大日本印刷 スマートグラスで発掘現場等を再現するガイダンスシステムの実証実験を実施、博物館でリアルとバーチャルが融合するMR体験を提供

 大日本印刷株式会社(DNP)は、2023年7月21日(金)に日本最大級の貝塚を有する千葉市立加曽利(かそり)貝塚博物館で行われる「夏休み縄文ウィーク」にて、メガネ型の情報端末“スマートグラス”を利用した情報表示ガイダンスシステムに関する実証実験を行った。

 今回、スマートグラスの内蔵カメラで撮影する画像情報から利用者の位置情報を算出するVPS(Visual Positioning System)技術や、リアルとバーチャルが相互に影響し合う空間等を構築するMR(Mixed Reality:複合現実)技術を活用。この情報表示ガイダンスシステムにより、実際の博物館内で鑑賞する人の位置に合わせて、貝塚の断面や竪穴住居の柱、土器等の情報を重ねて、スマートグラスで立体的に表示する“場所に応じたMR”のサービスを提供する。

 DNPは、美術館・博物館向けにヘッドマウントディスプレイ(HMD)やスマートグラスを使用したガイダンスシステムを提供しており、各種情報機器やMRに関する実績やノウハウを有している。

 今回のガイダンスシステムでは、従来必要だった位置情報算出用のマーカー等を施設内に設置する必要がなく、施設側の導入・運用の負荷が少ないため、利用者も手軽に使用できるシステムとして、実証実験で効果や課題を検証する。

加曾利貝塚博物館貝層断面展示での利用イメージ
スマートグラス上での情報表示イメージ

 情報表示ガイダンスシステムの実証実験のポイントとして、所定の位置で自動的に解説等のコンテンツを表示すること、現実の世界とCG等のコンテンツを違和感なく配置することが挙げられる。

 スマートグラスの内蔵カメラで取得した展示物等の画像によって利用者の位置を特定するため、これまで必要だった位置特定用のマーカー等の設置が不要になる。スマートグラスをかけて所定の場所で展示物を観ると、該当する解説コンテンツ等が速やかにスマートグラスに表示される。バーチャルに表示するCG等の解説コンテンツを、スマートグラスを通したリアルな空間上の最適な位置に、高い精度で配置することも可能。そのため、解説コンテンツ等が現実世界と一体化しているような自然な表示が可能になり、利用者の直観的な理解や満足度の向上につながる。今回の実証実験では、「加曽利E式土器」展示ケースの前で4点の土器の3次元(3D)CGをMRで表示する。

 DNPは、2023年5月に新中期経営計画にて、注力事業領域の新規事業「コンテンツ・XRコミュニケーション関連」を掲げ、リアルとバーチャルの空間を融合する「XR(Extended Reality)」の技術を活かし、新しい体験と経済圏の創出を目指す「XRコミュニケーション®事業」を展開している。その一環で、スマートグラスを利用したMR体験について継続して機能開発等を進めるとともに、博物館・美術館に加え、企業や自治体等のショールームでの製品・サービスや施設・観光スポット等の紹介等にも展開する。

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