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Ferture特集記事

【技術】ホリゾン
ものづくりのスマート化へ向けた取り組み
SMART FACTORYの背景、ポイント、ロードマップ

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2020.5.8

2019年11月11日から13日まで「京都みやこめっせ」で開催された『Think smart factory2019 IN KYOTO』は、受発注から印刷・製本、デリバリーの仕組みをワークフローで繋ぎ、メーカー・ベンダー14社が「SMART FACTORY」に向けてコラボレーション展示を行った。本稿は1月31日、大阪OMMビルで開催された「モトヤコラボレーションフェア」におけるホリゾン・インターナショナル株式会社市場開発部部長・前田拓史氏の講演「Think smart factory2019 トピック報告」から、①SMART FACTORYに取り組む背景、②SMART FACTORYを目指すうえでのポイント、③ものづくりスマート化のロードマップの要旨を紹介する。

 

SMART FACTORYに

取り組む背景

 

印刷市場規模の推移をみると、出荷額は1990年代後半をピークに右肩下がりで、事業所数はピーク時の半分まで落ち込んでいます。従業員一人当たりの出荷額は概ねフラットですが、従事人口は減少しています。国内人口分布の推移と予測から少子高齢化がさらに進み、15歳から64歳の労働人口が減少します。労働集約型の製造業では労働集約型のビジネスが破綻する可能性を秘めています。

印刷業界を悩ませている、抱えている問題は多くあります。入るお金は減っているが、出るお金は増えています。専門的技術が属人化・高齢化し、技術の継承をしたいが人材確保がままならない。目の前に横たわる課題が多くあります。

 

SMART FACTORYを

目指すうえでのポイント

 

取り組むべき課題の一つである「SMART FACTORY(スマートファクトリー)」って何だろうということです。「スマートファクトリー」は、工場内のあらゆる機器や設備をインターネットに接続してITによって稼働状況や品質などの情報を管理する工場です。経済産業省の「スマートファクトリーロードマップ」では「ものづくりのスマート化」を実現するためにはIoT、AI、ビッグデータ、ロボットを活用することにより、生産の品質向上や低コスト化を行い、新しい付加価値の提供を実現しようとしています。

IoTやロボットはツールであって目的ではありません。何のためのスマート化なのか。その目的は品質の向上、コストの削減、生産性の向上、生産化・量産化の期間短縮、人材不足・育成への対応、新たな付加価値の提供・価値の向上です。

品質の向上では不良品の低減・品質のバラつきの低減・設計品質の向上です。コストの削減とは材料使用量の削減、生産性向上のためのリソースの削減、在庫の削減、設備の管理状況の把握と省力化です。生産性の向上では設備・ヒトの稼働率向上・ヒトの作業の効率化・作業の削減・負担軽減・設備の故障に伴う稼働停止の削減です。

生産化・量産化の期間短縮は製品の開発、設計の自動化・仕様変更の対応の迅速化、生産ラインの設計・構築の短縮化を図ります。人材不足・育成への対応は、多様な人材の活用・技能の継承が必要です。新たな付加価値の提供・価値の向上では多様なニーズへの対応力や提供可能な加工技術の拡大が求められます。そして最後はリスク管理です。

ものづくりのスマート化に向けては目標は設定が重要であり、事業の継続・発展、収益の向上・改善、新たな付加化価値の提供と生産性の向上は新たな製品やサービスの創出・省力化や省人化の目標に向かいます。スマートファクトリーはその手段です。

 

ものづくりスマート化の

ロードマップ例

 

経済産業省は「ものづくりスマート化のロードマップ例」でスマート化のレベル(データ活用のレベル)を示しています。レベル1で有益な情報を収集して情報を見える化し、得られた気付きや知見・ノウハウを蓄積する「データの収集・蓄積」を示しています。レベル2では膨大な情報を分析・学習し、目的に寄与する因子の抽出や事業のモデル化・将来予測ができる「データによる分析・予測」です。

設備にセンサーを取り付け、人の作業(作業導線、作業時間、作業内容など)をセンシングすることが出来ることで稼働状況・作業状況を収集・把握します。収集したデータはロボットに学習させることで人の行動を把握し、協調して作業が出来ます。

多様なニーズへの対応力向上(個別ニーズに合わせた多品種製品の提供)では、各製品に共通する部分を定義して製品の構造、設計、生産プロセス、加工基準などを共通化することで共通モジュールの組み合わせにより、フレキシブルな生産体制を構築します。

調達・生産・販売などの社内関係部門間ではデータ連携することで調達計画・生産計画・物流計画を共通化し、設備・ヒトへの作業指示・部品供給や段取り替えの計画策定の自動化・最適化し、個別のニーズに合わせて多品種の製品をフレキシブルに生産できます。

顧客ニーズに合わせたオンデマンド製品・サービスもデータ活用で可能になります。ERP(統合業務管理システム)、MES(製品実行システム)、SCM(サプライチェーンマネジメントシステム)などのデータを利用することで受注・調達、生産、物流、販売などの計画・実績データが容易に表示・確認できます。

受注状況、販売状況などを分析することで需要予測が出来、社内関係部門やサプライチェーン上の企業間でデータ連携することで調達計画・生産計画・物流計画などを情報共有が出来るようになります。最終的にはサプライチェーン全体で生産計画・物流計画などを最適化することで顧客ニーズに合わせてオンデマンドに製品・サービスを提供できるようになります。