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共栄メディア、JetPress720でオフセット時代の課題を解決

2015.8.31

共栄メディアの錦山社長(左)と市川生産部長

共栄メディアの錦山社長(左)と市川生産部長

 株式会社共栄メディア(本社・東京都新宿区山吹町306番地、錦山慎太郎社長)では、2012年9月、デジタル時代からの校正用システムとして、インクジェット枚葉印刷機「JetPress720」を導入した。その背景には、DDCPの部品供給がやがて終了するなど従来型の校正環境の維持が難しくなってきていること、平台校正のオペレーターの育成が難しくなっていること、高品質・低価格・短納期対応への要求が強くなっていること、という大きな3つの課題に対応する選択肢であったという。

 さらに2014年9月、その後継機である「JetPress720S」を導入し、旧型機に替わるシステムとして本格稼働している。同社の錦山慎太郎社長と、生産管理を統括している執行役員メディアセンター生産部部長の市川英人氏に話を伺った。

 

 共栄メディアは、プロセス製版の会社として創業した企業。校正業務で事業を拡大、近年ではデジタルグラフィック、デジタルサイネージ、オリジナルTシャツ制作などにも取組んでいるが、企画・制作から印刷までの印刷業務をメインとしている。

共栄メディアで活躍しているJetPress720S

共栄メディアで活躍しているJetPress720S

 JetPressを初めて見たのは、2008年のdrupa会場だったが、2011年のIGAS会場における実演を見て、“可能性を感じた”というのが導入のきっかけになっている。平台校正機の生産は終了し、デジタルコンセンサスの資材供給もストップするという変化が、校正の現場には訪れている。JetPressに対しては、これからの校正業務を支えるものとしての可能性や、専門のオペレーターが必要で色の安定性を図るのが難しいといった平台校正機の難点をクリアできるシステムではないか、という期待があったという。
 JetPress720の解像度は1,200dpi。用紙の厚さは0.09~0.34㎜まで対応となっているが、同社の場合、0.07㎜の薄さまで印刷することがある。出力スピードについては、1時間あたり2,700枚を実現。インクジェット方式のため大量部数には生産性の面で限界があるが、10枚以下が大半の校正出力には最適なシステムだという。

 加えて、新たに導入したJetPress720Sは、インクジェットヘッドの部分が改良され、モジュールタイプとなっていることから、交換を要するインクヘッドのトラブルが発生しても、オペレーターがヘッドを交換できるので、「1時間もあれば復帰できると思います」と市川氏。

 導入を決めたポイントは、印刷本紙が使用でき、インクのにじみが少なく、色の安定性が高いこと、イージーオペレーションで稼働し、ワイドな色域と高い生産性などのポイントを挙げている。色の管理においては、毎日1回はキャリブレーションを行うことで徹底させているほか、JapanColor認証の標準印刷認証とプルーフ運用認証を取得しているなど、色管理については厳しく取り組んでいる。また顧客先との色のマッチングを高めるために、各社毎にカラープロファイルを作成して色を合わせているという。

 平台校正の最盛期に、平台校正機は20台あったという共栄メディアだが、色を安定させることは大きな課題だったと振り返る。天候や作業環境、あるいは担当者によって色の再現性が異なってしまう。こうした不安定要素を抱えていたため、例え正しく出力していても、顧客先で「この色は違う」と言われてしまえばそれまでだった。

 しかし、JetPressに切り替えてからは、色の品質が安定したため、担当営業も自身をもって顧客先に見せることができるようになったと錦山社長。 実際、同社では60日間にわたる再現性のテストを行っており、その際の出力濃度の差異はΔE1以下だった。この結果については、「予想していた安定値として想定内だった」としながらも、「こうした安定性こそ、デジタル機に求めていたものでした」と市川氏は語っている。

【月刊プリテックステージ2015年4月号から】