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凸版印刷 印刷博物館 P&Pギャラリー「グラフィックトライアル2019」展スタート

2019.4.16

左から、髙田唯氏、テセウス・チャン氏、葛西薫氏、山本暁氏

左から、髙田唯氏、テセウス・チャン氏、葛西薫氏、山本暁氏

凸版印刷の印刷博物館では、毎年、4人のクリエイターが一つのテーマに基づき、それぞれに印刷表現の可能性に挑戦する企画「グラフィックトライアル」を開催している。その14回目となる「グラフィックトライアル2019―Exciting-」が、4月13日から7月15日まで、館内にあるP&Pギャラリーで開催されている。

同展に先立ち、4月12日、内覧会およびオープニングレセプションが、企画に参加した葛西薫氏、テセウス・チャン氏、髙田唯氏、山本暁氏も参加して盛大に行われた。

14回目となるグラフィックトライアル

14回目となるグラフィックトライアル

 

平成最後となる今回のグラフィックトライアルは、印刷に精通したクリエイター4名が、『Exciting(エキサイティング)』というテーマのもと、それぞれが印刷グラフィック表現の可能性を探る内容となった。

あえて印刷のタブーへ挑戦したり、紙ではないものへの印刷、あるいは汚れたような表現を目指すなど多種多様な試みが行われた。会場では、完成作品であるポスターだけでなく、制作過程でのトライアルも展示・紹介している。

 

35㎜のネガからB1サイズ6連の作品を制作した葛西氏

35㎜のネガからB1サイズ5連の作品を制作した葛西氏

今回参加したアートディレクターの葛西氏は、数々の著名なアートディレクションから装丁まで活動は多岐にわたる。グラフィックトライルの作品テーマ「興奮」では、数十年前に旅先の中国で撮影した35㎜のネガフィルムの画像を、B1サイズ5連に引き伸ばして制作することに挑戦した。35㎜のネガフィルムは、そのまま引き伸ばしたのでは粗い画像となって不鮮明になる。それを逆手に、高解像度を必要としない粗線にすることで、より豊かな写真表現の強さにつながる方法を探った。フィルム写真と印刷の関係を熟知しているからこその挑戦となっている。

黒の表現にこだわったチャン氏の作品

黒の表現にこだわったチャン氏の作品

 

今回、海外から参加したのは、シンガポールのアートディレクター、テセウス・チャン氏。チャン氏は、ブックデザインへの破壊的挑戦として知られている『WERK』を発行するほか、世界でも活躍している。テーマを「Colour Noise」とし、不織布のタイベックでどこまで鮮やかに印刷できるかに挑戦した。インキの種類と刷り方を検証したほか、色を相対的に際立たせる黒の重ね刷り表現も検証。さらに効果を強めるために、白の下地も試し、スミだけでなくCMYの2度刷にも挑戦。Noiseらしいワークとインキの発色と深さがインパクトとなっている作品が並ぶ。

ブラックライトをあてると白地に蛍光の文字が浮き上がる

ブラックライトをあてると白地に蛍光の文字が浮き上がる

蛍光色の表現に挑戦した髙田氏

蛍光色の表現に挑戦した髙田氏

 

そのままでは見ることができない不思議な作品を制作した髙田唯氏は、活版印刷工房(株式会社Allright)を営むかたわら各種デザインワークなども行っている。今回、「見えない印刷」をテーマに、蛍光色の鮮やかな青を表現したいとの思いから、蛍光マーカーやモニター上の鮮やかなブルーを印刷用紙の上で表現することに挑戦した。作品自体も、ブラックライトを当てることで完成するという面白い趣向になっている。そのため、通常のままだと白紙の部分に、ブラックライトを当てると、鮮やかな蛍光色で書かれた詩(ウチダゴウ作)が浮かび上がる。

ムラやカスレといった印刷タブーをアートにした山本氏

ムラやカスレといった印刷タブーをアートにした山本氏

 

凸版印刷から参加したのが、アートディレクターの山本暁氏。作品テーマが「オフセット印刷の不良」で、印刷会社の立場らしい視点で、普段なら損紙となって廃棄されてしまう印刷トラブルをアートにするという試み。水の加減で起こるムラやカスレの原因となる“水浸し印刷”、両面印刷時に裏側が透けてしまう“裏抜け印刷”、紙の伸縮でおきる版ズレによる“ネガポジ印刷”、凹凸をつけた状態での印刷“デボス印刷”の4つの不良印刷から新しいアート作品を生み出した。

レセプションで挨拶する樺山館長

レセプションで挨拶する樺山館長

 

内覧会の後には、レセプションも開催された。レセプションで、冒頭、樺山館長が挨拶にたち、参加したクリエイターの努力を讃えるとともに「色々な感想をもっていいと思う。この会場で、色々な示唆か得れたらと思う」と、期待を語った。

続いて、後援団体でもある日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)を代表して浅葉克己氏が挨拶に登壇。クリエイター4名の作品をパネルにして、サンドイッチマンのイメージで紹介するなど、会場を盛り上げた。

 

 

 

4名の作品をパネルにして紹介した浅葉氏

4名の作品をパネルにして紹介した浅葉氏

<グファフィックトライアル2019 -Exciting- >

会期:4月13日(土)~7月15日(月・祝)

10:00~18:00

休館日:毎週月曜日(4月29日、5月6日、7月15日は開館)、4月30日、5月7日

入場料:無料(印刷博物館本館展示場への入場は入場料が必要)

会場:印刷博物館 P&Pギャラリー(東京都文京区水道1-3-3トッパン小石川ビル)