エプソン オフィスで紙を再生する装置を開発、エコプロに出展

ドライファイバー テクノロジー
ドライファイバー
テクノロジー

セイコーエプソンは、世界で初めて使用済みの紙を原料として、水を使わずに文書情報を完全に抹消した上で、新しい紙を生産できる小型のオフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ)」を開発した。「スマートサイクル事業」としてこの新規ビジネスを推進し、2016 年内の「PaperLab」商品化を予定している。企業や自治体は「PaperLab」の導入により、オフィスのバックヤードなどで、紙厚の異なるオフィス用紙や名刺用紙、色や香り付きの紙など、さまざまな紙を生産することが可能になる。

同社では12 月 10 日から 12 日まで東京ビッグサイトで開催される環境展示会「エコプロダクツ 2015」のエプソンブースに「PaperLab」の開発機を展示する。

【PaperLabの特長】

▽オフィスでつくる小さなサイクル

紙のリサイクルは、一般的にオフィスから製紙(再生)施設への輸送を伴う、大きなプロセスで循環されている。エプソンのスマートサイクル事業では「PaperLab」により、オフィスで完結する、小さく、そして新しい資源サイクルを提案する。

▽機密文書の完全抹消

「PaperLab」を使用すれば、企業がこれまで外部へ委託したり、内部で裁断したりしている機密文書を外部に持ち出すことなく、内部で処理できる。文書を紙繊維にまで分解するため、情報を完全に抹消する。

▽多様な紙の高速生産

「PaperLab」に使用済みの紙を入れ、再生開始ボタンを押せば約3分で 1枚目の新しい紙ができあがる。A4 用紙の生産能力は1 分間に約 14 枚。1 日 8 時間稼働させれば 6,720 枚の紙を、オフィスで生み出せる。紙厚の異なる A4・A3 サイズのオフィス用紙や名刺用紙、色や香り付きの紙なども再生できる。

▽.環境性能

「PaperLab」は水を使わずに紙を作る。一般的には、A4 の紙 1 枚を作るために、コップ 1 杯の水が使われている。また、オフィスで紙を再生することにより、これまでのリサイクルの輪が小さく、シンプルになり、新しい紙の購入量を減らすとともに、これまで必要だった輸送CO2の削減も期待できる。

【PaperLabを実現する技術】

「PaperLab」を実現するために開発した新しい技術が水を使わない「Dry Fiber Technology(ドライファイバーテクノロジー)」。ドライファイバーテクノロジーは繊維化、結合、成形という 3 つの技術から構成されている。

▽繊維化=独自に開発した機構による機械的衝撃で、水を使わずに、使用済みの紙を綿のような細長い繊維へ変え、文書情報を一瞬で完全に抹消する。その結果、給排水の設備も不要となり、オフィスのバックヤードなどに設置しやすい小型サイズを実現した。

▽結合=繊維化した材料に、様々な結合素材を用いることで、用途に合わせて、紙製品の結合強度や白色度を向上したり、色、香り、難燃などの機能を付加したりすることができる。

▽成形=密度や厚み、形状をコントロールして成形することで、A4 や A3 のオフィス用紙、名刺用紙など、用途に合わせて、様々な厚み・サイズの紙を生産することを可能にする。

関連記事

最新記事