コンテンツを、1つのアプリとして集約し、回遊機能を搭載した自治体向けサービスとして、9月中旬から提供を開始する。

「ストリートミュージアム」は、現存の城跡や産業遺産などが華やいでいた往時の情景をユーザーの位置情報と視野に合わせてリアルタイムにコンピュータグラフィック(以下CG)で再現する。シームレスに過去だけではなく未来都市など自由にタイムトリップできる仮想体験プラットフォームサービスとなる。凸版印刷独自の情報管理・配信サーバー、リアルタイム・レンダリングシステム、閲覧アプリケーションを基盤(プラットフォーム)とし、他の観光アプリなどとも連携できるAPI(共通のインターフェース)も提供している。共通基盤を活用することで開発コストを大幅に削減できるだけではなく、ユーザーが複数のアプリをダウンロードする手間や使い方を覚える必要がなくなる。

さらに凸版印刷は、長年培ったCGやバーチャルリアリティ(以下VR)の表現技術を核にコンテンツの企画・制作から、配信、閲覧アプリケーションの開発まで、ワンストップでサポートする。

今回、全国の史跡コンテンツを1つのアプリとして集約したことにより、旅行者に対し、旅行先の検討から旅行中での特別体験、旅行後の振り返りや他の史跡への興味喚起などの機能が提供できるため、観光を通じた地域活性化などの効果が期待できる。また、同サービスを導入する自治体に対し、従来のストリートミュージアムの基本機能に加え、マピオンと共同開発した、古地図を利用した地域回遊型ナビゲーション機能を提供。史跡に近づくとGPSと連動してコンテンツがプッシュ配信され、史跡を中心とした周辺の観光スポット情報が古地図上に表示される。観光スポットに近づくと、VRコンテンツや音声付き映像解説などが自動配信される。一度取得したVRコンテンツはコレクションとして端末内に保存。いつでも閲覧が可能となる。

スマートフォンで仮想体験を実現する「VRscope」にも対応。観光体験を持ち帰る土産用ツールへも展開できる。また、マピオンが開発した位置情報分析ツール「loghouse」により、旅行者の行動や滞在エリアの傾向を把握。観光プロモーション施策の立案・検討から効果検証までのPDCAサイクルを構築する。

共同印刷

複数一括読み込み二次元コード
独自アルゴリズム、コード形状を開発

SEGA「らくがきカードバトル撃墜王」
SEGA「らくがきカードバトル撃墜王」

共同印刷は昨年9月に、複数一括読み取り機能を持つオリジナル二次元コードFullScanCode®(フルスキャンコード)」を開発した。このほど、セガ・インタラクティブの「らくがきカードバトル撃墜王」向けカードに採用された。

フルスキャンコードは、“複数コードを素早く一括で読み取り、画像のボケやブレにも強い”というオリジナル二次元コードの特長はそのままに、各機能をバージョンアップした。システム連携によるコードの発行・管理・認識などの周辺環境提供や情報の一元管理も可能で、物流、工場、店舗での商品管理、大量の文書管理など、あらゆるシーンで活用できる。

主な特長は、①独自の画像認識技術を応用し、新しい解析方法(アルゴリズム)を確立、②コード形状を独自開発。絵柄や文字が配置でき、デザインに合わせて縦横比の変更も可能、③印刷物でありながら、RFIDタグが得意とする一括読み取り機能を持つ、④コンパクトな読み取りプログラムで、スマートフォンなど各種デバイスへの展開が可能、⑤不揃いなコードも素早く認識。コードの汚れや画像のボケ・ブレにも強い。

今回採用された「らくがきカードバトル撃墜王」は、購入した専用カードに絵を描くと、その絵が戦闘機としてゲーム内に現れ、敵とバトルを繰り広げるという、新感覚のアミューズメントマシン。戦闘機の強さは形や色によって変わり、絵の巧拙とは関係がないため、子どもから大人までが平等に楽しく遊ぶことができる。今回、画像のボケ・ブレへの対応力や、コード認識の素早さと高い認識精度、すべてのカードに異なるシリアル番号コードを付与できる情報量などが認められ、採用された。

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