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TPE LED-UV乾燥装置Dry-Gシリーズ導入事例

2016.12.5

東京印刷機材トレーディングのLED-UV乾燥装置Dry-Gシリーズの導入が進んでいる。印刷作業工程において、短納期に対応する手段として、LED-UV乾燥装置が欠かせないシステムとなりつつある。同社のDry-Gシリーズは低コストで既存の印刷機にLED-UV乾燥装置を搭載できることから、好評を博している。導入ユーザー企業2社の取り組みを紹介する。
富士美術
全設備水なしLED-UV化
両面8色機にTPEのDryシリーズ導入

小栁富士夫社長

小栁富士夫社長

富士美術(大阪市東成区深江北、小栁富士夫社長)はこのほど、アキヤマインターナショナル製8色両面専用機(ダブルデッカータイプ)に東京印刷機材トレーディング(以下、TPE)のライン型LED-UV装置「Dry-Gシリーズ」を導入した。既設の菊全判4色印刷機のLED-UV化に続き、8月から東レ水なし印刷に移行し「全設備水なし印刷LED-UV」を関西で初めて実現した。小栁社長は「今までに無い高次元の顧客満足・高品質・短納期を実現する」とオフセットのイノベーション(革新)を追求する同社の姿勢を述べている。
富士美術は昭和55年創業、従業員24名、企画デザインから製版、印刷、加工、出荷までの一貫生産体制を持つ総合印刷会社。また「ストーン印刷」によるパッケージ、3D印刷、抗菌印刷を提供し仲間仕事を中心に社業を発展させてきた。今回の新設備について小栁社長は「オフセット印刷の様々な課題を解決するために全設備の水なしLED-UV化を選択した。導入後、すぐに成果が表れた」と新設備導入の狙いを述べる。

アキヤマインターナショナル製8色両面専用機(ダブルデッカータイプ)にTPEのライン型LED-UV装置「Dry-Gシリーズ」を搭載

アキヤマインターナショナル製8色両面専用機(ダブルデッカータイプ)にTPEのライン型LED-UV装置「Dry-Gシリーズ」を搭載

「2台目のLED-UV装置の導入により水なし印刷への全面移行が完成した。両面8色機のLED-UV化は生産能力を飛躍的に向上させ、厚紙から薄紙まで幅広く高品質の製品を提供する体制が整った。水とび、乳化、乾燥不良による裏つき、汚れ、擦れ、パウダーによるボタ落ちなど品質に関するクレームをゼロにした。現在の市場状況はいっそうの高品質と短納期が進んでいる。加えて環境対応も求められている」と市場背景を述べる。
アキヤマ菊全判8色両面専用機に搭載されたTPEの「Dry-Gシリーズ」は照射部、操作部、冷却装置で構成されるライン型のLED-UV照射装置。100mの照射幅により乾燥能力が高く枚葉印刷機18,000回転/時、オフ輪48,000rpm/毎時のスピードに対応し、シール・ラベル印刷機のLED-UV乾燥システムで実績を上げている。
業界最高水準の積算光量を持ち、照射幅が20㎜ピッチ幅で制御が出来るため照射幅を調整でき、多様な絵柄に対応する。小栁社長は「1台目のLED-UV化の経験を生かして完璧な乾燥を追求した。TPEのLED-UV装置は低コストで紙幅に対応する。照射幅20㎜ピッチ幅で制御が可能で、ベタ物も乾燥幅を広くすることで完璧な乾燥が出来る。インキメーカーにも当社に合った仕様を提供してもらった」と述べる。
全設備の水なしLED-UV化の効果はすぐに表れ、乾燥不良によるトラブルは皆無になった。裏つき、汚れ、擦れ、乾きの悪いファンシーペーパーやホイル紙、ユポなどの合成紙でも思い通りの仕上がりになる。乾燥時間が不要となったことで次工程の待ち時間も無くなり納期短縮を可能とした。
小栁社長は全設備水なしLED-UV化で「パウダーのボタ落ち、胴残り、折加工や製本、PP加工もパウダーが無い。これまで培ってきた技術力が全設備水なしLED-UVへの移行をスムースにした」と述べる。「パウダーレス・トラブルレスのクリーン工場」は小栁社長のモノづくりと顧客満足を追求する経営方針を実現するものとなった。
水なし印刷LED-UV化は印刷オペレーターの人材育成においても貢献している。「オフセット印刷のオペレーターは10年経って一人前と言われている。水なしLED-UVにより私たちは新人を3年の教育で一人前のオペレーターとして登用できるようになった。現場の若返りと活性化、企業の安定した継続性を目指している」と人材教育面での効果を強調している。
水なしLED-UV印刷へ移行してから時間が経ってないにも関わらず、「見学させてほしいというお客様が増えている」という。業界に先駆けて菊全判LED-UV水なし印刷という新しい技法に注目していただいている。工場見学も歓迎している」と呼びかけている。
【富士美術】大阪市東成区深江北1―17―27、℡06-6977-7100

 

大東印刷工業

既存枚葉機にLED-UV搭載
生産の効率化で付加価値高める

佐竹一郎社長

佐竹一郎社長

大東印刷工業㈱(東京都墨田区向島、佐竹一郎社長)は今年2月、平成26年1月に施行された産業競争力強化法に係る支援措置を活用し、第二工場を竣工した。新工場竣工に合わせ、既設の小森コーポレーションの菊半裁寸延び5色機にTPEのLED-UVシステムを搭載。生産性のさらなる効率化を図った。
印刷物は創業時から頁物印刷を主に取り扱ってきたが、最近ではポスター、カタログ、パンフレットからPOP、什器など小ロットの販促物の比率が高まっている。そうした多様な印刷需要にも、菊全両面5色機、菊全5色機、菊全4色機、菊半両面4色機、菊半寸延5色機、四六全両面1/1色機、菊半1色機、A3判両面1/1色機と豊富なオフセット枚葉機を取り揃え、最適な印刷製造工程を構築することで質の高い印刷物を提供している。
受注内容は店頭POPなどの厚紙、小ロットの印刷物が増える傾向にある中、外注による横持ちコストが負担になっていた。また、小ロットの仕事は外注の受け入れ先も少なかったことから、第二工場に製本設備と大型の抜き加工機、箔押し・エンボスも可能な抜き加工機、断裁機、ホワイト・ニス加工にも対応するデジタル印刷機を新たに追加。小ロットの後加工を内製化した。

KOMORIの菊半裁寸延び5色機にTPEのLED-UVシステムを搭載

KOMORIの菊半裁寸延び5色機にTPEのLED-UVシステムを搭載

ポストプレスの充実に加えて、菊半裁5色機に後付でTPEのLED-UVシステムを採用したのは、小ロット・厚紙の印刷物を安定して効率よく、かつ高品質で生産する体制を構築することが目的だった。同社が手掛ける印刷物は、品質要求が厳しく、またインキの乾きにくい絵柄が多い。そのため、板取りが多く、パウダーによる表面加工への影響が課題となっていた。
そこで同社の佐竹一郎社長は「これまでもUV化は検討してきたが、コストが合わず見送っていた。今回、補助金などを組み合わせることで、イニシャルコストを抑えることが出来たことから、LED-UVの導入に踏み切った。資材に関しても若干の値上がりはあったものの、ドン天が可能であることや生産性の向上などトータルで見ると十分採算が合うことが分かった」と強調する。
TPEのLED-UVは積算光量が30万mJ/㎠。20㎜ごとに点灯、消灯を実現する。光の調整値を最小2.4%から最大100%の範囲で調整できる。

新工場

新たに竣工した第2工場

以前から見える化を徹底してきたこともLED-UVの導入効果を高めるのに一役買っている。実績数値に基づいた生産計画と社内の多能工化を推進する同社は、LED-UV導入により、板取りや乾燥までの作業タイムのロスを削減。印刷工程の生産性も高まったおかげで、オペレーターがほかの仕事に就ける時間も増えた。パウダーレスであるため、後加工時のトラブルも軽減し、安定した品質を確保し、ミス・ロスを軽減している。導入効果も見える化で数値管理されているため、明確だった。後加工の内製化に伴い、専属で新たに雇用したのは1名。あとは印刷オペレーターが生産計画に沿って後加工も手掛けることで固定費の増加を抑制し、導入効果をさらに高めている。
「私たちは設備が欲しくて投資するわけではない。経済環境への対応や社内の無駄を是正することがその目的となる。今は定期的に安定した印刷物を受注することが難しくなっている。しかし値下げで売上を確保するビジネスモデルに未来はない。そうすると固定費を増加させずに付加価値を高めることを考えなくてはならない。当社は見える化と多能工化を進めてきた。内製化や効率化を推進することで付加価値を高めることに注力することが重要だと考えている」と佐竹社長は今後の印刷経営の在り方を述べる。菊半裁機へのLED-UVシステム搭載で一定の成果を上げたことに手ごたえを感じた同社は、今年度中に菊全機へのLED-UV導入を予定しているという。
【大東印刷工業】東京都墨田区向島3―35―9、℡03―3625―7481
<LED-UV装置 Dry-Gシリーズ>

同装置は、オフセット印刷機用UV-LED を光源とする紫外線照射システム。印刷インキを素早く乾燥・硬化させる。UV-LED照射部、電源・制御部(メイン電源、動力盤、PLC制御盤、UV-LED用電源)、操作部(タッチパネル可搬方式)、冷却装置(チラー)で構成される。
◇主な特徴
電気料金を約8割削減し、高熱やオゾン発生しない環境適性を実現する。また、速乾のためパウダーレスが可能となる。用途に応じて4機種展開(照射強度(㎤)3W、5W、7W、10W)。積算光量を重視した照射面構造で高速印刷機に対応。紙幅に対応した点灯制御により、20㎜ピッチで制御、ランニングコスト(電気料金)を削減する。波長は、365nm、385nm、405nmを選択可能。各種インキ、印刷物に対応する。多種多様な印刷機へ対応可能(特別寸法にも対応)。
長さ:400㎜~2,400㎜以上
厚さ:60~110㎜(標準)
幅 :90㎜~100㎜(標準)
問合先 03-5850-5551
http://www.tpe-t.co.jp/