【ビジネス】イナミツ印刷RICOH Pro C7200Sで提案型ビジネスを推進モノクロ印刷専門会社としての強みを伸ばす
株式会社イナミツ印刷(稲満信祐社長)は、プロダクションプリンターRICOH Pro C7200Sのスペシャルカラーを活用して営業の幅を広げ、顧客の商材をどのように変化できるかを第一に考え、それぞれ異なる提案をしている。『提案型営業』を推進する上で訴求力の高い印刷物を活用し、モノクロ印刷専門会社としての強みは維持しつつ、ホワイトやクリアの依頼に付随するモノクロ印刷の案件増加を図る。
モノクロ頁物に特化
イナミツ印刷は、謄写版印刷を生業とする印刷会社として1970年(昭和45年)に創業し、1993年に東京都品川区に自社工場を設立。軽オフセット印刷機によるモノクロ印刷を主力とする。2001年、同工場から徒歩3分の立地に製本工場を増設し、一貫体制でモノクロ・小ロットの印刷製本の生産性を強化。同業者からの製造受託が業務の7割を占め、短納期、小ロットの案件を得意とする。製造受託以外には、大手予備校や学習塾などの冊子、テキスト、資料の印刷・製本サービスを提供している。
小ロット・短納期の業務が多い同社は、急ぎの案件の割り込みや入稿遅れによる日程変更が頻繁に発生し、残業や休日出勤で応えてきたが、4年半ほど前から働き方を見直し、効率化に着手。社内改善では、製造ラインの配置・導線の最適化や、PDCAサイクルの再構成、社内業務システムの構築などを実施して生産性を大幅に向上した。
ほかにも改善活動では、受注型営業から『提案型営業』へのシフトを目指している。稲満社長は「景気が良い時代の下請け仕事は顔を出せば仕事をもらえましたが、現在は顧客が何を必要としているか考えないと結果が伴いません。提案型営業の推進に伴い、売上も増加傾向にあります」と時代の変化に対応している。
提案の幅を広げるスペシャルカラー
モノクロ頁物印刷には、表紙のみカラーという業務が多い。カラー印刷を外注していた同社は、10年前にカラーのデジタル印刷機を1台導入、4年前に増設して内製化を図ってきた。しかし、導入したデジタル印刷機のメーカーサポートでは、頻発する機械の停止に対応しきれていないと感じていた。機械が停止するたびにオペレーターの集中力が切れ、ミスを誘発するという悪循環に陥り、残業時間が増えるなどの問題が発生していた。
同社では、最初に導入したデジタル印刷機のリースが切れることを機に、入れ替えの検討に入った。稲満社長が会長を務める東京グラフィックサービス工業会青年部のFACEに所属する大塚商会の社員に誘われ、リコーの見学会に参加。同社の現場担当兼営業責任者も同行し、RICOH Pro C7200Sの性能紹介やデモを通して、フルカラー・モノクロともに最大85ページ/分の高い生産性や、用紙銘柄を選択するだけで適切な設定での印刷が可能な扱いやすさなどを評価し、昨年12月に増設を決めた。現在、所有するカラーのデジタル印刷機3台の中で、Pro C7200Sが出力数の7~8割を占め、生産性が2割ほど向上した。
稲満社長は「話を聞いただけではホワイトトナーやクリアトナーなどのスペシャルカラーをあまり意識していませんでしたが、デモで実際に見ると、お客様に“提案できる幅が広がる”という実感があったので導入を決めました」と述べ、「わかりやすく目を引く部分があると、商材として見せやすいです」と期待する。
メンテから勉強会まで、
大塚商会が手厚くサポート
スペシャルカラーに関しては、Pro C7200Sを販売した大塚商会が定期的に勉強会を開催し、様々な用途を提案している。同社の営業担当者が顧客に勉強会で学んだ表現方法を提案すると反応が良く、他の案件につながるケースもあるという。商材にどのように変化を付けられるかを第一に考え、顧客ごとに異なるアプローチで提案している。
稲満社長は「モノクロのみではなくカラーができる、というだけでは注目されません。ホワイトやクリアを使ったトリッキーな見せ方を加え、自社だけでなくお客様である同業者の方が提案の幅を広げられるようになったことは、これからの展開で大いに役に立ちます。サンプルを受け取った元請けのお客様が、クライアントにそのままサンプルお持ちすれば手間もかからないし、クライアントにも喜ばれます」とスペシャルカラーがもたらす効果を体感している。
故障やトラブルに関しては、リコーのメンテナンスとは別に大塚商会のサポート部隊が定期的に来社し、メンテナンスと同時により良い使い方のアドバイスを提供している。「頻繁に顔を合わせるため、気軽に質問することができます」とサポート体制にも満足している。
自動化で従来のイメージを払拭
デジタル印刷機のこれからの展開について稲満社長は「今後は出力物の質にあまり変化がなくなるかも知れません。一方、作業工程のデータフローは5年くらいで大きく進化していくと思われます。データ処理の速度や質が格段に上がれば10年後には、社内の印刷機全てをデジタル印刷機に切り替えている可能性も十分にあります」と予想する。
オフセット印刷機と比べ、デジタル印刷機は操作が簡単という利点がある。パートなどが誰でも同じようにジョブをこなせて作業が標準化できる。「生産性を上げる上で、洗練されたオペレーターは必要ですが、職人でないと使えないと言う考え方はこれからの時代には通用しません。これからは、誰でも体に負担をかけずに簡単に使える機械が必要になってきます。属人化の解消という点で、日本の中小企業の製造現場はとても遅れていると思います」とデジタル化の必要性を指摘する。
Pro C7200Sで強みを活かす
同社は、今後5年を目途に新工場を構想している。現在の2棟を売却し、1ヵ所に集約することで、建物間の運搬作業をなくし、体への負担を極力減らすと同時に、現在の半分の人数で倍の生産量を実現する工場を目指す。
「新工場が竣工し、増設が必要になった際は、リコーの機械を選びたいと思うほど、Pro C7200Sには満足しています。マシンの使い勝手良さと、スペシャルカラーを使った商材の提案力の高さはもう手放せません」と述べ、最後に稲満社長は「当社は工程間のデータのやり取りで、まだアナログな部分があるのでそこを解消した後、様々な要望をリコーに出して、Pro C7200Sのもっとうまい使い方を探っていきます」と述べ、「事業内容は従来通り、小ロットのモノクロ印刷を強みにしつつ、ホワイトやクリアなどのトリッキーなフックを増やし、そこに付随するモノクロの案件も増やしていきたい」とさらなる提案力への意欲を見せる。