大日本印刷 年齢や言語の違い、障がい等がある人も読みやすい「LLマンガ」の制作サービスを開始、京都精華大学と連携

大日本印刷株式会社(DNP)グループの株式会社DNPメディア・アート(DMA)は、できるだけ多くの多様な人々にとって読みやすい形式の「LLマンガ」の制作サービスを2023年8月に開始した。

現在、読み書き障害(ディスレクシア)や自閉症等の人、視力の衰えのある高齢者、日本語を母語としない人など、書籍を読むことに困難がある人々にとって、読みやすく制作する本「LLブック」が海外を中心に流通している。「LL」は、“やさしくてわかりやすい”という意味のスウェーデン語・Lättläst(レットラスト)の略で、できるだけ多くの人に読書の楽しみや必要な情報を提供することを目指してつくられている。こうした考え方や技術・ノウハウをマンガに展開させたものが「LLマンガ」になっている。

実証実験で用いた、「LLマンガ」のガイドラインに沿って作成したマンガ

本サービスの開始に先駆けて、『障害のある人たちに向けた LLマンガへの招待』(樹村房、2018年)の著作者で京都精華大学教員の吉村和真教授監修のもと、2022年11月〜2023年2月に、コニカミノルタグループ特例子会社・コニカミノルタウイズユー株式会社の社員教育のなかで、「LLマンガ」を活用した理解度向上の検証を行う実証実験を行った。

「LLマンガ」制作サービスのポイントは①マンガ特有の表現を分析し、ストーリー性を配慮してコマを分解するなど、シンプルな設計や改善のレギュレーション(規則等)を構築②ロケーション(場面)や表情による心理表現などを読み取る必要がない作画があり、場面を示す背景や表情による心理表現などを抑えてセリフで伝えることで、わかりやすさを向上させることができる。

この他に③わかりにくいテキスト・文章や複雑なコマ構成の改善、④デフォルメや誇張表現をはじめとする「略画表現」の改善など、直感的に理解できる文章を心がけるとともに、背景の誇張した表現を抑えることで、わかりやすさを向上させている。

DMAは本サービスを、2022年に構築したマンガ制作スタジオ「MANGA CREATIVE WORKS®」のコンテンツ制作機能と連動させて、出版社や企業、教育機関などにも提供させる。DNPグループは本サービスを通じて、「D&I(多様性と包摂)」を一層促進し、多様な人材の育成や障がい者雇用の定着といった企業の課題解決を支援するとともに、継続的な出版文化の発展にも貢献する。

場面を示す背景や表情による心理表現などを抑えてセリフで伝えることで、わかりやすさを向上(左のコマの各種情報を右のコマでは抑制)
直感的に理解できる文章を心がけるとともに、背景の誇張した表現を抑えることで、わかりやすさを向上(左のコマの各種情報を右のコマでは抑制)

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