リコー 衣類に印刷できる小型プリンター「RICOH Ri 100」発表会

リコーは、11月16日、東京都港区南青山のラ・コレッツィオーネで、衣類に直接印刷できる小型DTGプリンター「RICOH Ri 100」の発売についての記者会見を行った。DTGとは、“Direct To Garment”の略称で、新発売の「RICOH Ri 100」は、Tシャツなどの服飾品生地(Garment:ガーメント)に直接印刷するDTGプリンターの戦略商品。

「RICOH Ri 100」は、リコーが40年以上にわたり取り組んできたインクジェット技術とオフィスプリンターの製品開発で培ってきた小型化技術や操作性を融合させて開発。新製品発表会では、小型で、簡単・安全に美しく、定価価格で新しい文化を創るDTGプリンターとして紹介された。

新製品と、現在、リコーが取り組んでいる成長戦略についても語った山下社長
新製品と、現在、リコーが取り組んでいる成長戦略についても語った山下社長

発表会の冒頭、リコー社長執行役員CEOの山下良則氏が、「RICOH Ri 100」でプリントしたTシャツを着て登場し「自分だけの1点ものを創る喜びを紹介したい」と、新製品発売の背景と、再起動の年と位置付けて取り組んでいる成長戦略についても語った。

リコーは、これまで、オフィスプリントの販売を軸にして成長し、その顧客基盤は世界で400万台を超える。山下社長は、「400万台という顧客基盤のもと、オフィスで働く方に寄り添うリコーとして存在したい。RICOH Ri 100の発売で伝えたいのは、知識創造や生産性向上に加え、仕事に喜びをもたらすワクワク感を実現する環境構築にお役に立てないかと考えています。ベースになっているのがプリンティング事業で、オフィス以外にも広げ、工場や販売の現場にも技術をもたらしたい。加えて、リコーには、カメラ事業で培ってきた光学デバイスを活かして、視覚分野の役割も強化したい。そして、AIなど最新の技術を活用しながら、働く人がもっとスマートに働ける。そこに寄り添えるリコーを目指していきたいということなのです」。

また、デジタル技術を応用してデジタル化させる印刷プロセスを普及させ、製造プロセスを変えていくことを目指していると解説。「例えば、旅先で見かけた素敵な床板やカーテンの柄も、大量でなくても、デジタル印刷で簡単に再現するということが可能になります。それも、あなただけのものが、店頭で目の前で作られるというワクワク感を提供することに価値があると思います。対象として、建材や衣料品、絵画に加え、3Dプリンターを使った立体物の造形などもあります。金型からが必要だったものも、1つから製造可能になる、まさに製造プロセスが変わります。今後の技術として、インクジェット技術を応用して細胞を飛ばしていくなど細胞積層の研究も始めています。プロセスそのものを変えて、お客様の先のお客様の笑顔を創っていくことに対して、期待をしています」と展望した。

リコーでは『EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES』を掲げており、「働くをよりスマートにするための方法、環境の提供に取り組みたい。オフィスと現場の境目がなくなってきていると感じます。新しい価値を見つけて、提供していく。リコーの再起動に向けて確信しています」と山下社長は語った。

新しいブリント文化をつくるRICOH Ri100について解説する森田本部長
新しいブリント文化をつくるRICOH Ri100について解説する森田本部長

続いて、CIP開発本部の森田哲也本部長が「新たなプリント文化を創る」をテーマに、新製品の特長を解説した。

リコーは、インクジェットヘッド開発ができる世界10社のうちの1社であるという強みを生かし、産業印刷事業を強化してきた。特に新製品は、衣料用プリントで必要な乾燥ユニットとプリント部を上下にあわせた世界初の設計で小型化を実現。乾燥ユニットも、外部には熱が伝わらない安全設計により安心して店頭でも利用できるなどの特長がある。「作ったものを身にまとう喜び、そこから会話が始まり、つながる喜びを世界中で感じてもらいたい。デジタル全盛時代において、リアルに触って差し上げることを実現できる」と、オフィスから外へとプリンターの新たな役割について強調した。

RICOH Ri 100で出来ることについて紹介した武田本部長
RICOH Ri 100で出来ることについて紹介した武田本部長

次いで新規事業本部の武田健一本部長が、「RICOH Ri 100ビジネス展開について」をテーマに、RICOH Ri 100販売を通じて実現したいことを解説した。

リコーが掲げているビジネスコンセプト『Customoer’s Cusomer Success お客様のお客様にまで届く価値を創出する』というミッションのもと、今回の新製品が開発されており、テーマパーク、学校や幼稚園、アパレル、フォト・プリントや文具などの分野で利用することで、新たなものづくりの可能性について提案した。リコーでは、新製品発売に合わせて、デザインコンテンツ、ガーメント(生地など)も併せて提供し、今後はデザインコンテンツなども拡充していく。武田氏は「システムだけでなく、布地なども提供するので、明日からもですぐにワンストップのサービスを提供できるようになります」と語った。

新製品発表会では、実際の店舗でのやり取りを想定したデモンストレーションも行った
新製品発表会では、実際の店舗でのやり取りを想定したデモンストレーションも行った

「RICOH Ri 100」は、A4プリンターサイズの省スペース設置を実現しており、従来の業務用DTG設置面積の約4分の1。印刷と乾燥を同時に平行処理できる。操作は簡単で、マニュアルなしで、一般の人でもすぐに安心して使える。

安心安全に操作できる設計も大きな特長で、水性顔料インクを使用するので下地処理剤が不要で、乾燥は仕上げ機に挿入するスタイルのため専用プラス機が不要なので、特別なスキルなどもいらない。

制限性もリコー製MH2460インクジェットヘッドによる高解像度1200dpiを実現し、同社独自の高画像処理M-Dot Technologyで、ムラやざらつきのないハーフトーンを再現する。プリンターの価格も、従来の業務用DTGプリンターと比較しても低価格化が図られており(標準価格29万8,000円 税別)、小型店舗や個人事業主にも導入しやすい。

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