トキワ印刷 須賀川に新本社を竣工、日進堂印刷グループのパッケージ製造を一貫生産する新たな拠点としてもスタート

日進堂グループのトキワ印刷株式会社(福島県)は、12月15日、福島県須賀川市茶畑町に移転・建設した新社屋に設備の移設をほぼ完了たことにともなう竣工式を、関係者らを招いて行った。
新社屋は、須賀川ICから車で約1分の場所にあり、取引先ともスムーズなやり取りが可能となった。新社屋は従来からのはがき事業、エコ事業に加え、新たにパッケージ分野への対応を充実させた設備となっている。

スマートファクトリーとしての新工場稼働へ
15日に行われた竣工式は、修祓の儀にはじまり降神の儀や祝詞奏上など一連の儀式を執り行い、閉式後、ご神酒を拝戴後、佐久間信幸社長が主催者挨拶にたった。佐久間社長は、これまでのトキワ印刷の足跡を振り返り様々な多くの人の支援と協力により、「この良き日を迎えられたと感じている」と挨拶。また「従来からのはがき製造ライン、箱・緩衝材の工場であるが、はがき市場が縮小してきていることから新しいことが必要だとパッケージラインを設備しました」と新たな市場への挑戦をスタートさせたことを報告。その主力設備となるのが、KOMORI製46全判の6色機であること、「加工のエリアは将来を見据えてクリーンルーム化します。そのため、本日は普段の工場の稼働とは異なる状態での工場見学となりますが、デモンストレーション用の機械を動かすなどして、工場全体を見学して頂きたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いします」と新工場を紹介した。

その後、来賓祝辞として須賀川市の経済環境部商工課の篠田課長が市長からのお祝いの言葉を代読。また小森コーポレーション株式会社の持田訓社長も祝辞を述べ、新しい技術を導入し、新しい分野に挑戦していること、スマートファクトリー工場としての稼働をスタートさせたこと、将来を見据えた成長戦略に取り組んでいることなどに期待を寄せた。

トキワ印刷の新本社・工場が竣工した
トキワ印刷の佐久間社長
来賓祝辞を述べた小森コーポレーションの持田社長

スマートファクトリー化を意識して誕生したトキワ印刷新本社工場
竣工式の後には、出席者による工場見学会が行われた。校正作業や刷版などを行うプリプレス課、パッケージ印刷の主力機となる四六全判UV6色印刷機や高速バリアブル印字システムなど最新鋭の設備が並ぶ印刷室、工場から出た排紙などをリサイクルして梱包材に生まれ変わらせるエコ事業部のエリア、パッケージなどの仕上げ室、封入封緘のシステムなども設置している後加工のエリア、企画・営業部門の入っているオフィス空間なども披露された。

ナンバリング印刷も行う
四六全判UV6色機などが設置されている印刷室
ナンバリングなどの可変印刷機の見本(右が可変印刷後)
従来からのはがき事業もバリアブル対応
工場から出る排紙を使ったエコ商材づくりも行っている

トキワ印刷は、もともとハガキ印刷加工を主体とした印刷事業で知られる企業で、創業100年以上の歴史を持つ。今回の新工場竣工にあたって、KOMORI製四六全判オフセット枚葉印刷機リスロンG-44 advance(GL-644A)の導入により、厚物の一貫生産を可能とする東北では数少ない四六全判印刷対応工場となった。
工場設備としては、四六全判UV6色コーター機、四六全判UV5色機、四六全判UV2色機、高速バリアブル印字システム、自動封入封緘システム、印刷付帯設備一式、紙粉砕・発砲・加工設備一式など。特にKOMORI製四六全判印刷対応の後加工機ハイパフォーマンスブランキングシステム「アプリシア」や、印刷製造プロセスをつなぐ「KP-コネクトプロ」も採用し、印刷の工程管理の見える化などにも取り組む最新鋭の工場となっている。
この設備力を活かして、新たな分野としてパッケージ印刷にも注力していく予定で、衛生管理が行えるクリーンルーム対応の設備も用意。印刷・加工・仕上げ・倉庫棟までワンストップでパッケージ印刷市場に対応できる工場となる。

注目のエコ事業も一貫生産で設備
また、SDGsや脱プラへの対応で注目されているエコ事業の分野では、郵便はがき等の製造工程で排出された上質紙を発砲緩衝材の材料として採用したリサイクル製品「ワンダーエコ」を生産。人にも無害で焼却してもダイオキシンなどの有害物質を出さない緩衝材として採用が進んでいる。
このエコ事業のエリアには粉砕室や製品製造室などがあり、トキワ印刷本社工場内で製品化まで一貫して行われている。現在は、「ワンダーエコ」のほかに、板状に加工した「ワンダーボード」、緩衝材の「ワンダークッション」の3つが製品化されている。

パッケージの製造ライン
パッケージの見本

またオフィスエリア、印刷室、仕上げ室など製造に関連する部屋には「KPコネクトプロ」の画面が設置されており、どこからでも生産の“今”が見れるようになっている。
「KPコネクトプロ」は、MISと生産現場の間に位置して複雑な工程管理を”見える化”し、誰もがリアルタイムに最新の作業情報を共有できる印刷工程管理ソフトウエア。トキワ印刷では、KPコネクトプロにより、工場内の加工機まで含めた製造全体の見える化を進め、進捗管理・生産管理を徹底。作業実績データも集約できるよういなるため、今後は生産性向上のツールとしても活用できることを期待していると紹介した。

*日進堂グループは、日進堂印刷所、トキワ印刷、進和クリエイティブセンター、エス・シー・シーの4社からなり、企画をはじめ編集・デザイン、出版、ウェブ事業など事業は多岐にわたり、グループ社員総勢345名(2021年12月現在)規模となる。

トキワ印刷株式会社
須賀川本社工場:福島県須賀川市茶畑町25-6
https://www.nisshindo.jp/tokiwa.html

オフィスに設定されているKPコネクトプロの画面で生産の見える化を実現。

関連記事

最新記事