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【ルポ】ドローンITP企画 新たな表現でコンンテツに新たな価値を提供

2021.9.13

ドローン撮影でコラボレーションも

 

情報をカタチにするITPグループを構成するのは、祖業である印刷技術をメインとした株式会社ITPイメージングプロダクツをはじめ、印刷通販サービスを展開するネット印刷ITP株式会社など様々な顔を持つ企業群。その中に、ドローンを用いた空撮サービスを行う株式会社ドローンITP企画がある。

地面や水面すれすれの低空飛行や構造物のすぐ近くでのホバリング、

プログラミングされた複雑な飛行など、航空機による空撮にはない魅力を持つドローン映像を駆使し、ワンランク上の動画コンテンツを提供する。同社取締役社長の小島智信氏に話を伺った。

 

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ドローンで新しい価値の提供へ
ドローンITP企画が立ち上がったのは、2016年。ITPの現・代表取締役会長である粟新二氏の呼びかけで社内有志が集められ、ドローン事業のプロジェクトチームが結成されたのが始まりである。前年の2015年には、ドローンを規制する航空法が改定された。これは、法律によってドローンの取り扱いが厳格化されたことを意味するが、ビジネスとして取り入れやすい土壌になったともいえる。加えてドローンそのものも進化を遂げ、様々な高性能機種が登場してきた。
ITPの顧客先には、もともと学校、寺社、病院などが多かった。そこで、従来の学校案内やイベント等にドローン空撮を組み込み、まずは得意先への新しい価値・サービスの提供からスタート。早期に参入し、競合の少ない間にノウハウを蓄積、その先の新たな顧客ニーズに安価で応えられるようにする狙いだった。事業化にあたっては、社員全員が関連法などの座学研修を受講し、休日には郊外にあるトレーニング
センターでドローンパイロットとしての実技講習を受けるなど、急ピッチで準備を進めた。
事業スタートから約2年間で、地元京都の世界遺産・東寺や海外での撮影など50カ所以上での実務経験を積んだ。国内外を舞台に多岐にわたる業種や分野の撮影を行ってきたことによる現場対応力に自信を見せる小島氏。加えてグループ内での周知も進めたことで、各部門と連携しながら事業を展開。社内ネットワークを最大限活用できる準備が整っていったという。
こうして一つの社内プロジェクトとして始まった空撮サービスは、2019年7月、社内ベンチャーの公募に手を上げて会社設立に至った。

 

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ドローンITP企画の小島智信社長

 

ドローン市場への期待
現在、国内のドローンビジネスの市場は右肩上がりに成長している。2022年度の空撮分野における市場は、2018年度比で約3倍に増加するという予測が出ている(出典:インプレス総合研究所)。2025年度には2020年度比で約2.5倍、全体では約4倍の市場に拡大するともいわれている。「このチャンスを活かすべく、ベンチャーとして独立し、本格的に事業をスタートしたのです」と小島社長は語る。
ドローンITP企画のスタッフは、パイロット4名、パイロット以外のスタッフ2名の計6名だが、グループ会社内にパイロットが関西に1名、関東に2名在籍している。撮影時には、映像ディレクターや地上カメラマンも同行し、ドローン撮影と連動したロケ撮影から映像編集までワンストップ制作が行えるのも強みとなっている。
撮影で活用している機材は、「Phantom4 Pro Plus V2.0」「Inspire 2」「Mavic
2 Pro」「Mavic mini」の4機。パイロットの多くがプロのカメラマンであることもドローンITP企画の強み。クライアントのニーズを的確にくみ取り、クオリティの高い映像や写真を提供する。

ドローン撮影によるコンテンツサービスとしては、動画・静止画の空撮サービスと、企画・構成・空撮・編集をパッケージ化した映像編集サービスがメイン。ITPグループでは、印刷もWebもあらゆるコンテンツ制作を企画から納品までトータルで受注できるため、その連携を活かして、全国の拠点を通じたサービス網の展開やクリエイティブ部門との協業による相乗効果も期待できる。

 

新たな表現で魅せる
ドローンの魅力について小島氏は、「今まで撮れなかった地上と航空機による空撮の間の領域を撮影できるようになり、我々は新しい視点を手に入れました。ここから新しい表現を生み出すことで、クライアントに新しい価値を提供できると考えています」と語る。
ドローンの特長について小島氏は、まず、高い位置でも低い位置でも撮影できることを挙げる。「高い位置での撮影には“スケール感”があり、低い位置だと“迫力”が出る」と語る。2つ目は、4K動画も高解像度の静止画も撮影できること。3つ目は、今まで見たことのない表現ができること。普段は見られないはるか上空からの景色や、高層構造物の壁面など人が歩いては近寄れないところへ近づいて撮影できるなどドローンの強みは多い。
これまでの事業実績を振り返ると、最初期に受注した妙心寺では、まず空撮の静止画を使ったポスターの作成から始まり、その後、数回にわたり印刷物にドローン撮影の静止画が採用され、やがてPR動画制作へと繋がった。

観光部門ではアフターコロナに向けたプロモーション映像制作の受注もある。おかやま観光ネットの『岡山市を感じるスカイウォーク~空旅時間~』の案件では、観光スポットの空撮動画コンテンツを核にした情報発信を行うことで視聴者の来訪意欲を高め、新規の観光客拡大に繋げることを目的としたもの。
あるいは、中学校の体育祭の動画制作もある。コロナ禍によって学校行事が減る中、行事の思い出を残してあげたいという要望から生まれたもので、ドローンを駆使した映像で生徒の生き生きとした「躍動感」を表現。その後、オープンスクール等でも放映された。
クライアントが届けたいターゲットや表現したいことは様々。いずれも、ドローンを使うことで、これまでにない躍動感や迫力などを表現し、要望に応えてきたことが評価に繋がっている。

ドローンによる撮影は、新たな価値を生むサービスとして注目できる。動画コンテンツニーズの高まりに応えるだけでなく、付加価値の高いコンテンツ制作を可能にし、それが顧客ビジネスをバックアップすることに繋がる。
ドローンITP企画では、ドローン撮影ノウハウを持たない企業に対して、コラボレーションを呼び掛けており、「まだドローンを活用していない印刷会社様や制作会社様に弊社の空撮サービスを活用していただき、クライアントへ売り込むお手伝いができればと思っています。また、コロナ禍において動画コンテンツ制作が増加しています。この市場ニーズに対応できるよう、弊社と一緒にドローンを使った映像制作を実施して、お互いにビジネスチャンスを広げて行ければと考えています」と語っている。
ドローンITP企画のホームページやYouTubeチャンネルに多くの撮影事例がアップされている。【空撮サービス 4万4,000円~】

 

株式会社ドローンITP企画 https://drone-itp.co.jp/

 

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