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ポストプレスブック2021:新和製作所 パッケージ・ディスプレイ製造の全ての工程で一貫生産体制を整備

2021.8.9

繊細な箔押し機を搭載したスクリーン印刷機『MS-102AX+LQM-105EVOLUTION』

 

p14-2 山崎康成代表取締役社長

山崎康成代表取締役社長

紙製のパッケージとディスプレイを手掛ける株式会社新和製作所は、インラインで繊細な箔押しが可能な『LQM-105
EVOLUTION』を搭載した桜井グラフィックシステムズの全自動スクリーン印刷機『MS-102AX+LQM-105EVOLUTION』を導入した。これにより後加工を含めた社内一貫体制を完成させ、短納期、低コスト、高品質を実現。充実した設備と、豊富な人材による提案力を武器に、新たな展開を図る。
短納期、低コスト、高品質を実現

 

新和製作所は1963年、紙箱・化粧箱などのパッケージ製造会社として創業。約17年前に、売上減少に歯止めをかけるべく、新たな挑戦として店頭で商品を並べる紙製の什器・POPなどのディスプレイ事業に参入した。現在、パッケージ事業と、ディスプレイ事業を2本柱とし、顧客の構成比は、エンドユーザーが2割、広告代理店が4割、印刷会社が4割を占める。同社は企画、デザインから製造、組立、納品までを手掛ける社内一貫体制を強みとしている。
「パッケージとディスプレイは、見た目は近いようで異なる部分が多く、全く別の業界といってもいいほどなので、両方を手掛ける会社は少ないです。ディスプレイには様々な形に対する高い設計力が必要となり、良いものを安価でつくるためにノウハウが要求されます」(山崎康成代表取締役社長)
パッケージは印刷、組立、貼り付けして納品となり、納期に余裕がある一方、ディスプレイは複雑な設計、色校正など手間がかかる工程が含まれる上、短納期が要求される。
特に箔押しなどの加工は外部に委託すると持ち込み、加工、引き取りで3日間かかっていた。このボトルネックを解消し、さらなる付加価値の向上を見据えて昨年10月、埼玉県川越市の本社工場に桜井グラフィックシステムズの箔押し機『LQM-105EVOLUTION』を搭載した全自動スクリーン印刷機『MS-102AX+LQM-105EVOLUTION』を導入した。

p14-1 桜井グラフィックシステムズ

桜井グラフィックシステムズの『MS-102AX+LQM-105EVOLUTION』

「箔押し加工は全て協力会社に頼っていましたが、コスト面で考えるといつかは内製化したいと考えていました。一般的な箔押し機を導入しても当社の特長が出せないため、検討を重ねていたところ、桜井グラフィックシステムズさんからインラインで細かな箔押しができる印刷機が発売されると聞いて導入を決めました」(山崎社長)。
『MS-102AX+LQM-105EVOLUTION』の導入により、箔押し加工を含めた全ての工程が内製化したため、納期に合わせて仕事の優先度を切り換えることで納期への対応力が向上。外注費がかからない分コストも削減され、極小絵柄に正確な箔押しが可能な『LQM-105EVOLUTION』により、短納期、低コスト、高品質を実現した。
『LQM-105EVOLUTION』は、スクリーン印刷の厚盛りUVニスに箔を熱圧着させる箔押し加工方式で、必要なポイントにのみホットスタンプ効果を得られる。加えて、スクリーン印刷の原理の応用と、アライメントコンベアーの位置決めにより、見当性に優れ、高い生産性で繊細な表現が可能。加工スピードは毎時約1,000枚、最大箔押し幅は750㎜×1,050㎜。
「『MS-102AX』のシルクスクリーン印刷は、スポットUVニス加工を施せるのでピンポイントで厚みを出して光らせるような表現ができます。シルクは通常、それなりに費用がかかりますが、内製化している分コストが抑えられ、柔軟な価格設定ができるため、思い切ったサンプル・試作が可能で提案がしやすくなりました。シルクスクリーン印刷機と箔押し機がインラインでつながっているシンプルな構造で、素晴らしい効果が表現できるマシンです。今後、活躍の機会が多いだろうと可能性を感じます。『MS-102AX+LQM-105EVOLUTION』を導入したことで後加工を含めた社内一貫体制が完成したと実感しています」(山崎社長)

p14-3 『LQM-105EVOLUTION』の繊細な箔押しサンプル

『LQM-105EVOLUTION』による繊細な箔押し加工のサンプル

 

 

工場を持った広告代理店へ

 

同社はかねてより、待ちの受注構造からの脱却を目指し、約12年前に設計専門の部署、約7年前にデザイン室・企画室を立ち上げ、クリエイティブ技術を磨いてきた。
今回の導入で設備の増強に一区切りをつけた同社は今後、ソフト面の強化にシフトする。特に、設計力に重点を置いている。「ディスプレイでは設計が悪いと営業がどんなに優れていても仕事は取れません。商業印刷やパッケージ会社がディスプレイに参入しようとして、まず躓くのが設計のスタッフ不足です。当社には構造デザインの担当者が8名在籍していて、設計力の強化に力を入れています」(山崎社長)
次のステップとしては、強化された設計力と、新たな設備で製作できる商材を営業担当者が理解し、同社の優れている部分を学び直すことで提案・企画力を伸ばし、利益率を高めることを目標としている。
また、コロナ禍の影響で展示会出展の効果が薄く、課題となっている新規顧客の獲得については、高い提案力で既存顧客の仕入れ先のナンバー1になることを念頭に置いている。
パッケージ・ディスプレイ製造の全ての工程での一貫生産体制を整え、豊富な人材による設計力が生み出す提案を武器にする同社の今後の方針について、山崎社長は「多少高価でも、素晴らしいデザインで消費者の目に付き、手に取ってもらい、購買につながる商品をつくり続けることが目標です。選ばれる提案ができるように、当社のデザイナーは市場を調査し、顧客の商品陳列の環境から顧客のライバル企業の情報まで調べ、刺さる提案を心掛けています。これは、どのような広告を打つべきか、という考え方でもあり、目指す先は“工場を持った広告代理店”だと言えます」と紙器印刷・加工会社としての新たな在り方を視野に入れている。

 

株式会社新和製作所
本社・第一工場:埼玉県川越市下赤坂736-2
代表:山崎康成氏
TEL 049-269-0033(本社・第一工場)
https://www.shinwaseisakusyo.co.jp/

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