全印工連 沖縄初の全日本印刷文化典、“ゆいまーるの心”を胸に全国から617名の印刷人が参加~業界課題を共有し、連携を確認
全日本印刷工業組合連合会(全印工連/瀬田章弘会長)の「2026全日本印刷文化典 沖縄大会」が10月16・17日、那覇市の沖縄ハーバービューホテルで、「“ゆいまーるの心”文化を刻み 未来を彩る~蘇る首里城 印刷の未来沖縄から~」をテーマに開催され、全国から617名の組合員、関係者が集い、業界の指針や課題を共有した。大会を準備した沖縄県印刷工業組合は沖縄本土復帰の1972年に47番目の工組として全印工連に加盟した歴史を持つ。平山達也大会委員長(沖縄工組理事長)は全国各地で受け継がれてきた大会が史上初めて沖縄で開催されることに感慨を示し、感謝と喜びを伝えた。

産業発展の功労者を表彰
記念式典は沖縄舞踊『かぎやで風』で幕を開け、平山達也大会委員長(沖縄工組理事長)が沖縄の言葉で来場者を迎えた。平山大会委員長はテーマにある“ゆいまーる”について、人と人、企業と地域、業界と社会が支え合い新たな価値を生む“価値共創の姿”と説明。「記録する、伝える、動かす」という印刷の本源的な力に立ち返り、次世代へつなぐ決意を述べた。
瀬田会長は式辞で、沖縄の加盟で全47都道府県の組織が揃った歴史に触れ、感無量と語った。また、経営環境がデフレからインフレへ転換したとして、「誰も幸せにならない価格競争をやめ、価値競争へ移るべき」と強調。取引適正化を「一丁目一番地」に、会員支援の84事業を進めていると説明した。
来賓祝辞は、赤澤亮正経産大臣(代読)、古謝玄太沖縄県知事(宮城嗣吉副知事が代読)らが述べた。表彰では、印刷産業発達功労者として滝澤光正氏(滝澤新聞印刷)、作道孝行氏(作道印刷)、中本俊之氏(中本本店)が、印刷関連産業功労者として小森善治氏が顕彰された。滝澤氏は謝辞で、コロナ禍でのリモート会議導入や印刷DXへの取り組みを振り返った。また、全印工連の“価格競争から価値競争へ”の方針と事業活動に対し「大変心強く思っている」と高く評価し、「私たち印刷産業を取り巻く環境は、これからも大きく変わっていく。しかし、全国の仲間が力を合わせれば、必ず新しい可能性が切り拓けると確信している」と謝辞を結んだ。
式典の最後に、沖縄工組青年部会の比嘉圭之介会長は『印刷文化典沖縄宣言』を読み上げ、変化を恐れず挑戦し、技術と文化を融合させて次代の礎を築くと誓った。
Reboot the Industry! 印刷産業の再起動
全印工連メッセージで瀬田会長は「Reboot the Industry! 印刷産業の再起動」を訴えた。出荷額が5兆円を割り込む一方、売上高は約10年6兆円規模で横ばいなのは、付帯サービスを広げた結果だと分析。「競争はしない、挑戦はする。成長は目的にしない、進化はする。規模は追わない、価値を高める」という“深化の経営”を掲げ、①価格競争から降りる、②一社で全部やることをやめる、③売上成長をKPIから外す、④地域に必要とされる会社になる、⑤AIを省人化だけに使わない、の5戦略を示した。
全印工連メッセージでは続いて全印工連の浜田彰常務理事が全国の組合員企業を対象とした情報共有・連携プラットフォーム「J-CONNECT」を、富澤隆久常務理事が全印工連特別ライセンスプログラムを説明。全印工連事業の活用を呼び掛けた。
記念講演では、歴史エンターテイナーの賀数仁然氏が登壇。海洋国家として栄えた琉球王国の歴史や文化、日本、中国、韓国、東南アジアとの交易、資源のない国が生きていくためのしたたかさなどを語り、沖縄文化の奥行きを全国の参加者に伝えた。
記念パーティーは喜友名諒氏らの空手演武で開幕し、途中、次期開催地として石川県印刷工業組合の小杉善文理事長が挨拶。喜納昌吉氏の音楽とカチャーシーで締めくくられた。
全印工連フォーラムでSR調達と公民連携の可能性を探る
10月17日の全印工連フォーラムでは、人口減少が続く地域社会における印刷会社の役割や行政・地域との連携について、3つのセミナーと2つのセッションで議論した。
冒頭、瀬田会長が印刷産業の将来像と産業戦略デザイン室の役割を説明。オープニングセッションでは江森克治委員長が、縮小する印刷市場の中で印刷周辺サービスの取り込みが進んでいる点を「全印工連が提言してきた業態変革の成果の表れ」と述べ、今回は3部会のうちSR部会の取り組みを取り上げた。
セミナーでは、SR部会の宮﨑真氏と東淑恵氏が、「SR調達と公民連携でつくる地域のミライ」と題し、昨年11月発行の実践ガイド『SR調達と公民連携でつくる地域のミライ』の要点を解説。行政・コミュニティー・企業が連携する公民連携による地域協創の必要性を訴え、印刷会社が持つ情報スキルやネットワークなどの非財務資産を可視化・発信することが、地域の新たな価値創出につながると提言した。
続いて静岡市スポーツ政策監の坂口裕昭氏が「境界を越える。~民間経営者が行政の中で実践する、価値共創型の公民連携~」をテーマに講演。民間経営者として行政に関わった経験から、民間と行政では事業を見る視点や責任が異なるため、その違いを理解し、公共の価値と事業の価値を明確化して役割と費用を整理することが重要だと指摘。年間1.8億円の赤字だった静岡市のナショナルトレーニングセンターの立て直しを事例に、相手の立場を理解してともに動ける形づくりの大切さを語った。
経済産業省経済産業政策局生活維持物品役務需要減対策室の矢野悠太係長は「エッセンシャルサービス産業政策について」を演題に地域課題の解決に向けた制度を説明した。矢野氏は交通・福祉・教育などのエッセンシャルサービスで供給不足が生じ、約76兆円のGDP損失が見込まれると指摘。DXや共同調達、商圏拡大などで損益分岐点を下げる必要があり、民間の力が欠かせないとして、法制上の支援が受けられるエッセンシャルサービス制度を紹介した。
クロージングセッションで産業戦略デザイン室の岩間奏子副委員長(SR部会長)は、実践ガイドで事例として取り上げた組合員に触れ、「どれも一朝一夕でここに至ったわけではない。ゴールが見えていたわけでもない。行動し続けた結果、たどりついた」と総括し、全国で展開中のSR部会主催の実践講座への参加を呼びかけた。
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