富士フイルムBI 未知なる市場を掘り起こす「Revoria Press PC1120」~独自技術の圧着トナーなどで印刷ビジネスに変革FBI 未知なる市場を掘り起こす「Revoria Press PC1120」~

 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社(富士フイルムBI)が、プロダクションプリンターの新ブランドとして「Revoria Press(レヴォリア プレス)」を発表したのは2021年。そのフラッグシップモデルとして登場した「Revoria Press PC1120」は、今もデジタル印刷ビジネスの最先端を牽引するシステムの一つとして注目されている。同社グラフィックコミュニケーション事業本部国内営業企画部バリューイノベーショングループのグループ長・鎌形明氏と特命マネージャー・森浩隆氏に、「Revoria Press PC1120」の魅力とビジネスの可能性について伺った。

森氏(左)と鎌形氏、Revoria Press PC1120の前

プリンター・サーバー・ソフトウェアの3本柱

 2021年に新たなブランドとして発表した『Revoria』は、“レボリューション”と、国・地域や土地をあらわす“イア”を組み合わせた造語です。ロゴマークは、地平線に昇る太陽と、肥沃な大地に向かって飛んでいく鳥をモチーフにしています。

 『Revoria』は、乾式トナー方式のプロダクションプリンターの「Revoria Press」、プリントサーバーの「Revoria Flow」、印刷ワークフロー関連ソフトウエアの「Revoria One」の3つの要素によって、“プロダクション・プリンティング・ソリューション”のブランドとして構成されています。その「Revoria Press」のフラッグシップモデルが「Revoria PressPC1120」です。

 「Revoria Press PC1120」は、1パス6色プリントエンジンを搭載したプロダクションプリンター「Iridesse ProductionPress」の後継機として進化を続けています。例えば、CMYKトナーと同時に最大2色の特殊トナーを搭載できることは同じですが、クリア、ゴールド、シルバー、ホワイト、ピンク、カスタムレッドといった特殊トナーのラインナップに、先日新たに圧着トナーが加わりました。

圧着トナーでDM作成も効率化

 「圧着トナー」は接着機能を持つ実用化されたトナーおよびその技術としては世界初となる、無色透明の特殊トナーです。高い圧力を加えた時のみ樹脂が軟化し、糊のように接着する圧力応答性樹脂を採用しています。

 従来型のオフセット印刷による後糊方式の圧着と比較すると作業工程における効果は歴然です。後糊方式では、表面印刷→糊塗布→糊の乾燥→(裏面印刷で繰り返しがあり→)断裁→折加工→圧着→宛名印字といった工程が必要でした。それが宛名を含む印刷から糊塗布までを「Revoria Press PC1120」で行い、断裁と折加工をして圧着するだけで発送できます。工程が短縮され、人手も不要になり、その分のコスト削減に繋がります。

 また圧着トナーは糊面を自由にデザインでき、さらに圧着時の温度と圧力により接着力を制御できるため、V折、Z折などの圧着はがきや、A4サイズのダイレクトメールなど、様々なアプリケーションを手軽に作成することができます。

 圧着トナーの優位性は、短納期化や工数削減につながること以外に、運用面でも問題を解決しています。既存の圧着機も利用できるので初期投資も抑制でき、圧着トナーは従来の乾式トナーと同じように取り扱うことができます。もちろん印刷物のリサイクル性も従来の乾式トナーによる印刷物と同様です。

 その他に、長尺用の大容量給紙トレイ、エアー給紙、除電装置もオプションで用意しています。除電装置は、単層フイルム、合成紙、耐水紙、シール紙など、貼りつきやすい素材の作業性を向上させるだけでなく、貼りついた用紙を何百枚、何千枚と剥がす作業で発生する大量の静電気からスタッフを守るというメリットもあります。

CMYK+ピンクトナーで表現力向上

 ピンクトナーを使った表現力も向上しました。従来、ピンクトナーを使った表現は、画像生成の段階でCMYKとピンクの5版に分版する必要があり、扱える人が限られていました。しかし「RevoriaPress PC1120」は、プリンター操作で『ピンクを使って明るくする』という項目をチェックするだけで、CMYKを自動で5版に分版、ピンクトナーを使って広い色域を再現することができます。またRGBデータをそのままプリント指示した場合も、自動で5版に分版することが可能です。

 この自動分版の機能によって、Adobeなどのデザインソフトを使うような限られた人にしか扱えなかったピンクトナーによる色表現を、より多くのジョブに適用することができるようになります。同人誌の市場などで、ピンクトナーによる色表現のニーズが高い一方で作り手のスキルのレベルにばらつきがあったりする場合でも、簡単な操作でピンクトナーによる色表現が可能です。そのような市場において、少部数での採算が確保できる提案はお客様にとって必ず強みになると考えています。

専門性に依存しないAI写真補正と検査機能

 その他に、AIによる写真画質の補正が新しい機能として追加されています。これはAIがレタッチャーさながらに写真画像1点1点に対して環境シーンの判別、どのような補正をするか、どのエリアに対して補正するか、どの程度補正するか、という作業を自動的に判別して進めます。これにより前工程の画像処理などの作業が削減され、制作時間やそれに伴うコストも削減します。これも手間をかけずに付加価値をつけることが可能で、結果として利益率を高めることにつながります。

 また「検査マネジメントシステム」もオプションとして選択いただけます。プリントした画像を内蔵スキャナーで読み込み、RIP済みデータと照合して検査するというものです。検査工程を担当するオペレーターの高い専門性や特定のスキルに依存することなく、通常のプリント作業の中で検査作業を完了することが可能です。

 かつてのPODは、オフセット印刷との比較による基本画質の問題、ドットの大きさ、レリーフ感やグロス感といった違いがネックとなっていました。「RevoriaPress PC1120」は、粒が小さい「SuperEA-Ecoトナー」を採用していて、一般的なトナーとの差は歴然です。オフセットと見分けがつかない網点再現を実現することで、PODであるとは気付かない画質と安定性を実現しています。また小粒径トナーで、画像に対するトナーの高さを抑えることでオフセット同等のレリーフ感を再現できます。さらに用紙のグロス感に合わせた画像のグロス感も、オフセット同等まで近づけることができるようになりました。

デジタル印刷技術をフックに市場開拓

 これからの印刷ビジネスは、視点や考え方をさらに変えていく必要があると思います。注文数だけでなく、前後工程や全工程の通し枚数など様々なパラメーターを考えて採算分岐点を判断していくことや、「人・コスト・時間」をかけない仕組みを構築することで、利益率向上へ繋げていくことが必要です。

 CMYKでは表現できない特色を使った仕事も、これまではオフセットという技術の中で行われてきました。しかしながらそうした仕事は手間と納期がかかり、発注者にとっても受注者にとっても、採算性のよい仕事だといえないのが現実です。しかしデジタル印刷の世界は、デザインした後にすぐに校正刷りができ、そのまま本刷りに移っていくことができます。「Revoria Press PC1120」を活用することによりスピーディーに“特色”を使った表現ができる時代に変わっています。こうした市場は利益率を桁違いに上げることが可能です。だからこそ顕在化していなかったニーズを新たな市場として掘り起こすチャンスが訪れていると思います。

 デジタルという新しい技術には、新しい市場を掘り起こせる可能性があります。掘り起こす難しさはありますが、我々も技術を提供するだけでなく、お客様と一緒になって新しい市場の掘り起こしをお手伝いしていきたいと考えています。

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
https://www.fujifilm.com/fb/

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