花王 軟包装向け水性インクジェット開発、産業印刷分野に参入

花王株式会社はこのほど、軟包装用フィルム印刷で世界初となるVOCレス設計で環境負荷を低減した水性インクジェット用顔料インクを開発した。同インクは、機能性ポリマーで顔料をナノサイズでカプセル化する顔料ナノ分散技術、界面制御技術によりフィルムに対応する水性顔料インク設計技術、シンク・ラボラトリーと協業した軟包装フィルムの高画質化を達成するインクジェットプリンターの開発の3つの技術から構成する。花王は同技術を用いて産業印刷分野に新規参入する。

水性顔料インクは、紙に対しては浸透するが、フィルムは弾いてしまい、乾かず滲んでしまう。また、乾きやすいよう少ない液量にすると濃度が上がらない。こうした課題に対し、同社が長年衣料用洗剤などで培ってきた界面制御技術を応用し、顔料ナノ分散技術を確立した。

さらにシンク・ラボラトリーと協業し、新開発の水性顔料インクを用いたラインヘッドを採用。高画質の軟包装用フィルム印刷を実現するインクジェット印刷技術を開発した。加えて、シンク・ラボラトリー、精工と協業し、同技術によるグラビア印刷への展開も検証を重ねている。

なお、5月31日から6月11日までドイツ・デュッセルドルフで開催されるdrupa2016に初出展し、今回の新技術を披露。グローバルな市場に展開していく。

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