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ポストプレスブック2021:トキワメディアサービス デジタル印刷から特殊製本『剥がれ製本』、着脱製本『だっちゃくん』

2021.8.10

剥がれ製本技術を開放、オンデマンド、菊全判オフ、製本・配送・物流管理まで

 

剥がれ製本で市場開拓
モノクロ・2色の頁物印刷に特化する株式会社トキワメディアサービスの「剥がれスクラム」「剥がれ無線」「剥がれ中綴」の特殊製本が教材やカタログなどで採用が相次いでいる。
剥がれないことが大切だった今までの製本とは全く逆の発想から独自の技術を駆使して開発された剥がれ製本は学習塾で必要な章や単元ごとに冊子を剥がして使用する教材や試験問題に、音楽出版社では楽器パートごとに剥がして使われ、多数の導入例がある。また教材や冊子を扱う印刷・製本会社からの受注も多く、同社は技術開放を行い、剥れ製本のアライアンスを進める。
江月章社長は「学習教材や冊子などで剥がれ製本を希望されるお客さんが増えています。当社だけでは特殊製本の生産能力に限界があるので、希望される印刷会社や製本会社に技術公開を行っています。そうすることで剥がれ製本を希望されるお客様の要望にも応えることが出来ます。技術公開に当たっては当社に見学に来ていただき、指導を行っています。剥がれ製本方式は平成21年11月に実用新案登録、平成24年7月に改良版の『剥がれ中綴じ及び無線綴製本』で実用新案登録、平成24年6月に東京都の経営革新計画、経営力向上計画認定企業の承認を受けました。今後は技術を公開して剥がれ製本をさらに広めたい」と語っている。
剥がれ製本技術は2009年に考案し開発された。複数の冊子を連ねて1冊の状態に製本し、使用時には1冊ずつ簡単に剥がして使える製本方式。1冊ずつ剥がして使えるだけでなく、元にも戻すこともでき、楽譜や料理本関連などで使われている「剥がれ中綴じ」、教材のドリルに最適な「剥がれ無線」が実用化された。

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ホリゾン鞍掛中綴じ製本システムステッチライナーMarkⅢ

 

モノクロ・2色の頁物印刷に特化する同社では小ロットに対応してデジタル印刷を強化した。朝霞事業所には富士ゼロックスのB9136 Light Publissher5台、Light Publissher D125を2台、Versant 3100 Pressで計8台のデジタル印刷機、KOMORIの菊全2色兼両面機3台、東京出版機械の無線綴じ機(20鞍)、新規導入のホリゾンのステッチライナーMarkⅢ、正栄機械製作所とホリゾンの折機、永井機械製作所の断裁機を備える。今年2月に導入した中綴じ製本ステッチライナーMarkⅢはペラ丁合・筋入れ・折・鞍掛中綴じ・三方断裁を連動し、多品種少量生産に対応する。
学習教材の頁物分野で極小ロットが増え、多品種小ロットでネックになっていたのが中綴じ製本だった。江月社長は「小ロットから大ロットまで対応できるステッチライナーMarkⅢは、急ぎで小ロットから大部数までの要望に応える生産体制が強固になった」と中綴じ製本強化の狙いを語る。

 

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東京出版機械の無線綴じ機

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正栄機械のコンビ16

剥がれスクラム製本の開発は同社の佐藤あつ子営業部長が得意先から子供用の問題集の冊子で「練習問題のページと解答用紙を合体させた製本を作って欲しい」との要望がきっかけだった。

佐藤部長は「大手学習グループから用紙を1枚ずつ帯留めして作成していた『模擬試験』シリーズで帯をはずすとバラバラになるのを改善したい、コストも高いのでそれらを解決出来る方策はないかという相談がありました。従来の学習ドリルは、問題用紙を1枚ずつはがして使用する方式でした。この方式は前後の関連性が無いと出来ないという問題がありました。また出題者も1頁に納めなくてはならないという編集上の制約があるために、本来の解説や問題作りが出来ないという点が課題となっていました。そこで、一つの分野やテーマごとに8頁、16頁という単位にまとめる。製本を“スクラム”することにより、前後の関連性を保ちつつ、復習をしながら学習を進めることが出来るのが『剥がれスクラム製本』方式です。その後、先生方や塾の学習教材として採用されました。また教材をブロック別に分けて学習効率を高めるなど様々な活用がされてきました」と説明する。

 

デジタル印刷から剥がれ中綴じ
ステッチライナーMarkⅢ導入

 

「剥がれスクラム」製本は教材用ドリルのコストダウンにつながった。その後、剥がれスクラム製本の進化形である「剥がれ中綴じ」「剥がれ無線」を開発し、「剥がれスクラム製本」と同じように塾や予備校などの教材などで活用されている。アジロ剥がれ無線では、クライアントの要請でアジロ綴じと剥がれ無線の合体本が評判を呼んでいる。
アジロ綴じと剥がれ無線の合体本は、子供用の問題集の冊子で「練習問題のページと解答用紙を合体させた製本を作って欲しい」との顧客ニーズから生まれた。剥がれ無線のページは1枚ずつはがせることができ、アジロ部分は、そのまま利用できるので解答部分の用紙を失くすといったトラブルを防止できる。
江月社長は「通常の製本では、天から地まで全てに糊を付けます。スクラムごとに剥がれなくなる為に、脇糊を一定部分に塗布しないようにする製本方式があります。糊の付ける場所と量、糊を付ける箇所、糊の種類を、塗り方の調整が必要となります。製本業界では、このような取り組みの経験が無かったため試作を繰り返し、お客様にその都度評価をしてもらい、徐々に改良を加えました。未使用段階で離脱しない程度の接着力と使用時の剥がしやすさのバランス、見栄えの良さがお客様の求める品質で、それらをクリアした」と技術的な特徴を述べる。

 

株式会社トキワメディアサービス
営業本部:埼玉県朝霞市宮戸橋面2-1
代表:江月 章氏
TEL 046-486-6590
https://www.tokiwa-media.co.jp

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