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ポストプレスブック2021:スバルグラフィック 顧客の要望に応えてワンストップ体制強化

2021.8.9

ホリゾンCABS 4000Sで受注レンジを拡大

 

株式会社スバルグラフィックは高速無線綴ライン『CABS 4000S』を導入し、印刷、製本、出荷までのワンストップ生産体制を強化した。製版業としてスタートした同社はニーズを取り入れながら印刷、製品、出荷へと業務を拡大。社内の人的リソースを活用して領域を広げていった。『CABS 6000』により受注レンジがさらに拡大し、内製化比率が向上。利益の獲得に確実につながっている。
社員が全員で取り組む社風

 

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スバルグラフィックで活躍するCABS 4000S

同社は1982年に製版会社として創業。1990年代から本格的に始まったプリプレス工程のデジタル化の流れを読み、1999年に印刷事業を開始し、2003年に加工部門を立ち上げ、ワンストップ生産体制の基礎を築いた。現在の従業員は85名。東京都中野区野方の本社工場、埼玉県戸田市の戸田工場、東京都板橋区の舟渡工場の3拠点を構え、菊半裁8色機、四六半裁5色機、四六全判8色機、菊全判4色両面兼用機、四六全判5色機の印刷設備、無線綴ライン、ペラ丁合中綴機、鞍掛中綴機などの製本・加工機を備えている。
顧客は印刷同業者をはじめ、ホテル、鉄道、アニメ、車、旅行、住宅、飲食、イベント、映画・演劇など多岐にわたる。商業印刷物が中心で品質が問われる業務が多い。
同社役員の松本仁志氏は、「同業の印刷会社や一般のクライアントから、製版から先の印刷まで請け負ってもらえないか、という要望が多く寄せられたことから印刷工程に着手しました。ポストプレスも同様です。時間、コスト、納期が厳しく問われる時代だからこそ、今の業態に変化してきたわけです」と顧客のニーズを取り込みながら製版以降の工程を内製化してきた。
同社では、新しい領域への挑戦に際して外部から技術者を登用せず、社内の人員を教育して対応。印刷も製本も出荷管理も社内のリソースで賄って立ち上げてきた。製版の技術者が印刷機の機長になることで、網点や色味を評価する視点が活かされる。製本工程では面付のノウハウが役立った。印刷・加工・出荷を担う執行役員 戸田工場長の坂井陽一氏はシステムの技術を持った元プリプレス担当。後工程の知見を組み入れた社内の基幹業務システムは坂井工場長がファイルメーカーで開発した。
「営業から加工に回ることもあります。得意先の性質を知っている人員が工場に入ることで良い影響が生まれます。みんなでやっていくという社風です」と、松本役員は良い意味で規定概念に捉われない“素人集団”と表現する。印刷の色調は数値で管理するカラーマネジメントを採用。製本設備はフルスペックで導入し、勘と経験に基づくセットアップを極力排除している。これが他部門からの柔軟な異動を可能にし、多くの社員が業務の流れや各工程の事情を把握。同社のチームワークを育む基盤になっている。
横本、大型本にも挑戦
2020年2月、3拠点それぞれに印刷機、加工設備を持つ体制から、舟渡工場に製本・加工・出荷を集約して効率化を図った。それに先立つ2019年10月にはホリゾンの無線綴機『BQ-470』から高速無線綴ライン『CABS 4000S』に入れ替え、中ロットまでのレンジまで社内で生産できるようにした。
「お客様のニーズ、受注内容が変わってきました。ある程度のロットを超えると外注に頼らざるを得ず、売上と比例して外注費が上がる状況でした」(松本役員)。とくに近年、繁忙期に製本の手配がままならず、機会損失につながるリスクが高まっていた。
ホリゾンとの取引は加工部門を立ち上げた2003年にまで遡る。断裁機と卓上中綴機を導入して以降、ホリゾンの機械が加工設備の中心となっている。「我々が受注するロットのスケール感、お客様のニーズがホリゾンの機械とマッチしていました。今までの実績は非常に大きく、熟練でなくても使いやすい機械。必然的にホリゾンの選択が多くなります」(松本役員)と、同社の社風である“みんながやる”にも合致している。
丁合機、綴じ、三方断裁という無線綴ラインの運用は初めてだったが、CABS 4000Sは、全くの未経験者をオペレータに据えて導入後、約2ヵ月で立ち上がった。今では月100アイテム、30万冊を生産している。
坂井工場長は「ホリゾンのサポートメンバーに親身になって教えて頂き、課題を克服していきました。当社はまずやりやすい業務からスタートし、無理をせずに徐々に仕事を広げていきます。入力するだけで自動でセットアップし、手作業のところが少なく助かっています」と述べる。品質に責任を持つ工場長にとって最も大きかったのが、「他社に生産委託していた時には年に1、2回、落丁・乱丁が発生していました。CABSを導入してからそうした事故は全くありません。品質面に関してはカメラ検知、厚み検知、重量検知の3段階で検査しているので信頼性は高いと感じています。年に1回、2回でも事故はダメです。それがなくなったことは大きいですね」と、品質管理の責任者として検査機能をポイントに上げている。
経営面から松本役員は「新型コロナで売上は厳しい状況ですが、外に出るものを内部に取り込めたことで外注比率が下がり、決算上でも数字がきっちり出ています。金融機関からも評価されました。利益に貢献してもらっています」と実績を強調。同社では社内に適した仕事の単価を下げ、逆ならば単価を上げるよう価格戦略を見直した。売上重視から内製化できる業務を獲得するよう営業方針を変えることで、利益率をさらに改善していく。
一方、2020年3月まで順調だったが、初の緊急事態宣言が発出した同年4月から、経済が動き出す7月まで工場の稼動は極端に低下した。この間、製本工場ではA4サイズの横本やB4サイズの縦本、雁垂れ表紙、400頁の厚い本など、外注に頼らざるを得なかった加工に挑戦。ホリゾンのスタッフが毎週、アドバイスして技術力を磨いてきた。現在では「外注でコストが高くなっていた業務が中に取り込めれば、営業担当者が受注しやすくなります」(松本役員)と営業力強化につながっている。
さらなる利益率向上に向けて同社では基幹業務システムによる原価管理に力を入れている。将来的には印刷機や製本機などのデバイスとデータ連携し、セットアップや稼動記録の自動化を見据えている。「情報の乱れがトラブルにつながります。ある程度のところまで自動化できれば人的な間違いが減ると考えています」(松本役員)とスマートファクトリー化を展望する。

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左からカメラ、重量、厚みの検査で乱丁・落丁を防止

 

 

 

株式会社スバルグラフィック
本社:東京都中野区野方4-20-4
代表:松本脩氏
TEL 03-5345-8700
FAX 03-5345-8702
http://www.subaru-g.co.jp/

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