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Ferture特集記事

【印刷ビジネスモデル集2019】
= イナミツ印刷 =
社内カイゼンで作業効率を向上

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2019.8.16

モノクロ特急の生産体制を強化

 

 

仕組み見学会

仕組み見学会

モノクロ特急印刷・製本に特化した印刷サービスを提供する株式会社イナミツ印刷は、2年前から自社の社内カイゼン活動を印刷関連業に紹介する『仕組み見学会』を実施している。(随時開催)

短納期・高品質のオフセット印刷から超小ロットの大量製本、封入・封緘まで一貫生産する同社は、急ぎの案件の割り込みや入稿遅れによる日程変更にも頻繁に対応する。これまで残業や休日出勤でそうしたニーズに応えてきたが、4年ほど前から働き方を見直し、マンパワーによる短納期・高品質ではなく、社内カイゼンによる効率化を推進している。

転機となったのは3年半前、社長交代に伴い、稲満信祐社長が社員の家庭に豊かさをもたらし、社会的役割を見い出すために、働き方を見直す方針を打ち出したことだった。

働き方の見直しに際し、まず挙がったのが、印刷工場と製本工場の刷り上がりの運搬だった。“時間=コスト”の視点から、工場の運搬にかかる時間や人手に着目。印刷と製本で分かれていた設備を、印刷と針綴じ製本、印刷と無線綴じに集約してコンパクトな一気通貫ラインを作り出した。

動線のカイゼンでは、テスト的に印刷機2台と製本機を備えたラインを構築し、印刷から製本、製品として納品するまでシンプルな動線になるようレイアウトを変更した。効果検証で製品に価値を付加する『有価作業』と、価値を付加しない『非有価作業』に分類して割合を算出したところ、従来工程では非有価作業率が20~40%近くあったものが、テストラインにするとほぼゼロになった。

新たなレイアウトでは、工程間に仕掛り品を置くスペースを設けず、オペレーターの歩行距離を短くするよう工夫し、物の流れを一方通行にすることでスムーズな流れを作り出している。無線綴じ工程は変更後、仕掛り品の設置スペースを無くすことで、ワンフロアに設備を集約。歩行距離を短くし、人員も8人必要だったものを4人で出来るようにした。

業務のカイゼンではこれまで司令塔のようなポジションが無く、各工程で作業予定を組んでいたため工程間のかみ合わせが悪かったことに着目。資材も各工程で購入していたことで、無駄が多く、在庫の把握もできなかった。問題の共有やPDCAを回す仕組みもなく、受注案件に対し、利益がどれだけ出ているか不透明だった。そこで情報管理を一元化するために生産管理部を設置し、無駄な在庫資材と保管場所を削減。過去の実績から予想工数をアナウンスし作業時間に天井をつくることで、成り行きの作業や残業時間削減につなげた。

原価算出では、会社全体の営業利益を出すために、“オペレーターの平均賃金を時間で割る”チャージ単価と、現場オペレーターの賃金を全社の費用で割った管理倍数の考え方を導入。“『資材費+(チャージ単価×現場工数×管理倍数)』=原価”とみなすことができるようにし、“売上-(労務費+購入費)=営業利益”による週次利益計上を実現した。

毎週、利益を算出できることがターニングポイントとなり、PDCAサイクルを回しながら、現場も含めて、全員経営で会社業績に関する意識を高めている。

一年間のカイゼンの結果で、同月の同じ案件に対し、利益を一年前と比べたところ、生産量を同水準キープしたまま作業時間を20%、作業人員を20%削減し、生産性を56%アップ。工数を1/3以下にしたことで、特急印刷の生産体制の強化を実現した。現在はさらに改善が進み利益体質が強化されている。

同社は高効率のモノクロ特急印刷だけでなく、現在進めているカイゼンの取り組みを紹介すると共に、独自開発した案件1件ごとに作業完了時点で営業利益ベースで黒字か赤字かが分かる一気通貫社内業務システム『イナミツシステム』の提供も行っている。

 

株式会社イナミツ印刷

東京都品川区東品川1-17-2

代表者:稲満信祐氏

TEL 03-3471-6010

FAX 03-3471-6345

http://www.inamitsu.co.jp