【ビジネス】正文舎・リコージャパン『正文舎×リコージャパン』で“デジタル特色”20色を収録したチップセットを開発

【ビジネス】正文舎・リコージャパン<br>『正文舎×リコージャパン』で“デジタル特色”<br>20色を収録したチップセットを開発
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page2020のリコージャパンブースにも出展

株式会社正文舎(北海道札幌市/岸昌洋社長)とリコージャパン株式会社は、カラープロダクションプリンター『RICOH Pro C7200Sシリーズ』向けの“デジタル特色”チップセット『SPECIAL COLOR GUIDE』(仮称)を開発し、page 2020の会場に参考出品した。オフセット印刷の特練り作業を軽減するほか、特色の小ロットへの対応力を高める。今回、27色が開発され、チップセットには20色が収録されている。

特練り作業が現場の負担に

技術伝承の課題も

オフセット印刷による特色印刷は大量に使用する場合、インキメーカーが調色したインキを使用するが、小ロットや短納期の案件では印刷会社がプロセスインキ、もしくは特色同士を調合しながら特色インキを練り上げるケースが多い。特練り作業は印刷オペレータが担うことが多く、その間、印刷機が停止。特練り作業に数時間を要する場合もあるため、生産効率が非常に低い。次の印刷ジョブに移る際にはインキローラーの洗浄作業とインキのセット替えが発生する。

オペレータは印刷中の不足やリピート受注の際に備え、特色インキを多めに練る傾向にある。余った特色インキを保管することになるが、時間の経過とともに表面のインキが固まって被膜が発生。リピート時には被膜を取り除いて使うことになる。さらに時間が経つと過乳化などで使用不能になり、破棄しなければなくなる。しかも特色のインキ缶ばかりが増えると保管スペースや管理の手間などがかかり、現場には目に見えにくいコストが積み上がる。

特色インキを練るには熟練した技術も必要になる。オペレータは紙質や温湿度による色の変動、ドライダウン時の色の沈みなどを計算しながら最適な色を判断する。印刷の現場ではその熟練工が定年を迎えて減少局面にある。その一方で若年社員の定着が難しく、技術継承がなかなか進まない。

正文舎では特色を印刷している菊半裁2色オフセット印刷機が老朽化。故障が目立つようになっているものの、将来的な熟練工の喪失リスクを見通すと、設備の再投資には踏み出しにくい。「それでも特色の案件は実際に入ってくる」(同社製版課・浦田久永課長)ため、生産体制の見直しが大きな課題となっていた。

そうした中、2019年11月、リコーは新オプション『カラーコントローラー E-46A』を発売。『RICOH Pro C7200Sシリーズ』で出力するスペシャルカラーの濃度補正機能を追加したことで、“デジタル特色”の可能性が見えてきた。

スペシャルカラーを加え

プロセスで出せない色を出力

『RICOH Pro C7100S/C7200Sシリーズ』は、現在、CMYK+5色目のスペシャルカラーとして、『ネオンピンク』、『ネオンイエロー』、『ホワイト』、『クリア』、『インビジブルレッド』を搭載することができる。正文舎では、このうち『ネオンピンク』、『ネオンイエロー』に着目。CMYのいずれか1色、もしくは2色に、スペシャルカラー1色を加えることで、CMYKのプロセス色で再現ができない色の出力に成功した。

『RICOH Pro C7200Sシリーズ』では以前からCMYにスペシャルカラー1色を加えての特色を再現できた。今回、新オプション『カラーコントローラー E-46A』がリリースされたことで、『RICOH Pro C7200Sシリーズ』のスペシャルカラーのベタ濃度の管理が可能となり、安定した特色出力を実現。生産現場で使用する上での現実性が担保された。

“デジタル特色”に関わった浦田課長は、「特色を作るのに手間がかかり、印刷課のオペレータがどうしようと悩んでいるのをそばで見ていました。先日も月刊の定期物で彩度の高い黄色い表紙のオーダーが入りました。部数は300部程度なのですが、この色を1年間出せるのかという技術的に難しい課題に直面しました。デジタル印刷ですぐに特色ができればオペレータの負担が軽減され、特色インキを何百缶も保管する必要や、使い切れなかったインキの破棄が減り、コスト的にもメリットがあるのではと考えました」と述べている。

正文舎では、各種賞状、封筒、ハガキ、定期物の表紙などで特色の要求が多い。実際に“デジタル特色”彩度の高い黄色の特色を出力したところ、「かなり良い色が出たので、お客様に見せたところ、これでいいよと言ってもらえました」と手応えを得た。今後、浦田課長は小ロットの特色案件を中心に、オフセット印刷からデジタル印刷への移行を提案していきたいと展望している。

働き方改革、

環境対策も見据える

“スペシャルカラー”の出力には、リコーの無償プラグインソフト『RICOH Spot Coating Editor for Acrobat®』を利用することで、より簡単に実現できる。半自動で領域を判別してスペシャルカラー・オブジェクトの形状を手動で指定するフリー形状指定機能で、PDF上で簡単に特色を指定することが可能。

リコージャパンと共同で開発したチップセット『SPECIAL COLOR GUIDE』は“デジタル特色”の見本として、RICOH Proユーザーがクリエイターやクライアントに特色利用を促すことを想定。グロスコート紙(オーロラコート 四六判/135㎏)、上質紙(OKプリンス上質 四六判/135㎏)、マットコート紙(ユーライト 四六判/135㎏)で印刷されており、浅黄やあずき色など日本の伝統色を含めた20色が収録されている。特色を利用してきた正文舎の技術により、色を合わせ込んだという。初回版はリコージャパンが無償配布。その後は販売も検討していく予定。

浦田課長は「お客様にはネオンピンク、ネオンイエローの単色での利用を勧めてきましたが、掛け合わせることでこうした色に発展するとは想像できませんでした。朱赤やオレンジなどの発色がすごく良いので、お客様にアピールしていきたいと思います。オフセット印刷と異なり、特色を利用したサンプルづくりも簡単にできます」と期待を寄せる。また、技術伝承の課題解消や、オフセット印刷現場の働き方改革、廃インキ減少による環境対策への広がりも見据えている。

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