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価格転嫁問題 価格転嫁できていない企業は約7割、公取委が ”小事業者等取引公正化推進アクションプラン” 策定

 現在、様々な社会的要因により、原油価格の高騰、エネルギーコストや原材料価格の上昇が懸念されている。東京商工リサーチの調査によると、原油高や原材料価格の上昇、円安進行などのコストアップが企業経営を直撃するなかで、「価格転嫁できていない」企業は約7割(構成比68.6%)に上ると報告している。同調査は、4月1日~11日にかけて実施した価格転嫁に関するアンケート調査によるもの。

 東京商工リサーチのアンケート調査によると、「転嫁できていない」が68.6%で最多となった一方、全額転嫁できた企業は4.2%おり、価格転嫁は企業間で大きなバラつきがある結果となった。規模別では、「転嫁できていない」は大企業が73.0%、中小企業は68.1%。
 「価格転嫁できていない」と回答した企業を業種別でみると、トップは受託開発ソフトウェアや情報提供サービスが含まれる「情報サービス業」で90.7%。次いで、旅行やブライダルなどの「その他の生活関連サービス業」90.4%である。上位にはサービス業が目立ち、無形サービスや役務を提供する業種では、価格転嫁が難しいことを示している。

 一方、内閣官房(新しい資本主義実現本部事務局)、消費者庁、厚生労働省、経済産業省、国土交通省及び公正取引委員会において、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」が、2021年12月が取りまとめられている。取引事業者全体のパートナーシップにより、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できることが重要であるとしてまとめたもの。
 具体的には、① 政府横断的な転嫁対策の枠組みの創設(内閣官房)、② 価格転嫁円滑化に向けた法執行の強化(価格転嫁円滑化スキームの創設、独占禁止法の適用の明確化、下請代金法上の「買いたたき」に対する対応、下請取引の監督強化のための情報システムの構築など)、③ 労働基準監督機関における対応、④ 公共調達における労務費等の上昇への対応、⑤ 公共工事品質確保法等に基づく対応の強化、⑥ 景品表示法上の対応、⑦ 大企業とスタートアップとの取引に関する調査の実施と厳正な対処、⑧ パートナーシップ構築宣言の拡大・実効性強化(宣言企業の取組の見える化、宣言企業の申請に対する補助金における加点、コーポレートガバナンスに関するガイドラインへの位置付け)、⑨ 関係機関の体制強化、⑩ 今後の検討課題、が挙げられている。
 この取り組みは、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省、都道府県労働局・労働基準監督署、デジタル庁、経済産業省、国土交通省、消費者庁、公正取引委員会、その他関連する事業所管省庁が、横断的に関わることが示されている。

 なお、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」が取りまとめられたことを踏まえ、公正取引委員会では、新たに「令和4年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」が策定した。取引の公正化の更なる推進を図っていくもので、公正取引委員会では、今後も関係省庁と緊密に連携を図り、中小事業者等から寄せられる情報も活用し、体制強化を行いつつ執行強化の取組を進め、独占禁止法・下請法違反行為に対して厳正に対処していくとしている。


公正取引委員会:「令和4年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」と「令和4年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」の策定について
https://www.jftc.go.jp/partnership_package/index.html

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