DNP ポストクッキー時代のターゲティング広告の配信・分析サービスを提供、改正電気通信事業法に対応

 大日本印刷株式会社は2023年5月25日に、米国のLotame(ロタメ)社と株式会社ゲシェルと連携し、サードパーティークッキーに依存しないターゲティング(追跡型)広告の配信・分析サービスの提供を国内で開始した。

 近年、ユーザーのプライバシー保護の観点からクッキーに関する規制が強化されており、クッキーに依存しないデジタル広告の戦略・施策の構築が急がれる中、DNPは個人情報を使わない安全・安心なサービスを提供する。

 サービス開始の背景として、改正個人情報保護法(2022年4月1日施行)や改正電気通信事業法(2023年6月16日施行)等により、プライバシー保護の観点からクッキーの利用が制限され始めていることが挙げられる。

ユーザーが提供を許諾した各種データを収集 → 収集したデータの関連性を推定し統合(サービスイメージ)

 クッキーの利用は2024年後半には全面的に廃止される予定で、これにより、生活者のWebサイト閲覧履歴等に基づくターゲティング広告や、分析・効果測定が困難になるため、広告媒体社や広告主は、クッキーに依存しないデジタル広告戦略と施策の構築を急いでいる。

 こうした課題に対してLotame社の提供するサービスは、ユーザー個人の閲覧履歴を追跡せずに、Webサイト来訪に関わる各種データの関連性を推定して統合することで、ユーザーの人物像を想定することができる。これにより、クッキーを使わずに、ターゲティング広告の配信や来訪ユーザーの分析が可能になる。

 同サービスの特長として、①個人情報を使わない②ユーザー像を仮想してターゲティングができる③Webサイト来訪ユーザーの属性を分析できるの三点が挙げられる。

 個人情報を使わないという点では、個人情報や、個人情報に関連する情報を用いないため、よりセキュアな状態での広告配信ができる。また、情報収集に関するユーザーからの同意を得る方法として、事前承諾に加え、通知・公表などの対応も可能になる。

 その他にユーザーのWebサイト閲覧履歴を追跡することなく、ユーザーが提供を許諾した各種データ(Web経由・モバイル経由・インターネット回線に接続したテレビ端末の“コネクテッドTV”経由等)から、関連性があると推定した情報を統合して仮想ユーザーのIDを生成することができるため、従来のクッキーを用いた配信のように、想定した見込み顧客への広告配信が可能になる。Webサイトにタグを設置して、Webサイト来訪ユーザーの情報を分析するとともに、IDごとに当てはまる「属性」を推定することで、興味・関心等の複数の要素でユーザー像を分析することもできる。

 今後の展開として、DNPは、本サービスの提供を進め、2025年までに累計30億円の売上を目指す。また、Lotame社とともに、クッキーに依存しない広告商材やWebサイト来訪ユーザー分析のほか、企業等が保有するファーストパーティーデータ強化のメニューを開発・提供していく予定。DNPは、個人情報保護と企業等の広告活動を両立するデジタル広告ソリューションの開発・提供をさらに進め、本サービスのような“ポストクッキー商材”を含め、新しい顧客データ分析基盤の開発も検討していく。

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