研美社 ミマキ菊半UV機とロボットアーム連携、自動化システムで無人稼働

研美社 ミマキ菊半UV機とロボットアーム連携、自動化システムで無人稼働

『スマートニアバイ名刺』でタッチ1秒の“かざす名刺交換”

 プラスチックカード印刷を主力事業とする株式会社研美社(中田逸郎代表取締役社長)は、ミマキエンジニアリングのフラットベッドUVインクジェットプリンタ『UJF-7151 plus』とロボットアームの連携による自動化システムの導入や、NFC対応のスマートフォン・タブレットにかざすだけでパーソナル情報を相手に送信できる非接触ICカード『スマートニアバイ名刺』など、先進的な取り組みを次々と打ち出している。システム導入とサービス開始の狙いや同社の今後の展開について、彼谷佳彦取締役、村上泰佑製造部部長に話を伺った。

プラスチックカードに特化した印刷会社

 1986年、大阪で創業した株式会社研美社は、プラスチックカードに特化した印刷会社として6つのECサイトを運営し、業績を伸ばしてきた。近年の受注増加に伴い、バリアブルのICカードの読み取りが可能な検査装置やオリジナルの丁付けソフトなどを活用し、生産能力にも磨きをかける。

 昨年12月にはミマキエンジニアリングのフラットベッドUVインクジェットプリンタ『UJF-7151 plus』とロボットアームの連携による自動化システムを導入し、本格的なFA(ファクトリーオートメーション)へと舵を切った。

自動化システム導入で本格的なFAへ

同自動化システムは、アーム先端にカードを吸着させてインクジェットの治具に並べ、治具側でもずれを防止するため吸着。印刷後はアームが所定の場所に積んでいく。昼の休憩時間や社員が帰った後の夜間に無人運転も行い24時間の稼働が可能なため、短納期が多いICカードの受注にも柔軟に対応できる。

 「カードを治具に並べる時間は、手動だと片面印刷の場合に1時間当たり108枚、8時間で864枚です。ロボットアームは1時間で68枚ですが、24時間の稼働で1,632枚となり、約2倍の生産能力を確保した上で、人が稼働させるはずだった時間を別の作業に充てることができます」(村上部長)

 同社ではプラスチックカードの受注増加に対して、単純な増設ではない先端技術を活用した効率化を目指していた。そこで、以前から取引のあるミマキエンジニアリングに相談し、ロボットアームメーカーとの3社で打合せを重ね、今回の導入に至った。

「ミマキさんのインクジェットプリンタは色の再現性が高く、初期型のマシンから10年以上使用しています。メンテナンスやサポート対応も迅速なので今回のような新しい取り組みでも信頼してお任せすることができました」(村上部長)

 また、自動化システムでは印刷面が露出しているためほこりが付きやすいという課題に対して、作業場全体をクリーンルーム化することでほこりの混入を防ぎ、高品質の自動化システムを実現した。

彼谷佳彦取締役(左)、村上泰佑製造部部長(クリーンルーム内の自動化システムの前で)

オリジナルノベルティの展開も視野に

 社員証・学生証などのICカード化が進む一方で、コロナ禍の影響もあり、メンバーズカードやポイントカードなどは非接触のスマホアプリに移りつつある。そこで同社は昨年2月に、ポイント管理、スタンプカード、プッシュ通知機能を備えたスマホアプリ『ラポレル』の提供を開始した。

 また、カードレスへの対応として同社は、外部の講師を招きながら勉強会を実施して自社の強みをSWOT分析し、同社が今後目指すべき市場を見定めた。再確認した同社の強みは、プラスチック素材の調達力、インクジェット印刷機を用いたバリアブル印刷、IDカードの通販事業で培ったネット販売のノウハウなど。それらの強みを活かせる商品として、昨年7月にNFC対応のスマートフォンやタブレットにかざすだけでパーソナル情報を相手に送信できる非接触ICカード『スマートニアバイ名刺』の提供を開始した。

 『スマートニアバイ名刺』はカメラの起動やアプリのダウンロードが不要で、先方の電話番号、メール、Webサイト、所在地、地図、各種SNSなどのコンテンツに直行できる。相手のスマートフォンのホーム画面に顔写真が保存されるため、同じ人やモノに接する回数が増えれば増えるほど、その人やモノに対して好印象を持つようになる心理現象である「ザイオンス効果」も期待できる。

 気軽にコンタクトが取れることが大きな特徴で、長期間にわたって何度も顧客とやり取りをする不動産、保険、車のディーラーの営業担当者には非常に効果的なツールとなる。

 「高額な商品を扱う場合、人から買うという側面があると思います。その場合、『スマートニアバイ名刺』は営業担当者の人となりをよく知ってもらう助けになります。購入後のサポート、アフターサービス、ひいては別のお客様への紹介につながるツールです。紹介する際も、LINEやメールでURLを簡単にやり取りできます」(彼谷取締役)

『スマートニアバイ名刺』リーフレット

 価格は月額800円(税別)で、カード1枚と専用のURLが発行される。URLからはQRコードが立ち上がり、オンライン会議などで背景にQRコードを映すことでスムーズな情報交換が可能。カードは渡さずに先方のスマートフォンにデータを保存してもらう使い方なので、月額以外に費用は発生しない。

 現在の導入実績は、個人を中心に約40ユーザー。今年度中に1万ユーザーを目指し、カードの生産には自動化システムで対応する。今年の春以降には『スマートニアバイ名刺』の個人向けECサイトもオープンする予定。

 「スマートフォンをかざすだけで次世代の名刺交換が可能なサービスと自動化システムという、印刷業界内でもかなり先進的な取り組みを進めていると認識しています。スピード感を持ってサービスを展開していきたいので、興味を持った印刷会社様にはぜひ代理店になっていただければと思います」(彼谷取締役)

 例えば、展示会などで頻繁に名刺を配っていた業種のPR担当者が『スマートニアバイ名刺』を活用することで、名刺としての紙やプラスチックを消費せず、SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」におけるエコ活動にも貢献できる。

 自動化システムの今後の展開について彼谷取締役は、「『スマートニアバイ名刺』や『ラポレル』などのデジタルコンテンツが事業の太い柱となった後には、次のステップとしてロボットアームを活用したUV機をより使いこなし、大量生産を可能にすることで、キーホルダーや文房具などノベルティの展開も考えています」と新規事業への探求に余念がない。村上部長は、「今後の増設の際にもFAを重視した展開を考えています。今回の自動化システムは1日約1,600枚を人の手をかけずに生産できますが、『スマートニアバイ名刺』などによる受注拡大を見込み、1日5,000枚ほどの生産設備を目指していきたいです」とさらなる自動化による省人・省力化への意欲を見せる。

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