=デジタル印刷・加工ソリューション=【事例 ビジネスモデル】稲澤金属標板工業過酷な条件で使われるラベルを保護 Kompac液ラミネーターでオンデマンド対応

=デジタル印刷・加工ソリューション=<br>【事例 ビジネスモデル】稲澤金属標板工業<br>過酷な条件で使われるラベルを保護<br> Kompac液ラミネーターでオンデマンド対応

進む工業製品標鈑の小ロット化

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稲澤政敏社長

液ラミネーターは印刷物に光沢を与え、高級感という付加価値をもたらす。もう一つの役割は表面保護。例えば、頻繁に利用される冊子の表紙や耐擦過性が求められるパッケージである。そうした液ラミネーターの機能は小ロット印刷物にも求められている。小ロットの単価を上げるための有効な手段といえる。
江東錦精社が取り扱う「Kompac EZ Koat」は小ロット印刷物の光沢加工、表面保護に最適で、現在、様々な領域で採用されている。しかし、今回レポートする有限会社稲澤金属標鈑工業所(香川県高松市)ではかなり特殊な形で利用している。目的は「表面保護」。かなり過酷な環境で使われる印刷物を保護するためにKompac EZ Koatで表面をコーティングする。冊子やパッケージとは異なるが、液ラミネーターの表面保護の強度を知る上で同社の利用方法は興味深い。

活躍するKompac EZ Koat
活躍するKompac EZ Koat

稲澤金属標鈑工業所は稲澤政敏現社長の先代が昭和21年3月に創業。当初は金属標鈑のプレスを主体に事業を拡大していった。例えば犬の鑑札や原動機付自転車のナンバー。当時は型を作ってプレスしていたが、小ロットに対応できないため、その後、エッチングを取り入れた。金属のエッチングとは化学薬品の腐食作用を利用し、表面を加工していく方法で、型がいらないので小ロットに向いている。
次に同社が取り組んだのがスクリーン印刷。金属に直接印刷することで、さらなるコスト削減を図ることができる。現在、UV単色オフセット印刷機、卓上インクジェットプリンターを揃え、今年5月には電子写真方式のオンデマンド印刷機を導入し、一層の小ロット化を図った。
こうした技術の変遷について、同社の稲澤社長は「先を見据えてきたというよりもお客様の要望を取り入れながら変化してきた」と述べる。現在、同社が受注している標鈑は、主に工業製品に使われている。エッチングやスクリーン印刷は耐擦過性が高く、頻繁に利用する製品でも長く保つ。土地柄からもともと大ロットの需要が乏しい上に、小ロット化の傾向がますます進んでいる。今回、オンデマンド印刷機を導入したのは、そうした事情によるものだった。

80℃の環境で使われる合成紙ラベルを保護

同社が「Kompac EZ Koat」を導入したのは、オンデマンド印刷機で出力した印刷物が工業製品に付随する標鈑用のラベルとして採用される上で、大きな不具合が生じたためだった。オンデマンド印刷機で出力するメディアは耐水性のある合成紙。通常の環境で利用される分には十分に強度が保てるが、クライアントの要望は80℃以上の環境で5時間以上、さらされるというものだった。
同社制作部の森清浩課長は「トナーが溶け、メディアとメディアが貼り付いてしまうという現象が起こり、このままでは採用が難しかった」と述べる。トナーの定着温度は通常、100℃以上なので、80℃ならばそれほど心配はないが、5時間以上さらされるとなると話が違ってくる。
表面を保護する良い方法はないかと検討していたところ、地元の印刷機材商社の一誠社から勧められたが液ラミネーターだった。フィルムラミネーターも選択肢の一つに浮上していたが、「コストとスピードに加え、耐熱性の面で液ラミネーターに絞り込んだ」(稲澤社長)。

ホームページでは様々な製品サンプルが紹介されている
ホームページでは様々な製品サンプルが紹介されている

液ラミネーターの中でもKompac EZ Koatを採用したのはフィーダーが決め手となった。同社では限られた人員が様々な装置が扱えるよう多能工に取り組んでいる。自動給紙することで、液ラミネーターの作業中に他の仕事を進めることができる。
Kompac EZ Koatにより表面を保護した標鈑用ラベルはテストの結果、クライアントが要求する条件をクリア。納品を待つばかりとなっている。

(詳細は『デジタル・メディアソリューションズ2016』に掲載)

〔問合先〕
有限会社稲澤金属標鈑工業所
香川県高松市由良町891-4
TEL:087-848-1507
http://www.pront0204.jp/

株式会社江東錦精社
TEL:03-3685-5911
http://www.koutoukk.co.jp/

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