シタラフェア2023開催へ『Borderless;~ボーダレス』5月12、13日ビエント高崎ビッグキューブ ~ インタビュー 設楽誠一社長、設楽剛史専務

 印刷機材商社の設楽印刷機材㈱(設楽誠一社長)は、5月12日、13日の両日、群馬県高崎市のビエント高崎ビッグキューブで「シタラフェア2023」を開催する。今回のシタラフェアは『Borderless;ボーダレス』をテーマに印刷業界が従来の垣根を越えて幅広いフィールドで躍進するための最新情報が120社の出展で最新情報を提供する。設楽誠一代表取締役社長と実行委員長の設楽剛史専務取締役からシタラフェア2023が目指す方向を伺った。

『Borderless;ボーダレス』の背景~境界を越えて

 コロナ禍が落ち着きを取り戻しましたが、あらためて人々の交流の大切さを感じます。そして様々な領域でビジネススタイルの転換が始まっています。また世界に眼を向ければ、景気の動向、世界情勢の不安、不幸な事変が今も続いております。このような状況の中で多くを俯瞰的に洞察することが重要であると考えます。
 今年の「シタラフェア2023」はテーマを「Borderless;《境界を越えて》」としました。「Borderless;ボーダレス」は、国境がない、自由化されたという意味でしたが、昨今はより広く「社会的な境界」が消散したという意味でも用いられるようになっています。また「ボーダレス」は、誰もが活躍できる社会の実現を進める「SDGs」とも関わりがあるとも言えます。
 経済活動や環境意識は業界の垣根を越えて取り組まれ、異業種が統合するなど広くボーダレス化が進んでいます。印刷業界においても多くの企業が固定概念から境界を越えて多様な事業を展開されています。その背景が印刷業界が晒されている大きな環境変化です。円安、諸資材の高騰が続く中で培った技術やノウハウを活かして新たな分野のビジネスに取り組み、資材の値上げなどの環境変化に対応するためには今までにないチャレンジが迫られます。
 例えて言えば印刷業がモノづくりだけにとどまらず、サービス業、流通業など二頭も、三頭も追っていく経営の在り方が求められてきました。それほど時代の変化が速くなっています。モノづくりだけでなくサービスや流通のお手伝いが出来る環境が整ってきました。それらを可能にするのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。
 DXは世の中の仕組みを変えていきます。しかし、印刷会社は既にDXの受け入れの体制が整っているのです。お客様がDXを実装してどのように変わっていくのかに目を向けなければなりません。顧客と印刷会社のDXデータとの連携がこれから始まります。その時に印刷会社の役割が変わっていくのではないでしょうか。

シタラフェアを取り巻く
環境の変化

 シタラフェアを取り巻く環境が大きく変わろうとしています。群馬県がデジタル県にしようという動きがあります。2022年10月にNTTの本社機能が高崎市と京都市に移転したことがその一つです。交通の便が良く、群馬県が自然災害に強い県であることが移転理由です。群馬県では震度4以上の地震が起こったことはほとんどありません。
 もうひとつはデジタル庁と総務省、経済産業省の「G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合」が4月28日にデジタル・トランスフォーメーションサミット(DXサミット)を開催しました。これに合わせてデジタル技術を体感できる展示会「デジタル技術展」が4月28日から4月30日までの3日間、高崎市のGメッセ群馬で開催され、設楽印刷機材も出展しました。
 群馬県と高崎市はIT、AIの拠点づくりを進めています。旧陸軍が戦時中に使用した群馬県高崎市の堤ケ岡飛行場の跡地にAIやIT関連の企業を誘致しデジタル技術を活用したまちづくりを行うことを発表しました。高崎市と前橋市棟高町などにまたがる旧陸軍飛行場跡地の93haの土地を活用して「AIやIT関連といった先端情報技術を有する企業や教育・研究機関が集まる地域」「デジタル技術を活用した地域」「再生エネルギーを活用した持続可能な地域」の3つのコンセプトを掲げています。
 群馬県の山本一太知事は、群馬県をシリコンバレーを超えるデジタル県に変えていこうとしています。新しい価値を世界に向けて発信していくために高崎市の取り組みを今後全力でサポートしていきたいと表明されております。交通のアクセスが良く、災害ハザードの指定がない点を挙げています。高崎市は来年度に共同戦略会議を設置した上で基本構想を策定し、5年後に造成工事を開始できるよう関係機関との調整を進め、豊岡地区にはJRの「豊岡新駅」も設置されます。
 印刷業界をとりまく環境はさらにデジタル化・DX化が進み、印刷会社の役割が高まります。その全ての変化を受け止めなければいけません。生き残る条件が印刷業のデジタル化、DX化です。
 そして目を向けなければいけないのが、社会全体のデジタル化です。あらゆる産業のDX化に印刷会社が手を差しのべて、お手伝いをする、紙以外のビジネスに進出するきっかけをクライアントと作っていくことを「ボーダーレス」というテーマに込めています。
 印刷会社のお客様がデジタル化でどう変化していくか。情報伝達手段として商業印刷において印刷は主役を務めてきた。パッケージや軟包装類は人間が生きていくための印刷物です。宣伝広告は再認識されます。
 コロナ後はさらに変わってきます。今までの環境変化と違ってきます。違ったからどう変えていくのか、という前向きの方向を示しシタラフェア2023はそのヒントを提供いたします。

シタラフェア2023パンフレット表紙
設楽印刷機材株式会社
代表取締役社長
設楽誠一氏

シタラフェア2023設楽剛史実行委員長に聞く
ソリューションゾーン(島)で構成

 紙の印刷から、いかに変革していくのかが重要になってきました。印刷から新しい枝葉を創り、いかに新しいサービスを開拓していくのか。今までと違う新しい事業を創っていく、転換していくという狙いをボーダーレスというテーマに込めました。
 チャレンジするという想い、チャレンジしたい、チャレンジしていくことをシタラフェア2023で体感して頂くために会場はスマートファクトリーゾーンやインクジェットゾーン、高付加価値加工ゾーンなどで構成します。
 会場内には特別コーナーとセミナーを用意しました。初日のメインセミナーでは全国青年印刷人協議会議長の岩村貴成氏を講師に迎え、若い印刷経営者が印刷業をどのように変えようとしているのかを語っていただき、これからの業界を担っていく青年経営者の考え方を知ることが出来ます。
 二日目はアフターコロナで加速するロボットビジネスの最前線をNPO法人ロボットビジネス支援機構創設者・特別顧問の北河博康氏を招き、ロボットを活用した様々なケーススタディを語っていただきます。
 印刷工場では諸資材の高騰が続いています。省人化や省力化を進めるロボットを使った他業界における省人化の成功事例も紹介します。またオープンセミナーとしてサイバー攻撃の脅威に対応するセキュリティの取り組み、デザインコミュニケーションの在り方、なぜ京セラは水性顔料インクに取り組むのか、デジタルを活用した偽造防止の取り組み、キャッシュレス導入による新規事業展開など6つのテーマを用意しています。
 印刷会社のクライアントは多岐にわたっています。ロボットに取り組まれようとしているお客様に、こうしたロボットを商品に加えていけばお客様との新しいビジネス提案がスムースに進めることが出来ます。社会の仕組みはボーダーレスに変わろうとしています。印刷会社がお客様と力を合わせて変えていくヒントをシタラフェアで見つけて頂きます。
 今回のシタラフェアでは、スマートファクトリーやインクジェット、ロボットなどを各カテゴリー別にゾーン(島)で構成します。複数の会社が連携してソリューションを構成した「スマートファクトリーゾーン」や「インクジェットゾーン」、「ロボットゾーン」を展示します。また成果物の展示も強化しています。QRコードから加工機に繋いでシール・ラベルの内製化を体感していただきます。北は北海道から南は沖縄まで全国のお客様に出展社120社の皆様と「いこいの広場」や「商談コーナー」を通して印刷業界を躍進させ、盛り上げて参ります。

実行委員長の専務取締役
設楽剛史氏
設楽誠一氏と設楽剛史氏
去年の会場の様子

関連記事

最新記事